料理自慢の村民の“食卓”にお邪魔します!
ばあちゃんの味 1軒目 | 新谷とき子さんの「じんだと田舎料理」
じんだ / 野菜の天ぷら / 冷奴 / 茶碗蒸し /じゃがいもの甘辛煮/漬物/お浸し/イワナの塩焼き・刺身/わらびの白和え/煮物/栗きんとん/干し柿/くるみ
木谷地区で民宿「白弓荘」を営む新谷とき子さんの自慢の料理は白川村南部に古くから伝わる「じんだ」と、季節の素材をふんだんに取り入れた田舎料理。
どの料理も味付けや火加減は長年の経験が頼りです。
野菜は畑で、山菜は近所の山で、イワナは池の庭で。とき子さんは白川村の豊かな自然の恵を丁寧に料理して宿泊客にふるまいます。
「白川村の自然が大好きで、こんな環境でやりたいことができているのがとても幸せ。ハイカラではないけど、時間と手間を欠けた料理が好きなの。」と、とき子さんは楽しそうに料理について語ってくれました。
白川村南部に伝わる「じんだ」は、前日から水につけてふやかした豆をふっくらと煮て、石臼でゆっくりとすり潰し、塩と砂糖、辛子を加えて煮て、しんなりと煮た大根を和えた郷土料理。
主に年に一度、報恩講の法要で親戚が集まるときに食べられます。
しかし、現在ではつくれる人は少なくなってきており、村民でも食べたことがないくらい貴重な料理です。
滑らかな舌触りと優しい甘さのなかにほのかに香る辛子、大根の歯応えが病みつきになり、気がつくとついつい手が伸びます。
新谷家では報恩講の法要で親戚が30人から40人集まるため、その時は一升ものじんだを一度に仕込むのだとか。
とき子さんは現在76歳。今から55年前、昭和40年に福井県の山奥から白川村木谷の新谷家に嫁ぎ、ご主人の保雄さんとご結婚されました。
石臼は嫁入り道具として母親から受け継ぎ使い続けているもの。木製の取手にはお母さんの手のかたちが残っているといいます。
この日はご主人の保雄さんと一緒に、この石臼で1時間かけて豆をすりつぶし、じんだを振る舞ってくださいました。
「今は死ぬのがこわいくないくらい毎日が幸せ。今振り返ってもこの木谷という場所に縁があったんやなと思います。」と、とき子さん。
とき子さんにとって、心を込めた料理を食べて喜んでもらうことが元気の秘訣なのかもしれません。
ここがこだわり!
「石臼で豆をすりつぶす時は慌てずゆっくりと。急ぐと粗くなってしまって舌触りがよくないの。それから私は、少し値は張るけど青豆を使います。白豆よりも色も味もよくなるからね。」