築80年の古民家で、家族代々営む宿
お一人でも、ご家族でも。ゆっくりと流れる時間。
四季折々の郷土の素材を味わって
白川村御母衣地区で昭和34年から旅館業を営む「料理宿 御母衣」。御母衣ダム建設の真っ只中に、ダム建設により移築された山師の邸宅で「御母衣旅館」として創業しました。現在は三代目の日下部 円(まどか)さんと父、忠さん、女将の栄美子さんが親子で宿を切り盛りしています。
築80年の古民家で、家族代々営む宿
料理宿 御母衣があるのは、白川郷合掌造り集落から庄川に沿って車で20分ほど南に下りた地域。季節とともに移り変わる景色や、ダム湖である御母衣湖など、世界遺産集落とはまた違った魅力が楽しめます。
創業当時は御母衣ダムの建設に携わる就業者の流入によって「御母衣銀座」と呼ばれるほど賑わった地域で、旅館もいくつかありましたが今ではここだけになりました。
3代目の円さんは2年前に屋号を「御母衣旅館」から「料理宿 御母衣」に改め、心機一転、宿に新たな歴史を刻み始めています。
お一人でも、ご家族でも。ゆっくりと流れる宿での時間。
宿泊客を朗らかな笑顔で出迎えてくれるのは女将の栄美子さん。
「どうぞゆっくりしていってくださいね」。
初めて訪れても懐かしい気持ちになるような温かい雰囲気に、自然と心がほぐれます。
まだまだ現役で活躍中の栄美子さんですが、これから先も長く宿を続けていくために跡継ぎも募集中とのこと。
客室は全部で8部屋。全て和室で、8畳1間から20畳以上ある2間の部屋まで様々なタイプがあり、お一人でもご家族でも心地よく過ごせます。
リモートワークの急増により、最近はビジネス利用のお客様も多く、ビジネス向けの宿泊プランもスタートしました。
新型コロナウイルスの影響で綱渡りの日々が続く中、より安心して宿泊できるようにリニューアルしたのが浴室。「藍の湯」「翠の湯」「奥の湯」の3つの個室に分け、それぞれを貸し切りで利用できるようになりました。
ゆっくりと流れる宿での時間を満喫してほしいと、客室以外の空間も充実しています。
縁側のグリーンカフェではセルフサービスのコーヒーとともに雄大な景色を楽しめます。
さらにのんびり過ごすには喫茶処がおすすめです。
囲炉裏を囲んで、昭和の雑貨や道具、古本など珍しいものがたくさんあって、まるで昭和の時代にタイムスリップしたかのような気分になります。
四季折々の郷土の素材を味わって
さて、のんびりと過ごしているうちにお待ちかねの食事の時間に。
“料理宿”を屋号に掲げて2年、円さんが日々極め続ける料理が御母衣旅館の何よりもの魅力。
今回ご紹介するのは一番人気の「御母衣会席プラン(一泊二食付)」です。
[2021年3月1日の献立]
口取り/飛騨牛湯引分葱酢味噌射込み、菜花辛子醤油和え 龍眼玉子、スモークチーズ磯揚げ、スナップエンドウ、零余子バター風味
お造り/金沢の湯葉、妻一式、卸生姜
蓋物/飛騨豚煮込みポテトソース掛、人参、ブロッコリー添え
焼物/飛騨牛朴葉焼き、酢取り茗荷
酢物/サーモンハラス卸ポン酢和え、刻み大葉
揚物/胡麻豆腐揚出汁、卸大根、小口葱
蒸物/蓮饅頭飛騨牛時雨煮射込み、亀甲餡、天盛山葵
皿盛り/ぜんまい、木耳、白木耳、独活、あずき菜荏胡麻和え
食事/白川郷産あきたこまち、お漬物、お味噌汁
水物/さくら玉子と飛騨牛乳のプリン
円さんが腕によりをかけて振舞う料理は、四季折々の郷土の素材をできる限り盛り込んであり、季節やお客さんの好み、その日の仕入れの状況によって仕込みをするため、献立はその日限り。
日本料理ならではの繊細さがあり、彩り鮮やかで、運ばれて来るたびに思わず笑みが溢れ、ひとつひとつじっくりと味わっていると、食べ切ってしまうのが惜しくなるくらい大満足のお料理です。
「料理宿と名乗るからには、もっと料理を極めなければというプレッシャーもあります。一番大切にしているのはお客さんの気持ちになって料理を作ることです。日々勉強ですね」。
父、忠さんから受け継いだ料理を活かしながら、自分の料理を確立することが円さんの当面の目標だといいます。
円さんは、リピーターのお客さんなら、好みに合わせて献立を考えたり、初めてのお客さんでも話したときの印象や年代、性別などから、量や献立の内容を調整して、お客さんに一番喜んでもらえる料理を提供することを心がけています。
翌朝の朝食は煮物やお浸しなど、小鉢がたくさん並んだ賑やかな和食。七輪の上には飛騨地方の郷土料理、朴葉味噌も。野菜がたっぷりで朝から元気がみなぎります。
料理のファンも多く、要望があるときには昼ご飯のお弁当を準備することもあるのだそうです。
日下部さん親子のおもてなしの心が、空間や料理からたっぷりと伝わってくる「料理宿 御母衣」。
家族代々受け継いできた歴史を大切にしながらも、時代に合わせて柔軟に変化しながら、これからもお客さんとともに歩んでいきます。
料理宿 御母衣
住所/岐阜県大野郡白川村牧126-3
Instagram/@miboro_316
*女将の跡継ぎ募集中です!