ある日の早朝、白川村南部の平瀬診療所の脇にある「回収ステーション」には、次々と人がやってきました。
今日は2週間に一度の平瀬地区の不燃ごみや資源ごみの収集日。
地区によって運営方法は異なりますが、平瀬地区では、分別指導を行うリサイクル推進員と当番となった村民が朝7時から待機します。
村民は大きな袋をいくつも抱え、ペットボトルやびん、プラスチック製容器など、12種類に分別してごみ出しをしていきます。
ごみ出しに来る村民は近隣に住む人ばかりなので、もちろん皆顔馴染み。あいさつだけでなく、世間話に花を咲かせることもあります。
ほとんどのごみの分別は、持ち込んだ村民が迷いなくボックスに入れていきますが、中には判別が難しいものも。
そんな時は、リサイクル推進員に「これは何ごみだったかな?」とその場で確認。自分で判断することが難しいごみも、ここに来れば正しく分別でき、村のごみ出しマナーの向上につながっています。
***
回収ステーションに行けない場合は、白川村野谷地区にある「リサイクルハウス」への持ち込みも可能です。
リサイクルハウスは、粗大ごみや古紙類、衣類、段ボールなどの受け入れをしている収集拠点で、回収ステーションで収集した不燃ごみも、まずはここに集められます。
受入れ日は、毎週金曜と4〜12月の第4日曜。村内のさまざまな地区の村民が、車で乗り入れてごみを持ち込みます。
リサイクルハウスを管理しているのは、有限会社荘白川クリーンさん。2019年より行政の委託を受け、リサイクルハウスを担当している松井則幸さんにお話を聞きました。
ごみを持ち込んだ村民は、まずは入り口近くで重量を確認。粗大ごみや古紙類など、リサイクルハウスだけで回収されるものについては計量が必須となっています。
建物の中はごみの種類によってエリアが分けられているので、該当する場所のカゴやボックスに自分で入れていくというシステムです。
取材したのは平日の日中でしたが、リサイクルハウスには次々と車がやってきます。家庭用のごみだけでなく、村内の事業者さんの持ち込みも。年配の村民は、お孫さんを連れて一緒に分別をする姿もみられました。
ボックスにいっぱいになったプラスチック容器やペットボトルなどは、圧縮減容梱包機という機械によってぎゅっと押しつぶされ、コンパクトに。こうした資源ごみは、各々の再生業者へと引き渡されたり、再資源化できないものは最終処分場に埋め立てられ、処理されています。
建物の裏にも回収スペースがあるということで案内してもらいました。
いくつか仕切りのある小屋があり、家具、特定家庭用機器、段ボールといった比較的大きなごみが集められています。リサイクルハウス開設当初はこうした小屋はありませんでしたが、機能性を高めるために後から作られたと言います。
こうした工夫が、分別のしやすさや再資源化につながっているのですね。
ごみ焼却施設がない白川村では、使い切りや細かな分別など、一人ひとりのごみ減量への意識が根付いていて、資源ごみの再生事業者からも高く評価されています。
毎年4月29日には、ほぼ全村民が参加する村内一斉美化運動も開催されます。雪によって隠れていたごみを早朝6時から拾い集め、村中をきれいにします。美しい村は、村民の手によって維持されているのです。