飛騨日日新聞

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2023.04.08

【対談/移住ってどう?】家業と地域・子育て


移住に関するさまざまなテーマで対談する「移住ってどう?」。今回は、白川村で家業の旅館を営みながら、2児の父親として子育てにも奮闘する三輪さん、谷口さんにお話を伺いました。

三輪 了(みわ さとる)さん

愛知県出身。高山市に住んでいた時に、白川村の「城山館」(現在改修中。2023年4月中旬再開予定)が実家であるゆきさんと出会い、結婚を機に移住。若旦那を務める。2児の父。

谷口 暁良(たにぐち あきら)さん

白川村出身。調理の専門学校を卒業後、愛知県のいくつもの飲食店で腕を磨いた後、2020年にUターン。実家の「お宿 湯の里」を継ぐ。2児の父。

白川村に住むに至った経緯を教えてください。

谷口:白川村出身で、愛知県のいくつかの飲食店で働いた後、白川村に2020年に戻って「お宿 湯の里」を引き継ぎました。今は妻と両親、子ども2人と暮らしています。

三輪:愛知県出身で、23歳から高山市で働いていたのですが、ある会合で今の奥さんに一目惚れして、結婚しました。現在は義実家の旅館「城山館」で若旦那として働いています。奥さんや子ども2人、義父母、奥さんの兄弟など合わせて10人で暮らしています。

三輪さんは大家族なんですね!お二人は家業を継いでいますが、引き継ぐにあたって何か想いはあったでしょうか?

谷口:兄が早くから違う道に進んだので、自然と旅館を継ぐ意識は持っていました。動物が好きだったり、他にも興味を持つことはありましたが、最近は旅館で「ペットと泊まれる部屋」を始めたり、料理以外の願望も、この仕事をしながら実現できていると感じていますね。

三輪:当初は結婚後、高山市で暮らす予定だったので旅館を継ぐつもりはなかったんです。けれども、周りから家業を続ける大切さを聞いて、腹をくくって旅館を継ぐことに決めました。

谷口:僕は料理以外の経験はあまりないから、了くんにはいろいろ相談しています。家族経営の旅館は村内でも少ないから力を合わせてやっていきたいね。城山館はいま改装中だから、了くんにはうちの旅館を一時期手伝ってもらったりもしていました。

三輪:そうなんです。湯の里さんは自分が働いていたのもあって、半分自分の家みたいになっていますね。(笑)

旅館を営みながらの子育てはいかがでしょう?

三輪:会社勤めの頃と比べると、一緒に過ごせる時間はすごく長い。それと、僕の住む荻町は子どもと歩くにはすごくいい環境です。世界遺産や食べ歩きできる飲食店がすぐそこにあって、もちろん山や川も近い。

谷口:僕の住む平瀬も、夏は川、冬は雪と、子どもが遊ぶのにいい場所。平瀬は地域全体が親戚みたいで、近所のおじいさん、おばあさんも孫のようにうちの子どもを可愛がってくれます。高山市や愛知県でも暮らしてきましたが、人と人との距離感が全く違いますよね。自分もここで生まれ育ってきたのもあって、子育てするならこういう環境がいいなと思いました。

三輪:村民はもちろん、観光客との触れ合いもあって、楽しいですよ。ただ、家が職場で仕事をしながら子育てもしなければならないので、大変な時もあります。

谷口:それと、ぼくたちは旅館業をやっているから子どももお客さんとかいろいろな人と関わるけど、ほとんどの白川村の子は限られた人としか付き合いがないから、高校に進学して初めて村を出た時に人間関係に苦労するという話も聞くね。白川郷学園や保育園でフォローしてもらえるといいなと思う。

村ならではの人付き合いが、子どもの成長にも強く影響しますね。お二人自身の地域の関わりはいかがでしょう?

三輪:僕は消防団に入っています。元々村民ではないので、村を歩くと「誰だろう?」と思われることも多くて。消防団に入ってからは、村の方に覚えてもらえるようになりました。

谷口:僕も消防団に入って、地域の皆さんに「村に帰ってきたんだね」と知ってもらえました。地域のコミュニティに繋がる場だなと思います。

三輪:荻町は毎月の「寄り合い」のほかに「税金寄り合い」という集まりもあります。世帯で一人出席が必要で、今は義父が出ていますが、ゆくゆくは自分になるかな。

谷口:そんなに集まりがあるんだね!平瀬は頻繁に集まる機会はないから、地域を盛り上げるために何かやりたいなと考えています。

お二人はそれぞれ、村外で働いた経験がありながら、現在は白川村に根を下ろして生活されています。そんなお二人から見て、今後、白川村で移住者を増やしていくには何が必要だと考えていますか?

谷口:白川村は合掌造りとか、保守的だからこそ守られてきた部分もあるけど、これからは新しい人も受け入れて、切磋琢磨することが大事だと思う。観光でも、暮らしの面でも、魅力ある地域になってほしいね。

三輪:あとはアパートとか、移住者が暮らす場所が整うといいよね。白川村で住みたい人を受け入れやすい環境になればと思いますね。

ー日々、旅館を営みながら多くの観光客を迎え入れているお二人。村外で暮らしてきた経験があるからこそ、白川村の魅力と課題の両面が見えているように感じました。お二人とも、ありがとうございました!

今回の対談会場

今回の対談会場は、谷口さんが営む白川村平瀬の旅館「お宿湯の里」。趣ある佇まいに、源泉掛け流しの平瀬温泉、地元の食材満載の郷土会席が楽しめる。旅館には珍しいペットと泊まれる客室も。

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