2023年「秋の一斉茅刈り」が開催されました!(前編)
2023年11月4日、5日に白川村荻町の合掌造り集落にある白川郷合掌文化館(旧松井家)近くで「われらが紡ぐ白川郷かややねプロジェクト―秋の一斉茅刈り―」が開催されました。
白川郷荻町集落の自然環境を守る会(通称「守る会」)、公益財団法人日本ナショナルトラスト、白川村役場が協働で実施するこのイベント。
主に首都圏に暮らし、このイベントの企画に関わる「かややね会議」のボランティアメンバーをはじめ、村内外から人が集まり、合掌造りの屋根材などに使われる「茅」を刈り取ります。
現在、村内の合掌造り家屋の屋根材の多くは村外から仕入れていますが、できるだけ自給したいというのが村の想い。
けれども、自分たちで茅を賄うには、多くの人出が必要です。そこで、自給への第一歩として秋の一斉茅刈りが実施されるようになりました。さらに、今年からはより幅広く、白川村の自然環境の保全という目的も兼ねて実施されました。
そんな茅刈りイベントの様子を、前後編にわたってお届けします!
*過去の秋の一斉茅刈りの記事はこちら
*かややねプロジェクトや日本ナショナルトラストの記事はこちら
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イベント当日は、村内から21人、村外から24人の計45人が参加。ここ数年はコロナ禍で大規模な実施ができていなかったため、久しぶりに多人数での開催となりました。
今年初めて参加した村外のメンバーは、「観光だけではない白川村を知りたい」「合掌造りについて学んでいて、白川村に興味を持った」など、それぞれの動機でこのイベントに期待を寄せていました。
合掌造りの屋根材となる“茅”を刈る
イベントは朝10時からスタート。「守る会」のメンバーや茅葺き職人さんからの説明を聞いたら、6つのグループに分かれて早速茅刈りが始まります!
職人さんたちは、ザクッ、ザクッと軽やかに茅を刈り取っていきますが、初めての人にとっては鎌の扱い方にも一苦労…!
「あんまりたくさん、いっぺんに刈ろうとしない方がいいよ」
「鎌を斜めに入れて、引くようにすると刈りやすいよ」
そんな職人さんのアドバイスを受けながら作業すると、少しずつコツが掴めてきます。疲れてきたら参加者同士で雑談を挟み、どんどん進めます。
1時間ほど作業すると、茅の束を乾燥させるために「はさ小屋」まで茅を運びます。
茅の束を持って行列を作る様子に、観光客も興味津々!カメラを構えたり、「これは何の行事?」と尋ねる人もいました。
午前中の作業はこれで終了。お昼ご飯を食べてしばし休憩です。
オダレ作りに使う、オギ刈りに挑戦!
午後も引き続き茅刈りが行われますが、刈り取るのは午前中とは少し違う植物。
実は「茅」はある1つの植物ではなく、茅葺き屋根を葺く植物の総称を指します。白川村では主に「ススキ」が茅として使われていて、午前中もススキを刈り取りました。
*1枚目がススキ、2枚目がオギ。茎が太く、穂先がスッと伸びているのがオギの特徴
午後から刈るのは「オギ」という植物。合掌造り集落のある白川村荻(おぎ)町の由来になったとも言われています。ススキより重くて太いため、豪雪地帯である白川村の合掌造り家屋には用いられませんが、他の地域ではこの「オギ」が主な茅として使われることもあるそう。
現在、荻町の休耕田ではオギが雑草のように林化しています。そこで、なんとか活用できないかと今年の秋の一斉茅刈りではオギを使ったオダレ(合掌造りに使うスダレ状の雪囲い)作りに挑戦することとなりました。
こちらも職人さんにレクチャーを受けてから、作業開始。ススキよりも固いので、茅刈りビギナーには1本刈るだけでも大変です…!
オダレ作りに十分な量を刈り取ったら、オギ刈りは終了。
最後に、翌日のオダレづくりのレクチャーを受け、1日目のプログラムはおしまいです。お疲れさまでした!
1日目の夜は、お酒やつまみ、村の郷土料理である「すったて」を囲んで、旧松井家で交流会が開かれました!
日中の茅刈りを通じて距離が近くなった参加者たち。白川村や合掌造りといった話題に花を咲かせ、賑やかな時間は夜遅くまで続くのでした。