結婚を機に、国を超えて白川村へ
外国人観光客が年112万人訪れることもある白川村。そんな村の観光を支える一人が、観光協会で働く中国出身の劉旭(リュウ・シュー)さんです。
シューさんが働く、観光協会の事務所がある白川郷バスターミナル
2018年3月、当時は白川村役場観光振興課、現在は教育委員会で働く章璐(ショウ・ルー)さんとの結婚を機に白川村へ移住。
中国の美術大学を卒業後、移住前はフランス・ニースのホテルでアート関係の仕事をしていました。
「美術の仕事は世界中どこでもできます。それに、いろいろな国で暮らしてみたくて」。
実は、この移住で初めて日本を訪れたシューさん。イメージしていたのは、東京のような都会的な日本だったので、対照的な村の景色や、雪の多さに驚いたと言います。
「合掌造りの風景にも、やっぱり感動しましたね。でも初めは、なぜ世界遺産であるのか、その意味をしっかりとは理解していなかったです」。
村が育んできた“結”の精神や伝統的な文化。自分自身も村民と関わり、生活を営む中で徐々にその意味を理解していきます。
仕事に趣味に。この場所だからできることを
現在は観光協会で、海外の旅行会社とのやりとりや、外国人観光客の対応を担っているシューさん。
日本語も流暢に話すシューさんですが、実は、移住当初話せた日本語はあいさつ程度でした。
「特に、民宿の方との電話には苦労しましたね。まずは誰なのかを理解してもらわなければいけなくて、色々と質問されてなかなか本題に入れなかったりもしました(笑)」。
独学と実践を重ね、今では中国語、日本語、英語、フランス語の4ヶ国語を操る、頼れる存在です。
一方休日は、妻のルーさんといっしょに白水湖でのサップや、庄川でのカヌー、山登りなど、村の大自然を満喫するアクティビティへ。春には山菜採りに出かけたり、「田植え祭り」などの行事にも参加しています。
「仲良くしてもらっている村のおばあさんに、山菜を使った料理を作ってもらうこともありますね」。
仕事に遊びに、白川村らしい毎日を過ごしています。
“村民”の一人として、アートで村を表現してみたい
移住から早5年。言語や文化の壁を超え、シューさんは今やすっかり“村民”の一人です。
「白川村はまっすぐな考え方の人が多くて、対話すれば理解し合えるのがいいなと思います」。
そう語るシューさんが今後取り組みたいのは、元々の専門であるアート活動。
「冬の夜の幻想的な森とか、白川村の自然からインスピレーションを受けた作品を作りたいんです」。
“外国人”であり、村民でもあるシューさんの目に、村の姿はどう映っているのでしょう。
作品の完成が今から楽しみです。
劉旭(リュウ・シュー)さん
中国出身。白川村で働く妻と共に暮らすため、フランス・ニースから白川村へ移住。現在は観光協会に勤め、村のインバウンドを支える。