白川村のリアルな日常をお届け!
白川村らしい暮らしの一コマをお届けする「郷暮らし手帖」。季節にちなんだ行事や、古くから生活に根付く風習、日常生活の中の意外な一面など、住んでいる人にとっては当たり前、でも実は白川村だからこそ体験できるリアルな日常を伝えていきます。
お話を聞いた人
森下清子(きよこ)さん
長い冬が明け、雪解けの季節が終わる4月下旬。白川村では1か月ほどの山菜採りの季節が始まります。
みずみずしい緑色の茎に、くるりと曲がった先端の、いかにも山菜らしい見た目の植物は、ゼンマイやクグミ、ワラビ。
素人には他の草木と見分けがつきにくい、タラの芽、コシアブラ(コンテツ)、ウド、アズキナにイタドリ、ヒメダケ、ギョウジャニンニク…。白川村にはさまざまな山菜が自生しています。
山菜採りをする場所は庭先や自宅からほど近い原っぱといった身近な場所が多いですが、早朝から山に登ることも。山菜採りをする村民には、暗黙の了解で各々の“私の山菜スポット”があるのです。
今回お話を聞いた森下清子(きよこ)さんも白川村の平瀬地区に暮らし、山菜採りを楽しむひとりです。
「山菜採りをしているときは、とにかく無心になってやっているね」と清子さん。近くの山菜に手を伸ばしながら、視線はもう次のターゲットの山菜を狙っているそう。まるで山菜ハンターです!
取材の日は6月上旬ということで、既に山菜のシーズンはほぼ終わりがけ。ですが、まだ採取できる山菜があるということで、清子さんがいつも山菜を取る場所へ連れて行ってもらいました。
「山菜の王様」と呼ばれるタラの芽を発見!棘に注意しながら、枝の先にある葉っぱの部分を採っていきます。
最近はほとんど自宅近くで山菜を採っているという清子さんですが、かつては早朝から山まで出かけることもあったそう。
「山に行くときはおにぎりを持って、朝5時から出かけたよ。昔はそうやって、山菜を山に採りに行く人たちに憧れていたんだよね。山菜のことをよく知っていないと、入って行けないからね」。
たくさん採れた旬の山菜は、シンプルに調理するのが一番。天ぷらや、ごま和え、おひたしでいただくのが定番です。ワラビなどのアクが強い山菜は、灰や重曹でアク抜きすることも忘れずに。
ジューシーなタラの芽に、ややクセがあるけれど爽やかなウド、独特のほろ苦さがあるワラビ…。それぞれ個性ある味わいから、好みの山菜を見つけるのも楽しいですね。
木々が芽吹き、新緑が眩しくなる季節ならではの山の味覚。最近は村内でも山菜採りをする人は少なくなっているそうですが、旬の味覚を自分で見つけて味わえるこの営みが、できるだけ永く続いていくことを願わずにはいられません。