対談 – 飛騨日日新聞 https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi 飛騨日日新聞は白川村での暮らしや文化、 そこに生きる村民のストーリーを届けるメディアです。 Tue, 10 Oct 2023 11:21:45 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.4.4 【対談/移住ってどう?】移住者、若者との交流 https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/ijyuttedou03/ Tue, 31 Jan 2023 10:38:58 +0000 https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/?p=2836 移住に関するさまざまなテーマで対談する「移住ってどう?」。今回は、長年白川村で暮らし、移住者や若者をあたたかく見守っ てくれる“村のおばあちゃん” の佐藤さん、蟻原さんに、白川村の特徴的な相互扶助の精神「結(ゆい)」をはじめ、村民同士の助け合いや交流についてお話を伺いました。

佐藤 直子(さとう なおこ)さん

白川村小白川地区で生まれ、結婚を機に白川村荻町へ。呉服屋を経て、現在は「喫茶さとう」を切り盛りする。愛称は「なおちゃん」。

蟻原 基子(ありはら もとこ)さん

白川村鳩谷地区で生まれ育つ。かつては看護師や薬種商として働き、現在は役場近くでゲストハウス「Ant Hut」(アントハット)を営む。愛称は「もっちゃん」。

お二人は普段から移住者や若い方と交流されていますが、何かきっかけはあったのでしょうか?

佐藤:地域おこし協力隊の制度が始まった頃、よく協力隊の子がうちに訪ねてくれて、関わりができたね。

蟻原:うちのゲストハウスに「白川郷トヨタ自然學校」の就職試験を受ける子たちが泊まってくれてね。その子達が村に就職してからも、遊びに来てくれるんやよ。

蟻原さんが営むゲストハウス「Ant Hut」(アントハット)

具体的にはどんな交流があるのでしょう?

佐藤:「喫茶さとう」でアルバイトしてもらったり、インターンで村に来た大学生が荻町の店で働いてたときは、仕事が終わってからみんなでうちで夕飯を食べたり、料理が好きな子には白川村の郷土料理を教えたりもしたよ。

佐藤さんが営む「喫茶さとう」

蟻原:一緒に山菜採りに行って山でご飯を食べたり、ゲストハウスで話したりしてね。何でもない世間話だけど、嬉しかったことや悲しかったことをいろいろ語りあったんや。

佐藤:他人を自宅にあげることに驚く人もいるけど、特別なことは何もしてない。食事も漬物とか豆腐ステーキとか、簡単なものを食べてくれたよ。

蟻原:無理をすると続かないから、いつも自分が食べているもので、おもてなししないとな。

白川村の人は親切な方が多いですが、お二人は特に移住した方や若い人をあたたかく迎えていますよね。何か思いや考えがあるのでしょうか?

佐藤:昔は村が今ほど裕福じゃなかったけど、もっと「結」が強かったの。そのおかげで今の暮らしがあるから、すごく感謝してる。だから、これからも結が続いてほしいし、新しく白川村に来てくれた人とも心を通わせて、助け合っていきたいと思ってるの。

蟻原:自分が知らない土地で一人ぼっちだと寂しいじゃない?だから、移住してきた人の心の拠り所になればと思ってね。

佐藤:ちょっと困った時に「あのおばあさんに話を聞いてもらおう」と思ってもらえるといいよね。信頼できる人が周りにたくさんいるほど、その土地への安心感や愛着が生まれると思うよ。

蟻原:移住の取組みも、行政だけでなくて地域を巻き込んでやらないとね。移住してきた人が関わるのは、結局、地域の人だからな。

佐藤:世界遺産に登録された頃、村で講演会があって、その中で「白川村は“ピーマン”にはならないように」って言われたの。合掌造りの外側を守るだけではなくて、中身が空洞にならないように、とお話されて、それがすごく印象に残ってる。

蟻原:“中身”というのが、白川村だと結の精神や、助け合うことなのかもしれないね。

佐藤:移住する人も、やっぱり結を大切にしてくれる人がいいね。甘えたり、頼りっぱなしではなくて、一人一人やれることは自分でやりながら、それが茅葺き屋根の茅のように束になって、助け合える関係にできたらいいなと思うんや。

蟻原:今はだんだん結が弱くなっているから、改めて村民も助け合う心を育てないとね。移住した人に“よう来てくれた”って気持ちを伝えていかないと、って思うよ。

そういった心を育てるにはどんな取組みが必要だと思いますか?

蟻原:村の未来について、みんなで腹を割って話せる場があればいいなと思う。同じ思いの人が集まって、そこに移住してきた人も加わって、自分事として村のことを考える人が増えていくと、すごくいい村になると思うよ。

佐藤:昔からの白川村の良いところを大切にしながら、いい考えは取り入れることができると、もっと住み心地がいい村になっていくんじゃないかなあ。

ー飛騨日日新聞編集部も日頃からお世話になっている「なおちゃん」と「もっちゃん」。お二人に持参していただいたお茶やお菓子をいただきながら、和やかな雰囲気で取材も進められました。そして、取材後はなおちゃんのご自宅にお邪魔して手作りの稲荷寿司やお漬物もごちそうになりました。お二人のような“村のおばあちゃん”の存在は、新たに白川村で暮らしを始める方にとっても、きっと心強いことでしょう。

今回の対談会場

今回、対談を行った会場は、飛騨日日新聞の拠点である白川村荻町の白川郷合掌文化館(旧松井家)。取材を行った11月の終わりは、ちょうど雪囲いが終わり冬の支度が整っていた。

]]>
【対談/移住ってどう?】村の子育てと地域との関わり https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/ijyuttedou01/ Mon, 11 Jul 2022 21:00:00 +0000 https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/?p=1796 移住に関するさまざまなテーマで対談する「移住ってどう?」。今回は、子育て奮闘中で普段から仲が良い2人にお話を聞きました!

余語茉莉花(よごまりか)さん

白川村生まれ。2018年にUターン。現在は「おけさ民芸品店」「飛騨牛にぎり処 おけさ」で働く。2児の母。

上手敬子(かみでけいこ)さん

金沢市出身。結婚を機に白川村に移住。現在は「ふるさと味処 結の郷」で働く。2児の母。

まずは、移住のきっかけを教えてください!

上手:白川村出身の旦那さんとの結婚で移住しました。金沢市の飲食店で働いていた時にお客さんとして出会って、付き合い始めて。最初は結婚まで考えていなかったんですが、白川村に遊びに来るたびに「いつお嫁に来るの?」と周りからすごく聞かれましたね。でも、嫌な気はしなくて、むしろ歓迎ムードが嬉しくて、嫁ごうと思いました(笑)。

余語:私は白川村出身だけど、高校進学後は村外にいました。Uターンのきっかけは都会での子育てに限界を感じたから。2人子どもがいると1人が病気になってもなかなか病院に行けなかったり、公園の人の多さが気になったり…。それで自分が育ったような環境で育てたいなと考えたの。それと、これから世の中がどう変わっていくかも分からないから、自給自足というか、自分の力で生きられる子になってほしいと思って、当時住んでいた名古屋で自然に囲まれた幼稚園を探したんだけど、費用が高いし、園庭も狭くて…。

上手:全国色々探したんだよね。

余語:そう、北海道から九州まで調べたね。全国でいい場所を探していたら、実は白川村が条件にぴったりで!

上手:元々はUターンを考えていなかったのが面白いよね!

余語:本当に、灯台下暗しだったよね(笑)。それに知り合いも多くて安心できるのもあって、帰ることに決めました。あとは旦那さんは海外の友人が多くて、白川村だと世界遺産もあって、案内しがいがあるのもいいなと思って。

実際に、村での子育てはどうですか?

上手:村の人みんなが見守ってくれるのがすごくいい。自分の子どもじゃなくても悪いことをしたら叱ってくれる。子ども同士も学年関係なく仲がいいよね。

余語:前に「白川郷 どこにいっても ぼくの家」という川柳を作った人がいたけど、本当にその通りだなと思う。

上手:でも、村に親族がいない人は大変かも。保育園の預かり時間が短いし、延長保育や土曜保育の制度はあるけど、利用することがあまり一般的ではないよね。

余語:祖父母が世話できることが前提になっているかもね。子どもを預かる公的な制度が整っていけば、子育て世代も移住しやすいんじゃないかな。

上手:でも、移住した家族の子どもも、他の子と同じようになじんでいるのがほとんどだよね。

移住者はどうすれば地域になじめるでしょうか?

余語:いろんなコミュニティに顔を出すことかな。公的なものも仲間内の飲み会も、手を挙げれば断られることはないと思う。

上手:私たちが出会ったのもどぶろく祭だったよね。

余語:どぶろく祭には、村を出た人も大体帰ってくるよね。私も絶対に帰ってきてた。毎年本当に楽しみで、高揚感がすごいんだよね。最近は結(ゆい)の活動も簡素化しているから、村民がいちばん一致団結すると思う。この時は村の人もすごくオープンだからなじみやすいかも(笑)。

上手:良くも悪くも、白川村では人との繋がりが必須だなと思う。「自分たちだけで暮らしたい」という人は難しいかもね。私は移住してきて村民に「当たり前やさ」って言われることが普通じゃないよ、と思うことが多かったから、その「当たり前」を教えてくれる人がいるといいなと思う。

余語:移住者と元々の村民を繋いでくれるような人と、最初のうちに出会えるといいよね。

今後、白川村がどんな村になるといいと思いますか?

余語:村出身の人も、移住者もそれぞれの良さを生かせる希望が持てる村になるといいな。「この村から何か発信したい!」と思えるような。

上手:村外から人が来てくれる「面白そうな村」になってほしいね。やりたいことを応援してくれる村というか。

余語:でも、合掌造りとか結(ゆい)の心とか、白川村が大切にしてきたものを守ることも大事。「守りながら変える」ことができるといいね。

上手:村民で移住者に抵抗がある人もいるけど、昔ながらの良さを維持するためにも、村民と移住者が交流して、お互いに柔軟になっていけるといいね。

ー白川村出身者、移住者という違いはありながら、それぞれの立場や経験から、移住への考えや白川村への思いをたくさん語っていただきました。お二人とも、ありがとうございました!

***

【余語さんが働くお店】

おけさ民芸品店・飛騨牛にぎり処 おけさ

余語さんが働く「おけさ民芸品店」「飛騨牛にぎり処 おけさ」。「おけさ民芸品店」では、白川郷らしいお土産の品が豊富に揃います。テイクアウトのフードやドリンクがいただける「飛騨牛にぎり処 おけさ」では、飛騨牛にぎり、結旨豚(ゆいうまぶた)にぎり、飛騨牛軍艦の「飛騨の至福3種盛り」が人気。結旨豚にぎりを食べられるのは「飛騨牛にぎり処 おけさ」だけ!

飛騨の至福3種盛り(1,000円)

おけさ民芸品店・飛騨牛にぎり処 おけさ

住所/岐阜県大野郡白川村荻町103

営業時間/おけさ民芸品店 9:00〜17:00、飛騨牛にぎり処 おけさ 10:00〜16:00頃(なくなり次第終了)

定休日/不定休

Instagram/@okesa_shirakawago

【上手さんが働くお店】

ふるさと味処 結の郷

上手さんが働く「ふるさと味処 結の郷」。白川産米で作る自家製の焼きおむすび「ゆい結び」が名物。香ばしい醤油の香りが食欲をそそります。結旨豚やA5等級の飛騨牛の串焼き、飛騨牛乳使用のソフトクリームなど、白川郷の散策中にいただきたいグルメもたくさん!夏には冷たいドリンクもおすすめです。

ふるさと味処 結の郷

住所/岐阜県大野郡白川村荻町103

営業時間/9:30~16:00

定休日/不定休

WEBサイト/https://yuinosato.base.shop/

Instagram/@shirakawago__yuinosato


今回の対談会場

白川郷合掌文化館(旧松井家)。飛騨日日新聞の拠点である合掌造りの建物で、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定され、世界遺産にも登録されている白川村荻町にある。

]]>