自然の傍らで働く仕事に惹かれ、就職を機に白川村へ
黒坂真(しん)さん、久実(くみ)さんご夫婦は、ともに白川村馬狩(まがり)地区にある豊富な自然体験プログラムが自慢のホテル「トヨタ白川郷自然學校」で働く移住者。
大学時代に国内外で教育に関わるさまざまなプログラムやボランティアに参加していた真さん。二十歳の頃から“地球規模の視点で、自然体験や国際交流を通じて青少年教育に携わりたい”と考えていました。
就職活動では教育関連の企業に内定していましたが、偶然、自然學校の開校スタッフ募集を知り、「正に自分がやりたかったことだ」と共鳴。内定していた企業を辞退して2005年に白川村へ移住しました。
一方、久実さんは長野県の大学に在学中に自然學校のインターンに参加。その後2008年に自然學校に就職し、白川村へ移り住みました。
“自然とともに暮らしたい”という同じ志を持ち、出身が同じ神奈川県だったお二人は意気投合。2011年には結婚へと至りました。
結婚当初は村内の集合住宅で暮らしていましたが、久実さんの“ヤギと暮らしたい”という想いを叶えるため、自然學校の敷地内にある合掌造り家屋を借りて住むことに。ヤギのメェちゃんと共に、森の中での暮らしを楽しみました。
山に、森に、川に。白川村の自然を家族で楽しむ
2015年には娘の結(ゆい)ちゃんの誕生を機に、平瀬地区の築60年の古民家へお引越し。現在は息子の弦(げん)くんも加わって、家族4人で暮らしています。
山菜採りや川遊びに出かけたり、広々とした庭では梅や花梨、桑の実や山椒、銀杏などさまざまな自然からの恵みを頂いたり。また、季節ごとに花見や紅葉を楽しんだりと、黒坂家の日常はいつも自然と共にあります。
もちろん、豪雪地帯である白川村だからこそ、雪遊びも全力で。
さらにコロナ禍で外出自粛となった時には、家族で森の秘密基地づくりにも挑戦しました。
子どもたちは自ら道具を手にしてテーブルやイスづくりにチャレンジ!森の中で自由に、のびのびと遊び、育つ子どもたちを見て、お二人は改めて“森は子育てに最高の場所”と実感したのでした。
ここでの暮らしの豊かさを伝えていきたい
「なぜ便利とは言えない白川村に移住したの?と聞かれることもありますが、私たちには自然と寄り添う今の暮らしが何よりも贅沢で、豊かだと感じています」と真さんと久実さん。
そんなお二人も、実は、白川村で暮らし続けることを初めから決めていたわけではありませんでした。
きっかけとなったのは、白川村の子どもたちと関わったこと。
「自然學校の仕事で、村の子どもたちと一緒にキャンプをした際、早くテントを立てた子たちが自ら進んで別のテント立てに協力しに行ったことがとても印象に残っていて。自分の子どもたちにも、村の子たちのように優しくて素直な子になってほしいと感じ、ここで子育てしたいと思うようになりました」。
白川村ならではの地域の活動や、どぶろく祭などの行事にも積極的に参加。今年のどぶろく祭では、結ちゃんは稚児さんを務めました。また、黒坂家を会場にご近所の方を招いたお食事会もよく開かれています。
「地域の方も子どもたちを見守ってくれています。一緒に遊んだり、ご飯を食べたりする時間も楽しいです」。
豊かな山々やあたたかな人々に囲まれて、黒坂家はこれからも、白川村らしい暮らしを紡いでいきます。
黒坂真さん、久実さん
共に神奈川県出身。真さんは2005年、久実さんは2008年に「トヨタ白川郷自然學校」への就職を機に、白川村へと移住。現在は娘の結ちゃん、息子の弦くんとともに家族4人で暮らす。