移住者 – 飛騨日日新聞 https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi 飛騨日日新聞は白川村での暮らしや文化、 そこに生きる村民のストーリーを届けるメディアです。 Mon, 25 Mar 2024 10:02:59 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.4.4 自然と人が交わる地で、新たなかたちの拠点を営む/稲葉健治さん、翔子さん https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/inabakenji_shoko/ Mon, 25 Mar 2024 10:02:57 +0000 https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/?p=5068 自然と人、モノが交わる土地で開いた念願の宿

2023年7月、白川村御母衣(みぼろ)地区に誕生した「サルガバンバ」。

“温泉ホステル&発酵レストラン&ガレージサウナ”という新たなかたちの拠点を営むのは、愛知県出身の稲葉健治さん、翔子さんご夫妻です。

健治さんは13年のサラリーマン生活ののち、ダイニングバーの店長を務めていました。一方、翔子さんは身体に優しいスパイス料理を提供する店に勤めていました。

幼少期から国内外を巡り、いつか自分の宿を開きたい、と夢を持っていた健治さん。2021年の暮れ、同じ想いを抱いていた白川村の友人にかつて旅館だった空き家を紹介されると、豊かな森や川、人やモノが交わる三叉路という立地が気に入り、お二人は移住を即決。2022年の夏から宿の工事に着手しました。

日本中を旅する中で出会った大工や外構職人、クロス職人、電気工事士といった仲間の力を借り、時には寝袋で寝泊まりしながら、ほぼDIYで作業を進めます。

御母衣ダムで見つけた流木や、美濃焼の器やタイル、トチの木といった岐阜にゆかりのあるものと、自分たちが築いてきたつながりの融合によってできあがった建物は、二人のセンスが光るのはもちろん、それぞれにストーリーが込められています。こうして約1年かけて完成したサルガバンバは、2023年7月にオープンに漕ぎ着けました。

いくつもの目的がある場所で、多様な人が混ざり合う

サルガバンバの客室は全部で3部屋。ミニマムで洗練された空間で、大きな窓からは自然を間近に感じられます。繋がりのあるyggpranksさんが作成したひょうたんライトに明かりを灯せば、幻想的な雰囲気に様変わり。華美な装飾やサービスはありませんが、気持ちよく過ごせる場所となっています。

大白川温泉の源泉掛け流しの露天風呂は貸し切り制。春夏秋冬それぞれの季節の移ろいを感じながら、心ゆくままにのんびりとくつろげます。シャンプー、トリートメント、ボディーソープは生分解率95%のオリジナルのオーガニックシリーズを備え付けていて、川の上流に住むものとして環境への配慮も欠かしません。

2023年10月にはサウナも完成。元々解体予定だったガレージをおもしろく活用したいとできあがった薪ストーブのサウナは、ヨモギ水のロウリュも楽しめます。

さらに、入り口近くには物販スペースも。同じく移住者である大豆村沙里さんのカゴバックやアクセサリー、高山市のhugさんのアパレルといった“地元のもの”と、お二人が信頼をおいている“友達のもの”が揃います。

そして、「人や情報が交わる場所になれば」と併設されたレストランでは、白川村の山菜やきのこ、自分たちの畑で手がけた野菜や、近隣で作られた無農薬野菜、村のブランド豚・結旨豚を使った身体に優しい発酵食を提供。調味料は、白川村荻町にある白川郷HAKKO堂さんの味噌や麹を活用し、ケチャップやマヨネーズも手作り。地酒からナチュールワイン、海外からセレクトしたクラフトビールなど、お酒も豊富に並びます。

さらに、音楽や、食、お酒が楽しめるイベントも不定期で開催。

白川村にこれまでなかった、見た目も味も洗練された料理や非日常感がありながら居心地のよい空間は、観光客はもちろん、幅広い年代の村民を惹きつけ、今までにない出会いや交流が生まれています。

白川村の子どもたちが、村の可能性に気づく場所になれば

「ものが溢れている場所はもちろん便利に間違いないですが、ないならないなりに、何でもできます。やりたいことがあって移住したんだから、楽しまないともったいないですよね」とお二人。

当初は「見られている」感覚だった村民との距離感も、店を利用してもらい、自らも地区の運動会や、どぶろく祭といった地域の行事に参加する中で、「見守られている」認識に変わったと語ります。

白川郷学園から中学生の職場体験を受け入れも行い、中には「ここで働きたい」と手をあげる高校生も。

「白川村は将来の選択肢が少なくて村を出てしまう子どもたちも多いですよね。でも、この村にあるものは素晴らしくて、街に出なくてもかっこいいことがいくらでもできるのだと、この場所から伝えられたら最高です」。

白川村の未来を明るく変えていく、新しく力強い風が、今、吹き始めています。


稲葉健治さん、翔子さん

愛知県出身。共に名古屋市で飲食業に従事した後、2023年4月に白川村に移住。温泉ホステル&発酵レストラン&ガレージサウナ「サルガバンバ」を営む。

]]>
自然に寄り添いながら育む、家族4人の暮らし/黒坂さんご一家 https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/kurosakake/ Tue, 10 Oct 2023 19:57:00 +0000 https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/?p=4315

自然の傍らで働く仕事に惹かれ、就職を機に白川村へ

黒坂真(しん)さん、久実(くみ)さんご夫婦は、ともに白川村馬狩(まがり)地区にある豊富な自然体験プログラムが自慢のホテル「トヨタ白川郷自然學校」で働く移住者。

大学時代に国内外で教育に関わるさまざまなプログラムやボランティアに参加していた真さん。二十歳の頃から“地球規模の視点で、自然体験や国際交流を通じて青少年教育に携わりたい”と考えていました。

就職活動では教育関連の企業に内定していましたが、偶然、自然學校の開校スタッフ募集を知り、「正に自分がやりたかったことだ」と共鳴。内定していた企業を辞退して2005年に白川村へ移住しました。

一方、久実さんは長野県の大学に在学中に自然學校のインターンに参加。その後2008年に自然學校に就職し、白川村へ移り住みました。

“自然とともに暮らしたい”という同じ志を持ち、出身が同じ神奈川県だったお二人は意気投合。2011年には結婚へと至りました。

結婚当初は村内の集合住宅で暮らしていましたが、久実さんの“ヤギと暮らしたい”という想いを叶えるため、自然學校の敷地内にある合掌造り家屋を借りて住むことに。ヤギのメェちゃんと共に、森の中での暮らしを楽しみました。

山に、森に、川に。白川村の自然を家族で楽しむ

2015年には娘の結(ゆい)ちゃんの誕生を機に、平瀬地区の築60年の古民家へお引越し。現在は息子の弦(げん)くんも加わって、家族4人で暮らしています。

山菜採りや川遊びに出かけたり、広々とした庭では梅や花梨、桑の実や山椒、銀杏などさまざまな自然からの恵みを頂いたり。また、季節ごとに花見や紅葉を楽しんだりと、黒坂家の日常はいつも自然と共にあります。

もちろん、豪雪地帯である白川村だからこそ、雪遊びも全力で。

さらにコロナ禍で外出自粛となった時には、家族で森の秘密基地づくりにも挑戦しました。

子どもたちは自ら道具を手にしてテーブルやイスづくりにチャレンジ!森の中で自由に、のびのびと遊び、育つ子どもたちを見て、お二人は改めて“森は子育てに最高の場所”と実感したのでした。

ここでの暮らしの豊かさを伝えていきたい

「なぜ便利とは言えない白川村に移住したの?と聞かれることもありますが、私たちには自然と寄り添う今の暮らしが何よりも贅沢で、豊かだと感じています」と真さんと久実さん。

そんなお二人も、実は、白川村で暮らし続けることを初めから決めていたわけではありませんでした。

きっかけとなったのは、白川村の子どもたちと関わったこと。

「自然學校の仕事で、村の子どもたちと一緒にキャンプをした際、早くテントを立てた子たちが自ら進んで別のテント立てに協力しに行ったことがとても印象に残っていて。自分の子どもたちにも、村の子たちのように優しくて素直な子になってほしいと感じ、ここで子育てしたいと思うようになりました」。

白川村ならではの地域の活動や、どぶろく祭などの行事にも積極的に参加。今年のどぶろく祭では、結ちゃんは稚児さんを務めました。また、黒坂家を会場にご近所の方を招いたお食事会もよく開かれています。

「地域の方も子どもたちを見守ってくれています。一緒に遊んだり、ご飯を食べたりする時間も楽しいです」。

豊かな山々やあたたかな人々に囲まれて、黒坂家はこれからも、白川村らしい暮らしを紡いでいきます。


黒坂真さん、久実さん

共に神奈川県出身。真さんは2005年、久実さんは2008年に「トヨタ白川郷自然學校」への就職を機に、白川村へと移住。現在は娘の結ちゃん、息子の弦くんとともに家族4人で暮らす。

]]>
【白川村求人図鑑】藤助の湯 ふじや https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/fujiya/ Sun, 08 Oct 2023 18:00:00 +0000 https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/?p=4366

白川村にはどんな仕事や働き方があるんだろう?「白川村求人図鑑」では村内のさまざまな企業や仕事を紹介します!

今回ご紹介するのは、世界遺産の合掌造り集落から車を15分ほど走らせた平瀬温泉エリアにある、「藤助の湯 ふじや」さん。

3代目の女将である小坂五東子(いとこ)さんにお話を聞かせていただきました。

ふじやさんの創業は、70年ほど前の戦後間もなく。当初は旧白川街道沿いに宿を構えていましたが、 1970年ごろに1本西に入った場所に別館を開きました。現在は別館が“本館”となり、こちらの建物のみで営業されています。

建物は、飛騨市宮川村の150年前の古民家を移築して再建されたもの。

たくさんの木々に囲まれていて、ちょっとした隠れ家のような佇まいです。入り口までのアプローチからも、四季折々の自然を感じることができます。

少し背の低い入り口から足を踏み入れると、天井が高く開放的な空間が広がります。焦茶色の柱や梁に、重ねてきた年月が感じられますね。

客室は、和室・和洋室・古民家特別室の全11室。

「元々の宿は民宿のような和室だけでしたが、現在は全室トイレ・洗面所が付いています。70年の歴史の中で、お客様のニーズに合わせながら変化してきましたね」と五東子さん。

特別に、1室だけの古民家特別室を見せていただきました!

居間、囲炉裏のある部屋、寝室となる和室の3部屋があり、とっても広々。お部屋の自体は純和風ですが、絨毯やクッションがモダンなインテリアでまとめられているので、幅広い年代の方に好まれそうです。

そして、窓際には立派なマッサージチェアも!窓から移りゆく絶景を眺め、風を感じながらリラックスできそうです。

「子宝の湯」と名高い平瀬温泉。

その名湯を源泉掛け流しで楽しめる温泉は、内風呂、露天風呂、貸切露天風呂の3種類。中でもおすすめの貸切露天風呂では、春や夏には緑、秋は紅葉、冬は雪見風呂と、どの季節も抜群の眺望を満喫できます。

もちろん、お料理もこだわりが満載。川魚や飛騨牛など、地元食材をふんだんに使った料理が堪能できます。腕を振るうのは、五東子さんと旦那さんの裕紀(ひろき)さん。

「お料理は、両親の背中を見ながら学びましたね」と五東子さんは目を細めます。

夕食はいろりのある個室、朝食は天気がよければ緑いっぱいのテラスでいただけます。素敵な空間の中での食事は、お料理がいっそう美味しく感じられそうですね!

***

お部屋も、温泉も、食事も魅力的なふじやさんですが、こうした魅力を一層際立たせているのが、仲居さんたちのおもてなし。お客様の心に残る旅になるよう、丁寧な接客を心掛けられています。

現在、そんなふじやさんを支える仲居さんを、新たに募集中!ということで、仲居さんの一人である能藤(のとう)忍さんにお話を聞かせていただきました。

能藤さんは、2016年に白川村に移住し、近所の方に誘われて2017年より「藤助の湯 ふじや」で仲居として働き始めました。

お客様の案内などの接客や掃除、料理の簡単な盛り付けや配膳といった仕事を任されています。

「日本や世界のいろいろな場所から来るお客さんとコミュケーションをとることが楽しいですね。特に夕食を提供している時にお話しさせていただくことが多いです。あとは宿やお料理を喜んでもらえると嬉しいですね」。

また、ふじやさんで働き始めてからお知り合いも増えたそう。

「従業員はみんな仲が良くて、あたたかい雰囲気です。私は移住者なので、元々村に知り合いは少なかったのですが、ここで働き始めて友人が増えました。村の方も宴会などで宿を利用することがあるので、仕事を通じてお知り合いができました」。

最後に、どういう方がこの仕事に向いているか、お聞きしました。

「明るくてやる気のある方だと楽しく働けると思います!仕事内容はやりながら覚えられるので経験はなくても、大丈夫ですよ」。

***

大自然に囲まれた趣のある宿で、国内外から訪れるお客様を迎える「藤助の湯 ふじや」さんのお仕事。観光客で賑わう合掌造り集落とはまた違った魅力のある平瀬地区にある宿だからこそ、より深く白川村を楽しみたい方をもてなすことができそうです。

***

現在、ふじやさんでは新たな仲間を募集中!興味のある方はぜひご応募してみてくださいね。

【仕事内容】接客、掃除、料理補助など

【雇用形態】正社員、パート・アルバイト

【給与】正社員 月給160,000円〜 / パート・アルバイト 1,000円~

【勤務時間】シフト制(8:00~12:00 / 14:00~17:00 / 18:00~21:00の3パートから選択、複数の時 間帯の選択も可能)※正社員はこのうち8時間勤務

【応募・問合わせ】興味のある方は下記までお問い合わせください。
 藤助の湯 ふじや
 〒501-5507 岐阜県大野郡白川村平瀬325-1
 TEL:05769-5-2611(担当:小坂)

***

藤助の湯 ふじや

住所/岐阜県大野郡白川村平瀬325-1

TEL/05769-5-2611

]]>
移住者交流会が開催されました! https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/ijusyakoryu202306/ Tue, 08 Aug 2023 04:18:55 +0000 https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/?p=3843 2023年6月末のある日、白川村の白川村総合文化交流施設で移住者交流会が開催されました!

移住者交流会は、白川村に最近移住してきた人などの村民同士の交流を目的に、白川村移住交流窓口が企画したイベント。

当日は会場の白川村総合文化交流施設に、生まれたばかりの移住者の赤ちゃんから、白川村に何十年も暮らすベテランの村民まで、32人が集まりました。

食事をしながら、ゆるやかな雰囲気で交流を深めてもらおうということで「白川郷 お食事処いろり」さんのオードブルも用意されました。とってもおいしそう!

そして白川村移住交流窓口のスタッフの挨拶で、移住者交流会がスタート!

それぞれのテーブルでは、「どんな理由で移住したの?」「今はどんなことをしている?」「白川村の暮らしはどう?」といった話題で会話が弾みます。

同じ時期に移住した人であっても、普段は仕事や家庭のことがあったり、住んでいる地域が違ったりするとなかなか知り合う機会がありません。今回はそんな方々のための企画ということもあって、同じ境遇の人同士、話が盛り上がります。

もちろん、白川村に長く住む村民と、移住者も交流。「冬には雪が2メートルも積もることもよくあるね」と、白川村の暮らしについて教える姿もみられました。

ある地区の区長さんからは「移住された方に子どもができて、地域がとても賑やかになって嬉しいよ」なんていう言葉も。

途中で席替えをはさんで、また新たな方同士が交わり合います。さらに、食事を取りに行ったついでに立ち話で話が盛り上がる方々の姿も見受けられました。

そして、大盛況のうちに移住者交流会は終了!最後は一本締めで終了です。

白川村に最近移り住んだ方々をはじめ、白川村民同士の交流がより広がり、深まった「移住者交流会」。移住者はもちろん、何十年も住む村民からも「ふだんなかなか関わらない人と話ができて、楽しかった」と好評でした。

今後も移住者交流会は定期的に開催される予定ですので、興味のある白川村民の方はぜひ参加してみてくださいね!

*今後の開催情報は村の広報誌や防災無線などでお伝えします。

]]>
【郷暮らし手帖】消防団の操法訓練 https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/shobodan-sohokunren2023/ Wed, 19 Jul 2023 08:24:44 +0000 https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/?p=3673 白川村で毎年6月第2日曜に開催される「白川村消防操法大会」。村の消防団員たちは、この大会に向け毎年5月中旬から約4週間、平日はほぼ毎夜訓練を行います。

今回は大会直前に行われるリハーサルである、「審査会」の様子を取材させていただきました!

この日はあいにくの雨でしたが、会場である寺尾の村防災グラウンドにはたくさんの消防団員が集まっていました。

村内の消防団は9チーム。この日の審査会にはそのうち4チームが参加し、順番に消防技術の審査を行います。白川村で消防団員となるのは、主に20〜40代の男性。チームごとに人数はさまざまですが、多いと10人程度、少ないと5人ほどのチームもあります。

消防ポンプ操法には、消防ポンプ自動車(消防車の代表的なもの)を使う「ポンプ車操法」と、持ち運び可能な小型動力ポンプを使う「小型ポンプ操法」の2種類があり、チームごとにどちらの操法を行うかが決まっています。

最初に始まったのは、ポンプ車操法の審査会。

ポンプ車に乗り込んだ団員たちが定位置で車を降り、整列。出場選手はゼッケンをつけていて「指」は指揮者、「1」「2」「3」「4」は1番員、2番員、3番員、4番員、「補」は吸管補助員とそれぞれ役割が決まっています。

点呼が終わると指揮者は「ただいまからポンプ車操法を開始します」と審査班長に報告。

さらに「火点は前方の標的、水利はポンプ車右側後方防火水槽……」と、火元や水のある場所を伝える号令を続け、「操作始め!」の号令で計測がスタートします。

まずは、ポンプ車に乗り込み、一連の動きを行ってから、ポンプ車から降りて消火活動へ!

3番員と4番員が吸水管(水槽の水を吸い上げるホース)をポンプと接続し、水槽へとつなげます。吸管補助員は、吸水管がしっかりと水槽から水を吸い上げられているかを確認。

その間、指揮者、1番員、2番員は「火」と書かれた標的までの約70メートルを全力でダッシュ!ホースを素早く引き伸ばします。1番員はホースの先端の器具をつなげ、準備完了。1番員から「放水始め」と伝えられた2番員は、先ほど走った道のりを再び走り、機械を操作をする4番員の元へ。

放水開始です!

入れ違いに3番員は火災時に窓やドアを破って放水するために使う「トビ口」を運び、操作します。そして2番員も、1番員の負担を軽減するため再び標的まで走り、放水。

懸命な消火活動により、見事標的が倒れました!消火活動はこれで終了です。

計測はここまでですが、最後の片付けまで審査に含まれます。迅速かつ規律を守りながら、ホースを片付け、ポンプ車に戻り、撤収していきます。

こちらは「小型ポンプ操法」の訓練。ポンプ車に乗り込む以外は概ね同じ流れですが、指揮者と1番員〜3番員、吸管補助員の4名で行います。

団員たちは、グラウンド中に響くほどの大きな声を威勢よく出し、きびきびと動き、全力でグラウンドを走り回ります。ここまでの一連の動きを身につけるには、確かに相当な練習が必要です。

今年入団した中部第1班の小洞(こぼら)琢摩さんは「まずは姿勢や敬礼や、団体行動の基本から覚えました。覚えることがたくさんあり大変ですが、普段は関わらない方と交流できておもしろいです」と語ります。

白川村消防操法大会で活躍する小洞さん(1番員)

白川村の消防団はレベルが高く、岐阜県の大会で優勝したこともあります。また2022年に荻町の「白川郷の湯」で火災が発生した際は、村内すべての消防団員が集結し、決死の消火活動を行いました。

合掌造り集落では一たび火災が発生すると集落が全焼してしまう恐れもあり、消防団の存在は合掌造りの家屋を維持していくためにも不可欠です。

さらにこうした連日の訓練のおかげもあって村民同士のコミュニケーションが図られ、移住やUターンで村に住み始めた人がコミュニティに入るきっかけにもなっています。

一方で、団長の下方健弘(したかたたけひろ)さんは「今は、家族の在り方やライフスタイルが多様化しているから、白川村でも時代に合わせたやり方を考える必要があるね」と課題も語ってくれました。

時代の流れに合わせながらも、村を火災から守る消防団の活動は、今後も大切な役割を果たしていくことでしょう。

]]>
【座談会/移住ってどう?】地域のルールと移住 https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/ijyuttedou05/ Fri, 07 Jul 2023 11:02:26 +0000 https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/?p=3808 移住に関するさまざまなテーマのトークをお届けする「移住ってどう?」。今回は、地域の慣習やしきたりなどをまとめた「集落の教科書」を2018年に制作した石川県七尾市の高階(たかしな)地区(人口約千人)を訪問。制作の経緯や反響についてお聞きしました。

宮崎 𠮷春(よしはる)さん

石川県七尾市高階地区出身。七尾市たかしな地区活性化協議会会長。

坂口 初男(はつお)さん

高階地区出身。七尾市高階地区コミュニティセンター長。空き家の情報管理を担う。

高橋 雅人(まさと)さん

七尾市地域おこし協力隊(高階地区)。2021年に福井県から移住。

聞き手:白川村役場観光振興課/一般社団法人ホワイエ

「集落の教科書」制作の経緯

高階地区の「集落の教科書」では、これまで“暗黙の了解”となりがちだった地域のルールを明文化し、まとめています。どんなきっかけで制作されたのでしょうか?

宮崎:前任の地域おこし協力隊の一人が京都府南丹市の「集落の教科書」を紹介してくれたことがきっかけです。地域の魅力だけじゃない、ありのままを伝えているところが良くて、高階地区でも作ることになりました。

白川村にも村民の助け合いである“結”など、地域で明文化されていないルールがたくさんあります。「集落の教科書」では、あいさつ回りから町会費、葬式などかなり細かな情報が掲載されていますが、制作期間にはどのくらいかかったのでしょうか?

坂口:地域の課題に住民が協力して取り組むため、七尾市助成金を活用して、2018年の1年間で作り上げました。

宮崎:6月には南丹市で教科書の制作に関わったNPOの方に「集落の教科書」に対する、住民向けの説明をしてもらいました。夏休みには、能登のまちづくり会社「御祓川(みそぎがわ)大学」を通じて募集した、県外の大学生2人がインターンとして集落を回って、ヒアリングをしてくれましたね。

地域の住民ではない人がヒアリングすることに、特に抵抗はなかったでしょうか?

坂口:住民には、事前にヒアリングについて伝えていました。若い人が熱心に話を聞いてくれるからか、喜んで話してくれましたよ(笑)。

高階地区の住民は移住に対して好意的な雰囲気なんですね。

坂口:昔はそれほど移住に前向きではなかったのですが、初期の移住者の方たちが地域でとてもよく動いてくれて、イメージが良くなりました。高階地区では13年間で36人が移住していて、今では「移住の里」と言われることもあります。

集落の教科書の反響は?

「集落の教科書」に対する、移住者や住民の反応はいかがでしょう?

高橋:私は2021年に地域おこし協力隊として福井県から移住しました。当初、妻は移住に不安があったのですが、「集落の教科書」を通じて事前に地域を知ることができました。それに、こうした冊子を作る地域なら移住者を受け入れてくれそう、という印象を持ったので、高階地区を移住先に決めました。

宮崎:住民の反応も意外と大きくて、隣町でもルールが違うことを知ったり、自分の地域のしきたりを改めて考え直すきっかけにもなりましたね。

坂口:「集落の教科書」を見て移住した人はまだほとんどいないですけど、自治体からの視察は多いです。2020年には情報を更新して第二版を発行しました。

白川村でも地区によって組織の体制や行事、会合の頻度などはかなり違っています。人口が減り、高齢化が進む中で、他の地区を参考にしながらこれまでのやり方を見直すタイミングが来ているのかもしれません。

移住施策に取り組むことは仲間を増やすこと

宮崎:高階地区も小学校が廃校になったり、コロナで地域の行事が存続できなくなったりと課題がたくさんあります。危機感を持って地域のことに取り組まないといけないですね。

坂口:高階地区は、特徴的な特産物や産業、人が集まるような自然はありませんが、人情に厚いまち。今後も人口の増加というより“仲間を増やす”という想いで、地域や移住の取組みを進めたいです。

高階地区では、住民主導で移住者の受け入れ態勢が作られていることが印象的でした。今後は白川村でも、住民や事業者、行政が協力しながら移住者を受け入れる態勢を整え、移住施策に取り組んでいく必要があるかもしれません。

高階地区のみなさま、ありがとうございました!

今回の会場

旧高階小学校を活用した高階地区コミュニティセンター。地域の行事やサークル活動など、さまざまな住民活動の拠点となり、暮らしの困りごとの相談にも対応している。

]]>
【白川村求人図鑑】白山タクシー https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/hakusan-taxi/ Thu, 25 May 2023 05:17:15 +0000 https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/?p=3349 白川村にはどんな仕事や働き方があるんだろう?「白川村求人図鑑」では村内のさまざまな企業や仕事を紹介します!

白川村の主な交通手段は自動車。けれども中には、車を運転できない村民がいたり、公共交通機関で村を訪れる観光客も多くいます。

そんな人々が頼りにしているのが「白山(はくさん)タクシー」さんです。

事務所があるのは白川村南部の平瀬地区。今回は、代表を務める小川晋一さんにお話を伺いました!

***

1948年に小川さんの親戚の方が創業した、白山タクシーさん。その事業は「タクシー業務」と「バス業務」の大きく2つに分けられます。

電話で予約が入ったらお客様の元へと向かい、目的地まで送り届けるタクシー業務。まちなかを走る流しのタクシーとは異なり、予約が入るまでは事務所で待機するスタイルです。

観光客はもちろん、免許を返納している年配の方や、お酒を飲んで運転手がいない時など、村民にも利用されています。

1996年から始まったバス業務では、貸切バスと保育園バスの運行を行っています。

部活動の送迎や、団体ツアーを企画する旅行会社に利用される貸切バス。村民や個人の観光客が大人数で村内外を巡る時など、会社や団体だけでなく、一般の方でも活用できます。

保育園バスは、2022年に村内の2つの保育園が統合されたことにより運行を開始。白川保育園と南部地区文化会館(NBK)の間を走り、毎朝子どもたちを見守りながら送り届けます。

***

最近はコロナの影響が落ち着き、外出や旅行に出かける機会も増え、タクシーやバスを利用する観光客や村民が急増していることから、白山タクシーさんでは乗務員、事務員を募集しています。

乗務員の仕事はもちろん、タクシーとバスのドライバー。出勤はシフト制なので、今日はタクシー、明日は保育園バス…と、日によって異なる車を運転し、保育園児から外国人観光客までいろいろなお客様に対応します。勤務時間は、朝7時〜夜10時のうち8時間です。

現在働いている乗務員さんは、高山市や郡上市など村外の方が多いそうですが、もちろん村内の方も大歓迎です!

「村内はもちろんだけど、高山市や富山県、石川県の方にも行くことも多いです。いろんな土地の人と話したり、遠くまで行くことが好きな人には楽しい仕事じゃないかな」と小川さん。

必要な資格は、第二種運転免許。法廷で義務付けられた20時間の研修を受けてから乗務員となるので、これまでドライバーの経験がない方でも問題ないそう。

一方、会社を縁の下を支える事務員が担うのは、事務業務全般。

パソコンを使った入力作業や、伝票整理、配車手配、銀行手続き、電話対応などを行います。こちらも、はじめのうちは先輩社員に仕事を教わりながら覚えるので、事務職の経験がない方でも安心です。

乗務員は正社員、事務員はパート(正社員登用あり)を募集中。男女ともに歓迎ということです。最近は、女性のタクシードライバーも増えてきましたよね。

世界遺産・白川郷の交通を支える白山タクシーさんのお仕事。世界中から訪れる観光客との出会いや、日本の原風景を日々眺められることも大きな魅力です。

運転が好きな方はもちろん、コミュニケーションを取ることが好きな方や、四季を感じながら仕事をしたい方にもやりがいや楽しさを感じられる仕事ではないでしょうか。

***

「白山タクシー」では新たな仲間を募集中!興味のある方はぜひご応募してみてくださいね。

①乗務員

【仕事内容】タクシー乗務、観光バス乗務、路線バス乗務

【雇用形態】正社員(3カ月の試用期間)

【給与】200,000円

【勤務時間】7:00~ 22:00の間の8時間(時間外労働月平均5時間)

【必要な免許・資格】普通自動車第2種免許、大型自動車第2種免許

【備考】交通費・時間外勤務・乗務手当・無事故手当・精勤手当支給

②事務員

【仕事内容】一般事務業務全般(パソコン操作、伝票整理、銀行業務、電話対応、配車手配、来客対応)、その他付随する業務全般

【雇用形態】パートタイム(正社員登用あり)(試用期間なし)

【給与】時給1,000円

【勤務時間】平日9:00~17:00

【備考】交通費・時間外勤務支給

【応募・問合わせ】興味のある方は下記までお問い合わせください。
白山タクシー
〒501-5507 岐阜県大野郡白川村平瀬303-44
TEL:05769-5-2341(担当:小川)

***

白山タクシー

住所/岐阜県大野郡白川村平瀬303-44

TEL/05769-5-2341

]]>
自分が生きる場所を、楽しく、広げる/深田茉由さん https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/fukadamayu/ Tue, 11 Apr 2023 21:00:00 +0000 https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/?p=3169 人生を動かした、村の図書室との出会い

白川村の南部、平瀬にある旧平瀬小学校を活用した白川村南部地区文化会館(NBK)。ここには、児童書や郷土資料が揃う小さな図書室があります。

司書を務めるのは深田茉由(まゆ)さん。新潟県出身で大学進学を機に関東へ。そのまま観光業や販売業などに携わりながら社会人生活を送っていましたが、あるとき「自分の人生がひっくり変えるくらいの何かがほしい」と一念発起。2018年、筑波大学大学院に進学しました。

専攻は世界遺産学。日本各地の世界遺産に足を運ぶ中、2018年の夏、初めて白川村を訪れました。

その時、偶然NBKの図書室に立ち寄り、目の当たりにしたのは、村内外から寄贈されたデータ化を待つ大量の本でした。

元々本が好きで、学部生時代に司書の資格を取得していた茉由さん。大学院で興味のある世界遺産を学びながらも「わたしがやるべきことは何か」を探していた中での出会いに「これは私がやるべきことでは」と直感し、大学院を休学。書籍のデータ化を引き受けるため、半年間白川村に滞在することを決意したのです。

シェアハウス「やまごや以上ほしぞら未満」

2019年の春、白川村での暮らしが始まると、日々図書室で本の整理に勤しみながらも、司書業務や、シェアハウス「やまごや以上ほしぞら未満」での暮らし、どぶろく祭などの地域のイベントを通じて徐々に村民との関わりが増えていきます。

「白川村は小さな村だからこそ〝一人〞の存在がすごく大きくて。自分が必要とされる実感が、ここで暮らしたいという想いに繋がっていきました」。

そんな想いが募った結果、茉由さんは当初の予定だった半年の滞在期限を延長。2019年の秋、本格的に村へ移り住むこととなったのです。

図書室を拠点に、村内外を奔走

現在茉由さんは、移住前から関わりがあった「一般社団法人ホワイエ」に所属し、週の半分は図書室で選書や蔵書管理を行っています。

選書は、村民のリクエストも取り入れて決定しているので、村民好みにラインナップになっているそう。

そのほか、「青空図書室」や「軽トラ図書カー」など、NBKを飛び出して本に親しめるイベントを実施。図書室に足を運んでもらうため、多彩な企画に取り組みます。

「どこか行こうか、となった時に図書室が選択肢に入るといいなと思っています。今後は、例えば料理を題材にした絵本を活用して、本と現実が繋がるようなイベントもやっていきたいですね」。

ちなみに図書室の気に入っているところは、大きな窓から臨む、四季の移り変わりが感じられる景色だそう。

「データ化を進めている時、1日中図書室に籠る日もあったのですが、この景色のおかげで乗り越えられました」と笑います。

さらに、一般社団法人ホワイエでは、2021年から若者が岐阜県内の各地に住みながら学ぶプログラム「岐阜住学」を運営。学生などの受入やプラグラム作りを通じて、村内外の人を繋げています。

村民も移住者も。みんなで暮らしを楽しくできれば

村を盛り上げるさまざまな活動に励む茉由さん。ですが、意外にも“地域のため”という意識はそれほど強くないと言います。

“自分が暮らす場所を楽しくしたい”という想いが、行動の原動力です。

「白川村は、村のことを自分ごととして考える人が多いのがすごいですよね。村民も移住者も、いっしょに白川村を楽しくしていけるといいなと思います」。

“暮らす場所を楽しく”。

茉由さんの素直な考え方は、図書室はもちろん、白川村にも新しい風を吹かせています。


深田 茉由(ふかだ まゆ)さん

大学院在学中、偶然白川村の図書室を訪れたことをきっかけに、2019年秋に白川村へ移住。現在は一般社団法人ホワイエで司書業務と学生受入支援等を行う。

***

白川村南部地区文化会館(NBK)

深田さんが司書として働く図書室は、白川村南部の旧平瀬小学校を活用した白川村南部地区文化会館(NBK)にあります。図書室だけでなく、トレーニングルームや乳幼児室、調理室、音楽室のほか、勉強やサークル活動に使える学習室や研修室、懇親会や会議ができる食堂、誰でも自由に利用できるラウンジなどもあり、白川村民はもちろん、有料で村外の方も利用できます。

*南部地区文化会館図書室利用案内

白川村、飛騨地域に関する郷土資料、早稲田大学名誉教授柿崎京一先生からの寄贈本(農村社会学系)を含め、約2万冊の本を所有しています。

開館時間:平日 9:00~17:00/土日 月に4回開館(詳細日時は開館カレンダーをご確認下さい) 

住所: 岐阜県大野郡白川村平瀬126-11

WEBサイト:https://www.lib-finder.net/shirakawa-go/

Instagram:https://www.instagram.com/nbk2180/

]]>
【対談/移住ってどう?】家業と地域・子育て https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/ijyuttedou04/ Sat, 08 Apr 2023 02:38:25 +0000 https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/?p=3103 移住に関するさまざまなテーマで対談する「移住ってどう?」。今回は、白川村で家業の旅館を営みながら、2児の父親として子育てにも奮闘する三輪さん、谷口さんにお話を伺いました。

三輪 了(みわ さとる)さん

愛知県出身。高山市に住んでいた時に、白川村の「城山館」(現在改修中。2023年4月中旬再開予定)が実家であるゆきさんと出会い、結婚を機に移住。若旦那を務める。2児の父。

谷口 暁良(たにぐち あきら)さん

白川村出身。調理の専門学校を卒業後、愛知県のいくつもの飲食店で腕を磨いた後、2020年にUターン。実家の「お宿 湯の里」を継ぐ。2児の父。

白川村に住むに至った経緯を教えてください。

谷口:白川村出身で、愛知県のいくつかの飲食店で働いた後、白川村に2020年に戻って「お宿 湯の里」を引き継ぎました。今は妻と両親、子ども2人と暮らしています。

三輪:愛知県出身で、23歳から高山市で働いていたのですが、ある会合で今の奥さんに一目惚れして、結婚しました。現在は義実家の旅館「城山館」で若旦那として働いています。奥さんや子ども2人、義父母、奥さんの兄弟など合わせて10人で暮らしています。

三輪さんは大家族なんですね!お二人は家業を継いでいますが、引き継ぐにあたって何か想いはあったでしょうか?

谷口:兄が早くから違う道に進んだので、自然と旅館を継ぐ意識は持っていました。動物が好きだったり、他にも興味を持つことはありましたが、最近は旅館で「ペットと泊まれる部屋」を始めたり、料理以外の願望も、この仕事をしながら実現できていると感じていますね。

三輪:当初は結婚後、高山市で暮らす予定だったので旅館を継ぐつもりはなかったんです。けれども、周りから家業を続ける大切さを聞いて、腹をくくって旅館を継ぐことに決めました。

谷口:僕は料理以外の経験はあまりないから、了くんにはいろいろ相談しています。家族経営の旅館は村内でも少ないから力を合わせてやっていきたいね。城山館はいま改装中だから、了くんにはうちの旅館を一時期手伝ってもらったりもしていました。

三輪:そうなんです。湯の里さんは自分が働いていたのもあって、半分自分の家みたいになっていますね。(笑)

旅館を営みながらの子育てはいかがでしょう?

三輪:会社勤めの頃と比べると、一緒に過ごせる時間はすごく長い。それと、僕の住む荻町は子どもと歩くにはすごくいい環境です。世界遺産や食べ歩きできる飲食店がすぐそこにあって、もちろん山や川も近い。

谷口:僕の住む平瀬も、夏は川、冬は雪と、子どもが遊ぶのにいい場所。平瀬は地域全体が親戚みたいで、近所のおじいさん、おばあさんも孫のようにうちの子どもを可愛がってくれます。高山市や愛知県でも暮らしてきましたが、人と人との距離感が全く違いますよね。自分もここで生まれ育ってきたのもあって、子育てするならこういう環境がいいなと思いました。

三輪:村民はもちろん、観光客との触れ合いもあって、楽しいですよ。ただ、家が職場で仕事をしながら子育てもしなければならないので、大変な時もあります。

谷口:それと、ぼくたちは旅館業をやっているから子どももお客さんとかいろいろな人と関わるけど、ほとんどの白川村の子は限られた人としか付き合いがないから、高校に進学して初めて村を出た時に人間関係に苦労するという話も聞くね。白川郷学園や保育園でフォローしてもらえるといいなと思う。

村ならではの人付き合いが、子どもの成長にも強く影響しますね。お二人自身の地域の関わりはいかがでしょう?

三輪:僕は消防団に入っています。元々村民ではないので、村を歩くと「誰だろう?」と思われることも多くて。消防団に入ってからは、村の方に覚えてもらえるようになりました。

谷口:僕も消防団に入って、地域の皆さんに「村に帰ってきたんだね」と知ってもらえました。地域のコミュニティに繋がる場だなと思います。

三輪:荻町は毎月の「寄り合い」のほかに「税金寄り合い」という集まりもあります。世帯で一人出席が必要で、今は義父が出ていますが、ゆくゆくは自分になるかな。

谷口:そんなに集まりがあるんだね!平瀬は頻繁に集まる機会はないから、地域を盛り上げるために何かやりたいなと考えています。

お二人はそれぞれ、村外で働いた経験がありながら、現在は白川村に根を下ろして生活されています。そんなお二人から見て、今後、白川村で移住者を増やしていくには何が必要だと考えていますか?

谷口:白川村は合掌造りとか、保守的だからこそ守られてきた部分もあるけど、これからは新しい人も受け入れて、切磋琢磨することが大事だと思う。観光でも、暮らしの面でも、魅力ある地域になってほしいね。

三輪:あとはアパートとか、移住者が暮らす場所が整うといいよね。白川村で住みたい人を受け入れやすい環境になればと思いますね。

ー日々、旅館を営みながら多くの観光客を迎え入れているお二人。村外で暮らしてきた経験があるからこそ、白川村の魅力と課題の両面が見えているように感じました。お二人とも、ありがとうございました!

今回の対談会場

今回の対談会場は、谷口さんが営む白川村平瀬の旅館「お宿湯の里」。趣ある佇まいに、源泉掛け流しの平瀬温泉、地元の食材満載の郷土会席が楽しめる。旅館には珍しいペットと泊まれる客室も。

]]>
【白川村ランチ】手打ち蕎麦 妙幸 https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/myoko-soba/ Mon, 20 Feb 2023 21:00:00 +0000 https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/?p=2949 白川村南部の平瀬地区にある「手打ち蕎麦 妙幸(みょうこう)」さん。自家製のお蕎麦がいただけるお店です。

味のある藍色の「手打ち蕎麦 妙幸」の大きな看板が目を引きます!

看板の脇道を通って店内へ入ると、そこはまるでおばあちゃんの家に来たかのようなほっと落ち着く空間が広がっています。靴を脱いで畳に上がるスタイルで、座敷には席が3組とコンパクト。

店を営むのは、2016年に埼玉県から白川村に移住し、店をオープンした菅原幸一さんです。

実は10歳まで白川村の鳩谷地区に暮らしていた菅原さん。村を離れてからも旧友に会いに白川村にたびたび訪れていたと言います。大学卒業後は会社員として働いていましたが、定年間近になったある時「自分の店を持ちたい」という想いが募り、故郷である白川村で飲食店を開くことを決めました。

白川村への移住を決意してからは、1年ほど村に通い、地域の方と交流しながら移住の準備を進めてました。現在の店舗も、そんな中で見つけた物件です。

店内の壁には、写真と共にメニューが貼られています。

ベーシックなせいろ蕎麦やかけ蕎麦から、玉子とじ蕎麦、鴨南蛮蕎麦…。白川村らしい、すったてせいろ蕎麦もあります!

さらに、蕎麦以外にも蕎麦つゆで作るという親子丼や蕎麦焼き味噌、野菜の天ぷらといった料理も。

素材はできるだけ地元のものを使っていて、白川村で採れたネギや大根、キクラゲ、山菜、「深山豆富店」さんのすったて、丼ものには地元農家「大田ファーム」さんのお米を使用しています。

今回は、そんな白川村産の具材がいろいろ入った「精進煮かけ蕎麦」をいただくことに。

精進煮かけ蕎麦 1,220円

椎茸や舞茸といったキノコに、なす、ごぼう、長ネギ、ミョウガが入っていて、とっても具だくさん!

土佐のカツオから取った出汁が効いたつゆは、滋味深い味わいで、ゆずの爽やかさな風味が広がります。なすやキノコにはつゆがよく染み込んでいて、ごぼうやミョウガは食感が楽しい!

蕎麦は、どんな人にも食べやすい二八蕎麦。もともと菅原さんはそれほど蕎麦が好きではなかったのですが、奥さんのご実家で家庭的な自家製蕎麦をいただいたことをきっかけに、蕎麦好きになったそう。お店を開くにあたって、1年間教室で修行したそうです。

お店は菅原さんお一人で営まれているため、朝は5時に起床してつゆを作り、麺を打ちます。営業中はアルバイトの方に手伝ってもらうこともありますが、注文や料理、接客を一人でこなすこともあるそう。閉店後も皿洗いやふきんの漂白といった片付けをして…とやることがたくさん。忙しなく仕事をしていると、あっという間に夜更けの時間になってしまうと言います。

それでもお蕎麦を喜んでくれるお客さんの姿や、楽しそうな声が厨房にいても聞こえてくることが、何よりもモチベーションになると菅原さん。

「私が話好きなのもあって、時間がある時はお客さんといろいろお話しするのも楽しいですね。『お客さまノート』を置いているのですが、メッセージを残してもらえるのも嬉しいです」

今年で、開業して7年。毎日が慌ただしく過ぎていきますが、これからは少しずつペースを落としつつ、今度は自分が蕎麦作りを教える側になっていきたいと話します。

「幼少期白川村にいたので一応村に戻ってきたことにはなるのですが、長い時間がかかったのでほとんど移住みたいなものかなと思っています。私みたいなほぼ移住者でも、店を開いて、こうした暮らし方ができることを知ってもらうために、蕎麦作りを教えられたらいいですね」。

観光客はもちろん地元の常連さんも愛されている「妙幸」さん。しみじみと味わいたいお蕎麦はもちろん、菅原さんのやわらかなお人柄もお店の大きな魅力です。ぜひ、足を運んでみてくださいね。

手打ち蕎麦 妙幸

住所/ 岐阜県大野郡白川村平瀬126-65

営業時間/11:30~15:00

定休日/火曜日

TEL /05769-5-2378

]]>