行事 – 飛騨日日新聞 https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi 飛騨日日新聞は白川村での暮らしや文化、 そこに生きる村民のストーリーを届けるメディアです。 Fri, 15 Dec 2023 07:07:32 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.4.4 【郷暮らし手帖】平瀬どぶろく祭(後編) https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/hirasedoburoku2023_02/ Tue, 21 Nov 2023 11:59:54 +0000 https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/?p=4264 2023年9月25日、26日に白川村南部の平瀬地区でどぶろく祭が開催されました!

豊饒の秋に行われる白川郷の一大行事「どぶろく祭」。御神幸、獅子舞、民謡、舞踊などの神事が行われるとともに、神に捧げられたどぶろくが人々に振る舞われます。

そんなどぶろく祭は今年、4年ぶりの通常開催!

この記事では、観光客が多い地区のお祭りとは一味違う、“村民のための祭”の色が濃い、平瀬地区のどぶろく祭の様子を前後編でお届けします。

迫力ある獅子舞の披露!

2日間に渡って行われる平瀬地区のどぶろく祭。朝から平瀬八幡神社で神事を執り行い、午後からは村廻りで各組を巡りました。

そして、神社に戻ってから行われるのが還幸祭です。

神社には、平瀬地区の村民はもちろん、他の地区の村民、村外からの参拝者が獅子舞やどぶろくを待ち侘びていました。

どぶろくの振る舞いのため、ござを敷いて準備します。

そしていよいよ獅子舞奉納がスタート!村廻りでも一部の演目が行われましたが、この獅子舞奉納では全ての演目が披露されます。

白川村の獅子は4人の男性が舞い手となり、8本足となる「百足獅子」と呼ばれていて、全国的にも珍しい形態となっています。演目は各地区で異なり、平瀬地区では10の演目から成ります。各演目の始まりには、どんな場面の舞なのかの説明があるので、初めて見る人でもストーリーと共に楽しめます。

まずは獅子だけの演目。前後左右に移動するだけでなく、上下にも激しく、猛々しく乱舞します!舞い手の4人の息がぴったり合って、まるで本当に生きているかのようです!

笛や太鼓の音色も、境内に響きます。

演目が進むと、獅子に立ち向かう「ハナトリ」が登場!剣や「ザイ」といった道具を手に、力強く獅子と戦います。

ハナトリ(シシトリとも呼ばれます)を務めるのは、小学生から中学生の少年。一度役に就くと、引退の年齢までは同じ子が役を担い続けます。ハナトリになれるのは地区の中でも2人だけなので、幼い頃から獅子舞を見ている村の子どもたちにとっては、憧れの存在です。

今回大役を務めた2人も幼い頃からハナトリに憧れ、今年、念願のデビューとなりました。

1か月ほど稽古に明け暮れ、祭の前は「少し緊張する」と話していた二人ですが、果敢に、華麗に獅子に挑む姿には、思わず息を飲んで見入ってしまいます!

参拝者は声援をかけたり、拍手を送ったり、おひねりを投げ入れたりしながら、その力強い舞を楽しんでいました。

ここでしか味わえない、貴重などぶろくの振る舞い

獅子舞の演目の途中には「どぶろくの儀」が執り行われ、どぶろくの振る舞いもスタート!

獅子舞を見守っていた観客たちが、一気にゴザに腰を下ろします。どぶろくを注ぐのは、割烹着を着た女性や、法被を着た男性。

そして待ちに待ったどぶろくが、盃に注がれます…!

氏子が杜氏を担い、各地区で醸されるどぶろく。祭礼用に特別に作ることを許可された非売品なので、味わうことができるのは、このどぶろく祭だけ。献燈料を収めると入手できる盃で、いただくことができます。

さて、今年のお味は…?

平瀬地区のどぶろくは他の地区と比べて辛いのが特徴ですが、今年は飲み口がまろやか!後から辛みがじんわりと広がります。

「今年の出来は最高!」という杜氏さんの言葉通り、気がつくと何杯も飲んでしまいたくなるおいしさです…!

村外からの参加は少ない平瀬のどぶろく祭ですが、今年は体感として参拝者の数は4年前の1.5倍ほど。それだけ、このどぶろくを楽しみにしていた人がたくさんいるのだとわかります。

獅子舞を眺めながら、どぶろくを味わい、周りの人と語らって…これぞ祭!というような賑やかな時間が流れていきます。

さらに、獅子舞が終わると、どこからともなく民謡の歌声や四竹のおはやしが聞こえ、さっきまでどぶろくを楽しんでいた村民の民謡が始まります。この日のために帰省した懐かしい顔ぶれもいっしょに踊り出し、大盛り上がり!平瀬地区ならではの“みんなでつくる”アットホームな雰囲気で還幸祭は締めくくられました。

老若男女が一芸を披露。どぶろく祭は夜も楽しい

還幸祭が終わると、時間はすっかり夕暮れ。村外からの参拝者のほとんどは帰路につきますが、村民の楽しみはまだまだこれからです。

夜も祭は続きますが、まずは宴会!祭の夜は地区の家々でごちそうが振る舞われます。この日お邪魔したお宅では、山菜やアマゴがふんだんに使った料理が並んでいました。どぶろく祭の日は、村を出た出身者も帰郷する人が多く、親戚や近所の人、友人が集まって食事をします。

宴会を終えると、神社の前にある広場へ。

学校や仕事を終えた他の地区の村民も続々と集まってきました!広場には縁日も並んでいます。

そして、夜の祭がスタート!

まず披露されるのは獅子舞。

この日何度も披露されてきた獅子舞ですが、ライトに照らされ、昼間とはまた違った幻想的な雰囲気で見応えがあります!獅子舞を取り囲むギャラリーからは、歓声が飛び交いました。

そして、1日目最後のお楽しみは「南部地区芸能大会」。

村民の有志がこの日のために練習してきた一芸を披露します。

子どもたちの可愛らしい民謡から、ハイクオリティなダンス、流行を取り入れた歌唱、そして「え、あの人がこんなことをやるの…?」といった笑いを誘うパフォーマンスまで…!

堂々と演じる姿に、村民は手拍子を叩いたり、声援を送ったり、笑い転げたり…こうして祭1日目の夜は更けていくのでした。

2日目も村廻りに獅子舞、どぶろく…宴は夜深くまで

祭の2日目も、朝からスタート。行列の無事を祈る「発幸祭」が執り行われ、1日目に訪れていない2つの組の村廻りへ向かいます。そして、神社に戻ってからは、どぶろく祭のなかでも特別な神事である「例祭典」が行われました。

今回の祭の最後となる獅子舞も披露!2日間全力で舞い続けてきた獅子役者たちが、最後の力を振り絞って舞を魅せます。獅子舞の最中にはどぶろくの振る舞いも行われ、祭も佳境に。2日間に及ぶ祭も、いよいよ終わりへと向かいます。

最後は、祭の締めくくりとなる家々での宴会。普段は静かな集落に、遅くまで賑やかな笑い声がそこかしこから聞こえてくるのでした。

***

さまざまな行事や祭がある白川村ですが、どぶろく祭は「この祭のために帰ってくる」「祭があるから村にUターンした」と語る人もいるほど、村民にとって特別な行事。

老若男女の村民が参加し、皆で作りあげるからこそ、思い入れが強く、こうした祭がまた村民同士の結束を一層強くしていくのでしょう。

どぶろく祭

[白川八幡宮]10月14日~15日:荻町合掌造り集落南

[鳩谷八幡神社]10月16日~17日:R156白山白川郷ホワイトロード入口交差点

[飯島八幡神社]10月18日~19日:道の駅白川郷正面

*毎年の開催状況は白川村役場のWEBサイトをご覧ください

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【郷暮らし手帖】平瀬どぶろく祭(前編) https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/hirasedoburoku2023_01/ Mon, 13 Nov 2023 03:04:30 +0000 https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/?p=4155 2023年9月25日、26日に白川村南部の平瀬地区でどぶろく祭が開催されました!

ここ数年はコロナ禍で中止や縮小となっていたため、通常開催となったのは実に4年ぶり。その分、多くの村民がこの日を心待ちにしていました。

そもそも、どぶろく祭とは?

五穀豊穰や家内安全、里の平和を山の神様に祈願する「どぶろく祭」。「天下の奇祭」とも言われ、毎年9月の終わりから10月にかけて、村内5地区(平瀬、木谷、荻町、鳩谷、飯島)で開催されます。

神に捧げられる「どぶろく」が村民や参拝者に振る舞われ、これを目当てに訪れる観光客も多いんです。

*どぶろくについて取材した記事はこちら
【郷暮らし手帖】どぶろくの徳利詰め

【郷暮らし手帖】どぶろくの仕込み

どぶろく祭は、白川村民にとってお盆や正月よりも重要と言っても過言ではない行事。自分が住む地区や、演者として参加する地区の祭の日には、子どもたちは白川郷学園(白川村唯一の学校)も公欠扱いで休むことができます。村外に出た人の多くも、この日に合わせて帰省します。

そんなどぶろく祭の中でも、平瀬地区は観光客が多い荻町、鳩谷、飯島と比べると、より「村民の祭」の色が強いのが特徴。今回は、そんな平瀬どぶろく祭の様子を前後編に分けてお届けします!

朝の神事から祭はスタート

祭は各地区ごとに開催期間が1〜2日と決まっていて、平瀬地区では2日間開催されます。

スタートは朝9時ごろ。

獅子役者や稚児をはじめ、役を持った村民が平瀬八幡神社に集まります。氏子全員が集まるわけではないのですが、地区の人口が少なくなっている近年、何かしらの役を持つ人が多くなっています。

初めに行われるのは、試楽祭。

神社の本堂で、神主さんたちを中心にお浄めの儀式が行われます。管楽が響く中、厳かに神事が進みます。

ここでは2人の稚児による舞も披露。扇や鈴を手に、初々しくも優雅に舞う姿に、観客は思わず目を細めます。

稚児は、通常小学生〜中学生の女の子が務めますが、この日は高校生も参加。当日は、早朝から稚児のお母さんたちが支度を手伝い、娘の晴れ舞台を支えていました。

村廻りで各組へ練り歩き

試楽祭を終えると、村廻り(ご神幸行列)へ。

獅子役者や稚児、御輿、カラフルな吹き流しをもった旗持ちなどが列を成して、地区内の各組を廻ります。

山の緑を背景に色鮮やかな行列が巡っていく様子は、なんとも華やかです!

獅子役者の太鼓や笛の音色で、祭の気分がよりいっそう高まります。

村廻りでは、各組が設えた祭壇で神事が行われます。この祭壇も、早朝から各組の村民が準備していました。

ご祈祷が終わると、獅子舞も披露!

メインの舞は村廻りを終えてから神社で行われますが、各組でも獅子舞の演目の一部が行われます。

通りの真ん中で踊る姿は、境内で催される舞とはまた違う面白さがあります!村民はもちろん、たまたま訪れていた観光客も思わず足を止めていました。

そしてこちらは…民家に獅子舞が押し入ってます!

「舞い込み」とよばれるこの儀式は、獅子役者たちに御花(金銭)を包んだ家や企業に、無病息災を祈って行われます。

獅子舞がずんずんと家の中に進んでいく姿は、初めて見ると少しびっくりしてしまいますが、ご利益があるものなのです。

***

こうして1日目は8組を巡り、行列は午後3時ごろには神社へ。この後はいよいよ、獅子舞奉納とどぶろくの振る舞い。

※後編記事公開後、閲覧いただけます。

どぶろく祭

[白川八幡宮]10月14日~15日:荻町合掌造り集落南

[鳩谷八幡神社]10月16日~17日:R156白山白川郷ホワイトロード入口交差点

[飯島八幡神社]10月18日~19日:道の駅白川郷正面

*毎年の開催状況は白川村役場のWEBサイトをご覧ください

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【レポート】南部地区村民運動会が開催されました! https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/nanbu-undoukai2023/ Tue, 13 Jun 2023 21:00:00 +0000 https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/?p=3574 2023年6月4日(日)、南部地区文化会館グラウンドで南部地区村民運動会が開催されました!

南部地区村民運動会は、白川村の保木脇(ほきわき)以南の地区で毎年6月の第1日曜日に開催される行事。昭和37(1962)年から続く歴史ある運動会で、地区の村民はほぼ全員が参加します。

2020年以降はコロナ禍で実施できていなかったため、今年は4年ぶりの開催!移住者や子どもたちの中には、運動会に初めて参加する人もいて、大人も子どももこの日を楽しみにしていました。

運動会当日は快晴で、とっても爽やかな青空が広がりました!開始時間が近づくと、会場であるグラウンドに少しずつ村民が集まってきます。

運動会では、ピースチーム(平瀬1〜4組)、ハッスルチーム(平瀬5〜8組)、帰雲城チーム(その他の地区)の3チームに分かれて競い合います。トラックの周りには、それぞれのチームがテントを立てて準備万端です!

そしていよいよ9時から、運動会がスタート!

大会委員長の新谷さゆりさんや来賓の白川村長のあいさつから開会式が始まり、ラジオ体操で身体をほぐしたら、いよいよ競技の始まりです!

運動会のプログラムは全部で13種目。障害物競走や綱引き、玉入れといった定番の種目もありますが、なかなか見慣れないものもたくさん…!

各競技は子どもだけなど、出場者の年齢が限定されているものありますが、それ以外のものは誰でも自由に参加してOK。各チームの陣営では、「次の種目に参加できる人いる?」といった声も飛び交います。

最初の競技は「一升瓶水入れ」。バケツに入った色水を小さな器で一人ずつ運び、早く一升瓶を満タンにしたチームが勝利となります。このゲームでは、見事ハッスルチームが勝利!

続いての競技は「のびたのびた」。こちらも聞きなれない種目ですが、段ボールから飛び出したさまざまな長さの紐の中から1本を引き、チームごとにどんどん紐をつなげていく競技です。全員の紐を繋げ終わった時に一番紐が長かったチームが勝ちとなります。

こちらは大人と子どもが2人1組で参加するのですが、おじいちゃん・おばあちゃんとお孫さんがいっしょに競技に挑む様子がなんとも微笑ましいです。

誰でも参加できる「あめ玉さがし」は大人も子どもも、飴を探すため、粉の入った器に思いっきり顔をつっこみます!粉で真っ白になった顔を見て、会場は大盛り上がりです!

その後もグラウンドゴルフに障害物競走、保育園児と大人が踊るダンスタイム、ちびっ子が参加するチャイルドレース、数字集め、子どもリレー、綱引き、玉入れ、パックン早い者競走(パン食い競争)など、定番の競技から、ユニークなものまで種目が続きます。

競技が白熱するなか、各チームの応援も気合十分!子どもたちが中心となってフラッグを振ります。

最後の種目は年齢別リレー。10代から50代までの男女1人ずつがリレーで競います。

走りなれている人も、運動は久しぶりな人も懸命に走りますが、少しづつ差がついていき…帰雲城チームが1着でゴール!

正午を過ぎ、すべての種目が終了!心地よい疲労感と満足感いっぱいで閉会式を迎えます。

そしていよいよ結果発表。途中からは裏返してあった得点ボードがひっくり返され…

今年の優勝は帰雲城チーム!最後のリレーの勝利が優勝につながりました。帰雲城チームのみなさん、おめでとうございます!

最後は、運動会開始前に引いた宝くじの抽選会を行い、運動会の全てのプログラムは終了。

参加者の皆さん、運営を務めた公民館委員の皆さん、お疲れさまでした!

小さな子どもはもちろん、学生さんからおじいちゃん、おばあちゃんまで、みんなが大いに張り切り、はしゃぎ、楽しむ南部地区村民運動会。

「コロナで地域の行事がすべてなくなり、果たしてこうした行事が必要なのかをこの4年間で改めて考えました」と開会式のあいさつで語った、大会委員長の新谷さゆりさん。

「でも地域の子どもたちが地域の行事を知らないで育っていくことはやっぱり寂しいですよね。この運動会は、歴史があるからでなく、価値があるから続けていきたいです!」と言葉を続けていました。

子どもも大人もいっしょになって、思いっきり楽しめる行事があること。それは、間違いなくここで暮らすことの価値の一つであり、ここにいる子どもたちもまた、大人になってからその意味を強く感じられるのではないでしょうか。来年の開催も、楽しみです!

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【レポート】4年ぶりの田植え祭りが開催されました! https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/tauematuri2023/ Thu, 08 Jun 2023 02:00:00 +0000 https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/?p=3508 2023年5月31日、世界遺産の合掌造り集落がある白川村荻町で、田植え祭りが開催されました!

田植え祭りとは、白川村特有の助け合いの仕組み“結(ゆい)”による昔ながらの田植えの様子を再現し、伝統的な田植えを守るために行われている行事。

新型コロナウイルスや雨天の影響でここ数年は開催されていなかったので、今年は実に4年ぶりの開催!村役場や観光協会には「今年は開催できるの?」と問い合わせがあるほど、祭りを楽しみにしている人も多いんです。

開催の数日前に梅雨入りしたため天気が心配されていましたが、当日は雲がありながらも晴れ間がのぞきました!日差しも強すぎず、爽やかな気候で、絶好の田植え日和です。

田植え祭りのスタートは朝10時。ですが、1時間以上前からテレビや新聞などの報道関係者や、白川郷ファンのカメラマンの方がずらり!祭りの開始を待ち侘びます。

そして、10時前になると本日の主役となる早乙女さんたちが登場!かすりにもんぺ、赤い襷を身にまとい、桧笠(ひがさ)を被ったスタイルは、新緑が眩しい合掌造りの景色によく映えています。

この日は約20人の早乙女さんが田植えに参加。村に住む女性はもちろん、村民に誘われて高山市から参加した方もいらっしゃいました。

開始前には田植え祭りの実行委員長から挨拶があり、早乙女さんたちがそれぞれあきたこまちやコシヒカリの苗をヘンコ(カゴ)に移したら、いよいよ田植えスタートです!

田んぼに入った早乙女さんたちが横一列に並び、少しづつ後ろに下がりながら苗を植えていきます。

田植え祭りが行われる会場は毎年変わりますが、今回は「喫茶 落人」さんの前の水田。田植えをする早乙女さんの背に合掌造りが佇む、なんとも白川村らしい景色が広がります。

そしてのどかな風景に響くのは、地元有志の4人による「田植え唄」。「ちょぼーん、ちょぼん」という唄声にあわせて苗を植えていくのも田植え祭りの特徴です。

水田の両脇で早乙女さんたちといっしょに動いているのは、黒い着物にすげ傘を被った「線引き」と呼ばれる方々。2人1組になって田んぼの両脇に立ち、早乙女さんたちが平行に苗を植えられるよう、糸を張っています。

ヘンコの苗が少なくなったら途中で補充し、1束ずつ丁寧に植えていきます。

気がつくと、水田の周りにはたくさんの観光客が!日本人も外国人も、観光客たちはみな、今ではなかなか見ることのできない日本らしくも珍しい光景を、熱心に写真に収めていました。

そして、1時間ほどですべての苗を植え終わり、田植えが完了です!

テレビの取材を受けている早乙女さんもいました

「今年もきれいに植えられました!」「村に賑わいが戻ってきてうれしい」とベテランの村民。今回初めて参加した方は、「田植えはやったことあるけれど、後ろに下がりながら植えるのは難しかったです」と、疲れを見せながらも清々しい表情で語ってくれました。

最後はみんなで記念撮影をして、今年の田植え祭りは終了です!

汚れた長靴を水路で洗ったら、ござに座ってみんなでお団子を頬張り、疲れを癒します。

早乙女さんをはじめ、関係者のみなさんお疲れさまでした!

お米の収穫時期は9月中~下旬ごろ。みんなで力を合わせて植えた稲がおいしいお米に成長していくのが楽しみです。

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白川村での愛しい思い出を、次の世代へ。/下方大誠さん https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/shimokata_taisei/ Wed, 06 Jul 2022 09:42:02 +0000 https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/?p=1801

「いつかは白川村に戻りたい」と想いを抱いて。

2020年の年の瀬。白川村鳩谷地区出身の下方大誠(したかた たいせい)さんは約10年ぶりに白川村での暮らしをスタートしました。

中学卒業後は、所属していたバレー部での活動が評価され、岐阜市の高校へ進学。コンビニやスーパー、娯楽施設が近くにあり、何でも手に入る便利な暮らしは、当時15歳の下方さんには刺激的でした。

「もう少し街での生活を楽しみたい」と、高校卒業後は岐阜市の会社に就職。けれども、心にはいつも白川村の存在がありました。

「地元を離れてからも、長期休暇にはいつも村に帰っていました。いつも父が指導するバレー部のコーチ仲間たちがお酒の席に誘ってくれて、それが楽しくて」。

どぶろく祭の練習にも特別に参加させてもらい、お酒を振る舞ってもらったこともあったと言います。

あたたかく迎えてくれる故郷の人たちへ、いつか恩を返したい。そんな想いがだんだんと募り、社会人生活6年目の年に、白川村へ戻る決心をしました。

仕事も地域の活動も。大切にしたいものに積極的に取り組む。

Uターン後、下方さんは祖父が創業し、現在は叔父さんが経営する「有限会社 和田工業所」へ就職。

ホイールの研磨というこれまでに経験のない仕事を任されています。前職は営業職だったという下方さんにとって、手先の器用さや経験が求められる今の仕事は苦労も多いと言います。

それでもこの仕事を選んだのには理由がありました。

「他の仕事先からも声をかけてもらったんですが、祖父が創った会社を残したいという気持ちが昔からあって。まずは今任されている仕事を全うしながら、将来的には、今と形が変わったとしても継いでいきたいと思っています」。

そんなことを少し照れ臭そうに、けれども熱く語ります。

勤務先の有限会社 和田工業所の社屋

また、岐阜市にいた頃は仕事中心の生活でしたが、現在は地域の活動にも日々参加。

「青年会では成人式実行委員を務める予定です。自分たちも楽しませてもらっていい思い出になっているから、次は楽しませる番かな。次の世代にも喜んで欲しいですね」。

自身のバレー部での経験を生かし指導

さらに、白川郷学園のバレー部のコーチや、消防団員も務め、夏からは3年ぶりの開催が期待される伝統行事「どぶろく祭」の獅子舞の太鼓役の練習も始まります。

幼い頃から参加していた地域の伝統行事「どぶろく祭」の獅子舞

「昔から獅子が好きだったんです。Uターン前から次はお前だって言われていました」。

旧友や新たな仲間と共に 。

そんな下方さんの願いは、白川村で共に育った同級生たちが村に帰ってくること。

「地元を離れて初めて、村で育った同級生とは特別な関係だったんだと気付いたんです。今は村外にいる友人も“いつかは村へUターンしたい”、“子育ては白川村でしたい”という同級生も多いんですよ」。

そのためには仕事や住む場所の課題を解決しないと、と語ります。

「仕事がないからUターンできない、という話もよく聞くので、仕事の情報を積極的に発信してもらえるといいですよね。あとは、まちでは当たり前の働き方も白川村ではそうでなかったり、女性の正社員の働き口が少ないことも課題だと感じます。そういったことが少しづつ解決していけるといいなと思います」。

また昔からの関係だけでなく、村への移住者との新たな交流も生まれています。

「転勤で白川村に来ていた人は、よく近所の家の飲み会に参加してましたね。まちでの転勤だと、なかなかそういう関係はできないですよね」。

聞けば、その方は別の場所に異動になってからも、よく白川村に遊びに来てくれるそう。

「白川村に縁もゆかりもない移住者であっても、個人的には壁は感じていません。わざわざ白川村に移住する人は変わり者ですよね(笑)。でも、ありがたいことだと思います。出身者、移住者関係なく、一緒に村を盛り上げていきたいです」。

白川郷学園のバレー部の子どもたちと

白川村で過ごした愛しい日々を次の世代にも。下方さんの「恩返し」は始まったばかりです。


下方 大誠(したかた たいせい)さん

白川村鳩谷地区出身。中学校卒業後、岐阜市内の高校へ進学し、岐阜市で就職。2020年に白川村へUターン。現在は有限会社 和田工業所に勤務。

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村民みんなで祝うお盆の成人式「当日編」 https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/seijinshiki-2/ Thu, 03 Sep 2020 09:24:12 +0000 https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/?p=127
  • 村民みんなが待ちわび、迎えた当日
  • オンライン成人式開幕!
  • 想像を越える素晴らしい時間に
  • 豪雪地帯である白川村は岐阜県で唯一、お盆の時期に成人式が開かれます。毎年、荻町にある野外博物館「白川郷合掌造り民家園」に新成人とその家族が集まり、色鮮やかな浴衣を身にまとった新成人の門出を祝う、村ならではの成人式です。
    しかし、新型コロナウイルスの影響を受け、例年通りの開催ができなくなってしまった今年の成人式。実行委員会はそれでも新成人の門出をお祝いしたいと、「オンライン成人式〜村民みんなでつくる新しい成人式〜」を企画しました。2カ月以上の準備期間を経て迎えた成人式当日の様子をお届けします。

    村民みんなが待ちわび、迎えた当日

    2020年8月14日、白川村オンライン成人式当日。

    村内3カ所に設けられたパブリックビューイング会場には、お祝い旗を手にした村民が集まりました。

    例年、会場に集まるのは新成人とそのご家族や来賓が中心ですが、今年は「みんなでつくる」がテーマ。

    家族や親戚だけでなく、幼い頃から新成人たちの成長を見守ってきた、たくさんの村民がこの日を待ちわびていました。

    本部の白川村役場では実行委員会のメンバーが5台のパソコンを立ち上げ、万全の体制でスタンバイ!

    緊張しながらも和やかな雰囲気の実行委員(本部担当班)

    今では機材を操る手つきはすっかり慣れたものですが、実行委員会のメンバーは普段はそれぞれ別の仕事をしているため、動画編集や配信については全くの初心者。

    この日のために、オンラインでの配信方法を勉強してきたのです。

    29名の新成人のうち、参加が叶ったのは15名で、岐阜県内や関東、留学中の海外から参加した新成人も。

    その一人一人と接続のチェックを済ませ、式のスタートを待ちます。

    オンライン成人式開幕!

    村民はパブリックビューイング会場で、新成人は自宅で画面を見守る中、オンライン成人式は実行委員長の高森純豊さんの開会宣言と成原村長からの祝辞で開幕!

    始まる前は緊張していた高森委員長ですが、新成人へのお祝いと、成人式をつくりあげてきた村民への感謝を堂々と伝えることができ、村長室を出るときには安堵の表情を浮かべていました。

    委員長は挨拶が終わるとすぐに本部に戻り画面の中の会場を盛り上げます!

    式の冒頭には、ご家族の提供による新成人の幼少期の写真と、現在の写真を収めたスライドショーを上映。

    上映後は新成人が一人一人、実行委員会からのインタビューに答える形で元気な姿を見せました!

    こうしてみんなの成長を心から喜ぶことができるのは小さな村だからこそ。

    家族や親戚の方々とともに地域のみなさんが見守るパブリックビューイング会場は、終始あたたかい空気に包まれていました。

    今回の成人式の大きな企画のうちの一つが、村民から新成人へのお祝いのプレゼント。

    会場には新成人を祝おうとご厚意で集められたたくさんのプレゼントがずらりと並び、抽選で当選した新成人に贈られます。

    中には、29名全員にプレゼントを準備していた村民もいました。

    野菜や飲食店のチケット、祝い酒など、どれも白川村らしいプレゼントばかりです!

    とうもろこしにお祝いのメッセージが!

    当選した新成人には後日郵送でプレゼントが送られます

    1時間半におよぶ式はあっという間に終盤を迎え、新成人の恩師からのビデオメッセージ、そして村民からの手づくりのお祝い動画がスクリーンに映し出され、「村民みんなでつくる新しい成人式」は幕を閉じました。

    想像を越える素晴らしい時間に

    新成人の下方凪さん(写真中央)と両親の健弘さん、亜里砂さん。凪さんはこの日、ご実家からオンラインで成人式に参加。お母さんお手製の浴衣がよく似合っています

    成人式の終了後、新成人の下方(したかた)凪さんとご両親に、オンライン成人式についての率直な感想を伺いました。

    「最初は例年通りの成人式は中止と聞いていたので、同級生のみんなに会えないのは寂しいなと思っていました。でも、こうして画面越しでも久しぶりにみんなと会えて嬉しかったです!」と笑顔で答えてくれた新成人の凪さん。

    式の配信終了後も、画面をつないだまま、同級生との久しぶりの会話に花を咲かせたそうです。

    凪さんの晴れ姿をパブリックビューイング会場で見守ったご両親の健弘さんと亜里砂さんは、次のように今年の成人式を振り返りました。

    「今日は会場に行って見るだけかと思ったら、家族としてメッセージを伝える場面や抽選会などの企画もあってびっくりしました。正直、最初はちょっと抵抗があったけど、終わってみると参加しているという実感があってとてもよかったです!」(健弘さん)

    「私は毎年来賓として成人式に参加していますが、運営側のことも考えると今年の実行委員会のみなさんは本当に大変だったのではないかと思います。オンラインと聞いたときはどうなるのかと思ったけど、もう来年もオンラインでもいいと思えるくらい、想像をはるかに越える素晴らしい時間でした!会場が近かったおかげで、足の悪いおばあちゃんも参加できたのもありがたかったです。」(亜里砂さん)

    実行委員会の「こんな状況だからこそ、村民参加型でみんなが楽しめる企画にしたい」という想いは、新成人とそのご家族にもしっかりと届いていました。

    健弘さんによると、白川村で夏の時期の成人式が始まったのは昭和50年代後半のこと。昭和、平成、そして令和と、村民が協力して続けてきた村の大切な文化のひとつです。

    成人式実行委員会と村の方々のあたたかい気持ちから生まれた手づくりのオンライン成人式。今年の成人式は例年通りが叶わなかったからこそ、村の歴史に残る式になったのではないでしょうか。

    白川村の新成人のみなさん、改めましてご成人おめでとうございます!

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    村民みんなで祝うお盆の成人式「準備編」 https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/seijinshiki-1/ Mon, 31 Aug 2020 08:54:46 +0000 https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/?p=109
  • 今だからこそできる新しい成人式を
  • たどり着いた答えは“村民参加型”
  • 新成人に届け!ドローン空撮大作戦
  • 豪雪地帯である白川村は岐阜県で唯一、お盆の時期に成人式が開かれます。
    毎年、荻町にある野外博物館「白川郷合掌造り民家園」に新成人とその家族が集まり、色鮮やかな浴衣を身にまとった新成人の門出を祝う、村ならではの成人式です。
    しかし、多くの新成人が進学や就職で村外で生活しているなか、今年は新型コロナウイルスの影響で例年通りの開催が難しい状況に…。
    「成人式実行委員会」である村の青年会のメンバーは、コロナ禍でもみんなで新成人を祝える方法がないかと話し合いを重ね、たどり着いたのが「オンライン成人式」でした。

    今だからこそできる新しい成人式を

    白川村では毎年、青年会を中心とするメンバーが成人式実行委員会として式の企画、運営を担っています。

    今年も2020年8月14日に、成人式が開催される予定でした。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、村では村民や新成人の健康を第一に考え、新成人が帰村して行う通常通りの成人式を開催することは難しいとの判断をしました。

    それでも実行委員会では、29名の新成人の門出を祝いたいと話し合いを重ね、6月初旬に「村民みんなでお祝いする新しい成人式」をテーマに、成人式をオンラインで開催することを決定したのです。

    その企画は、子どもたちの成長を村全体で見守ってきた白川村だからこそできる、あたたかい成人式でした。

    横断幕に心のこもったお祝いメッセージを
    当日のパブリックビューイング会場には、村民が事前に配布されたお祝い旗を持って参加

    たどり着いた答えは“村民参加型”

    今年の成人式を実行委員長として指揮したのは、高森 純豊(たかもり あやと)さん。

    高森さんは、オンライン成人式に踏み切ったときのことをこう振り返ります。

    「動画の配信などは全くの素人ですが、新型コロナウイルスの影響で、オンラインでのイベントや会議が行われているのを見て、自分たちにもできるかもしれないと思ったんです。例年通りには開催することができないという、ただでさえマイナスからのスタートだったので、いつも以上に新成人の皆さんや村民のみなさんに満足していただける企画が必要だと考えました。」

    そこで、高森さん率いる成人式実行委員会がたどり着いたのがオンラインでの「村民参加型」の成人式です。

    新成人だけでなく、村民一人一人が成人式をつくる側になることができれば、きっと楽しんでもらえる。そう信じて、手探りの準備が始まりました。

    新成人に届け!ドローン空撮大作戦

    村民みんなでお祝いする新しい成人式は、「新成人へのお祝いの品の募集」、「ドローンでのお祝い動画の撮影」、8月14日当日に村内の各会場で新成人とテレビ電話をつなぐ「パブリックビューイング」の3本立て。

    どれも村民の協力なしでは実現できない参加型の企画です。

    果たして村民のみなさんに参加してもらえるのか…。そんな実行委員会の心配とは裏腹に、7月19日に行われたお祝い動画の撮影会には、子どもからご年配の方までたくさんの方々が集まりました!

    鳩谷地区の撮影は旧白川小学校を使って行われました

    動画の撮影は村内4つの地区にそれぞれ会場を設け、実行委員会と役場職員で結成された撮影部隊が朝から順に駆けつけて実施。

    撮影当日は、それまで連日続いていた強雨が嘘のように晴天に恵まれ、絶好のドローン日和となりました。

    旧小学校舎の窓からみんなで顔を覗かせたり、軽トラックの上に乗ったり。新成人のご家族以外の村民もみんなノリノリで撮影に臨みます。

    空撮用に新成人の幼少期の写真を拡大印刷!

    七夕飾りやオリンピックの応援グッズをアレンジして、手作りのお祝いグッズを準備してきていた村民も!

    村ではそれぞれの地区を中心に地域ぐるみで子どもの成長を見守っているので、村の子どもたちの成人は、誰にとっても我が子の門出のように嬉しいんです。

    村の中でも、最もお祭り騒ぎ好きの「平瀬地区」では、まるで運動会の応援団のような熱気に溢れた撮影に!

    お祝いの気持ちを乗せた「おめでとーーー!!!」という力強い掛け声が轟きました。

    可愛い犬もお祝いに駆けつけました!
    片付けももちろん“みんなで”

    言葉通り、村民みんなで取り組んだ1日がかりの撮影は大成功!

    29名の新成人のみなさんは喜んでくれるでしょうか…。

    8月14日に行われた成人式当日の様子は近日中に改めてお届けしますので、お楽しみに。

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