2023年「秋の一斉茅刈り」が開催されました!(後編)
2023年11月4日、5日に白川村荻町の合掌造り集落にある白川郷合掌文化館(旧松井家)近くで「われらが紡ぐ白川郷かややねプロジェクト―秋の一斉茅刈り―」が開催されました。
白川郷荻町集落の自然環境を守る会(通称「守る会」)、公益財団法人日本ナショナルトラスト、白川村役場が協働で実施するこのイベント。
主に首都圏に暮らし、このイベントの企画に関わる「かややね会議」のボランティアメンバーをはじめ、村内外から人が集まり、合掌造りの屋根材などに使われる「茅」を刈り取ります。
村内の合掌造りに使う茅の自給や、白川村の自然環境の保全という目的で実施され、1日目は白川村の合掌造りの主な材料となるススキや、白川村荻町の由来とも言われるオギなどの茅刈りに取り組みました。2日目はオギを使って合掌造りの雪囲いに使う「オダレ」を作ります!
*過去の秋の一斉茅刈りの記事はこちら
*かややねプロジェクトや日本ナショナルトラストの記事はこちら
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合掌造りを雪から守る、オダレ作り
2日目の朝は少し肌寒い気候のなか始まりました。
この日のために職人さんが準備した「オダレ製造機」を使い、グループに分かれて雪から合掌造りの建物を守るオダレを作ります。
リーダーの職人さんたちに教わりながら、早速オダレ作りがスタート。
綺麗なスダレ状になるよう穂の部分を取り除く人、茎の先端をハサミで平行にカットする人、オダレ製造機を使ってオダレを編んでいく人に分かれて取り組みます。
今回の目標は1つのグループで幅1間(約1.8メートル)、高さ7尺(約2.1メートル)のオダレを作り、5グループでちょうど合掌造り1棟を覆う分を完成させること。
1時間ほど作業すると、目標の半分ほどが完成しました!
慣れてくるとスピードアップし、どんどんオダレができあがっていきます。
紅葉に染まった山々や合掌造りを背景に、みんなで協力しながらオダレ作りに励む姿は、まさに「日本の原風景」。
一方で、村民同士の助け合い「結」が大切にされている白川村であっても、今ではこんな様子が見られるのは珍しいこと。昔は当たり前だった光景の中に自分たちがいることで、参加者はこの土地で育まれてきた文化を身をもって体感します。
そして、ちょうど正午を回った頃、全てのグループのオダレが完成!最後は完成したオダレを背に、合掌ポーズで記念撮影です。
今回の秋の一斉茅刈りで作ったオダレは、この冬、合掌造り民家園で活用されます。オダレには参加者のサインがこっそり書いてあるので、白川村を訪れる方は、ぜひ探してみてくださいね!
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こうして2日間にわたるイベントは無事に終了。参加者はみんなで協力しながら、自ら手を動かすことで、観光とは一味違うかたちで白川村の文化を体感しました。
今後、より多くの方がこのイベントに関わることが、白川村の合掌造りを持続させることにつながっていきます。興味のある方はぜひ来年参加してみてくださいね!