暮らし – 飛騨日日新聞 https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi 飛騨日日新聞は白川村での暮らしや文化、 そこに生きる村民のストーリーを届けるメディアです。 Mon, 25 Mar 2024 10:01:39 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.4.4 【郷暮らし手帖】村のごみ処理事情 https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/gomishori/ Fri, 22 Mar 2024 02:40:03 +0000 https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/?p=4973 ある日の早朝、白川村南部の平瀬診療所の脇にある「回収ステーション」には、次々と人がやってきました。

今日は2週間に一度の平瀬地区の不燃ごみや資源ごみの収集日。

地区によって運営方法は異なりますが、平瀬地区では、分別指導を行うリサイクル推進員と当番となった村民が朝7時から待機します。

村民は大きな袋をいくつも抱え、ペットボトルやびん、プラスチック製容器など、12種類に分別してごみ出しをしていきます。

ごみ出しに来る村民は近隣に住む人ばかりなので、もちろん皆顔馴染み。あいさつだけでなく、世間話に花を咲かせることもあります。

ほとんどのごみの分別は、持ち込んだ村民が迷いなくボックスに入れていきますが、中には判別が難しいものも。

そんな時は、リサイクル推進員に「これは何ごみだったかな?」とその場で確認。自分で判断することが難しいごみも、ここに来れば正しく分別でき、村のごみ出しマナーの向上につながっています。

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回収ステーションに行けない場合は、白川村野谷地区にある「リサイクルハウス」への持ち込みも可能です。

リサイクルハウスは、粗大ごみや古紙類、衣類、段ボールなどの受け入れをしている収集拠点で、回収ステーションで収集した不燃ごみも、まずはここに集められます。

受入れ日は、毎週金曜と4〜12月の第4日曜。村内のさまざまな地区の村民が、車で乗り入れてごみを持ち込みます。

リサイクルハウスを管理しているのは、有限会社荘白川クリーンさん。2019年より行政の委託を受け、リサイクルハウスを担当している松井則幸さんにお話を聞きました。

ごみを持ち込んだ村民は、まずは入り口近くで重量を確認。粗大ごみや古紙類など、リサイクルハウスだけで回収されるものについては計量が必須となっています。

建物の中はごみの種類によってエリアが分けられているので、該当する場所のカゴやボックスに自分で入れていくというシステムです。

取材したのは平日の日中でしたが、リサイクルハウスには次々と車がやってきます。家庭用のごみだけでなく、村内の事業者さんの持ち込みも。年配の村民は、お孫さんを連れて一緒に分別をする姿もみられました。

ボックスにいっぱいになったプラスチック容器やペットボトルなどは、圧縮減容梱包機という機械によってぎゅっと押しつぶされ、コンパクトに。こうした資源ごみは、各々の再生業者へと引き渡されたり、再資源化できないものは最終処分場に埋め立てられ、処理されています。

建物の裏にも回収スペースがあるということで案内してもらいました。

いくつか仕切りのある小屋があり、家具、特定家庭用機器、段ボールといった比較的大きなごみが集められています。リサイクルハウス開設当初はこうした小屋はありませんでしたが、機能性を高めるために後から作られたと言います。

こうした工夫が、分別のしやすさや再資源化につながっているのですね。

ごみ焼却施設がない白川村では、使い切りや細かな分別など、一人ひとりのごみ減量への意識が根付いていて、資源ごみの再生事業者からも高く評価されています。

毎年4月29日には、ほぼ全村民が参加する村内一斉美化運動も開催されます。雪によって隠れていたごみを早朝6時から拾い集め、村中をきれいにします。美しい村は、村民の手によって維持されているのです。

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祭に、仕事に、子育てに。地域と育む村の暮らし/小川和也さん https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/ogawakazuya/ Mon, 15 Jan 2024 08:47:40 +0000 https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/?p=4761

移住2年目から「どぶろく祭」に演者として参加

2023年、コロナ禍が落ち着き4年ぶりの通常開催となったどぶろく祭。豊饒の秋に行われる白川村の一大行事です。毎年9月の終わりから10月にかけ、村内5地区(平瀬、木谷、荻町、鳩谷、飯島)で開催されます。

神に捧げられたどぶろくが人々に振る舞われる祭として知られますが、どぶろくとともに村民みんなが心待ちにしていたのは獅子舞。鳩谷(はとたに)地区の祭で太鼓を力強く叩くのは、愛知県出身の小川和也さんです。

愛知県名古屋市出身の和也さんは、高校卒業後、地元の飲食店に就職。そこで出会ったのが、白川村出身の美咲さんです。交際ののち、2017年に結婚。お二人は美咲さんの故郷・白川村へと移住しました。

「移住1年目に初めて獅子舞を見た時は観光客気分だったので、まさか自分が演じるとは思っていませんでした」と和也さん。

鳩谷地区の「獅子舞保存会」に誘われたのは、移住翌年。「ちょうどお義兄さんもUターンしたタイミングで一緒に参加したので、村民はやるものなんだな、という認識でした。参加できる人数は限られるので、昔は全員が演者になれるわけではなかったのですが、この頃鳩谷地区は若い人が少なかったのもあって、誘っていただけましたね」。

10月のどぶろく祭の1ヶ月前からは、ほぼ毎晩練習が行われ、先輩やOBから指導を受けます。

「獅子舞の踊りやリズム、メロディーは地区ごとによって違うんです。鳩谷は少しゆったりしているのが特徴ですが、僕は楽器も習ったことがなかったので、そのリズムをつかんで太鼓を叩くのが難しかったですね」。

1年目は見習いとしての参加だったため、本番での披露はありませんでしたが、2年目からは独り立ち。OBの方の指導にもより熱が入りました。

「初めて自分が演者となった祭は、多くのOBの方々が見ているとあって、とても緊張しました。村の方のどぶろく祭に対する熱量もすごいですね」。

獅子舞に携わり、いっしょに活動する仲間をはじめ、村の方とも深く関わるようになったという和也さん。6年目となった2023年の祭では、すっかり獅子舞を率いる一員として活躍していました。

移住を機に、村のインフラを支える仕事に挑戦

移住前は白川村を訪れたことがなかったという和也さん。当時、既に社会人だったとはいえ二十歳という若さだったこともあり、両親をはじめ周囲の心配もありました。

けれども、和也さんは地方の暮らしには前向きだったといいます。

「豪雪や買い物など、名古屋に比べれば不便なことも多くて初めは驚きましたが、“こういうもの”として受け止めれば、慣れるのにそれほど時間はかかりませんでしたね」。

名古屋市では飲食店で働いていましたが、「ちょうど新しい仕事にも挑戦したかった」と、移住後は美咲さんの父・正直さんが経営する丸正建設株式会社へ転職。未経験からスタートし、初めは先輩につきながら少しずつ経験を積み重ねました。

もちろん、重機の運転に必要なさまざまな免許も取得。春から秋は道路建設、冬は除雪にと、村内外をとびまわります。

「大変なこともありますが、自分が携わった仕事が、村民や多くの人の暮らしに役立つのは嬉しいですね」。

今では後輩もでき、現場監督も任されるほどとなっています。

自分らしく、村の暮らしを家族とともに育んでいく

現在は二人のお子さんに恵まれ、地域の方に支えられながら子育てに励む和也さんと美咲さん。

「近所の方は子どものことをみんな知っているので、可愛がってくれます。見守られている安心感がありますね」。

子育てするにようになり、人付き合いが濃い村の良さも改めて感じています。

「消防団にも入って、仕事に、地域の活動にとなかなか毎日忙しいです。なので“のんびり田舎暮らし”とはいかないですけれど、自然に囲まれて、村の一員としての実感を持ちながら過ごす今の生活を僕は気に入っています」。

村の暮らしに自然体で馴染むんでいる和也さん。最近は念願だった野菜づくりも始め、白川村での生活の新たな楽しみを見つけています。


小川和也さん

愛知県名古屋市出身。白川村出身の美咲さんと名古屋市の職場で出会い、2017年に結婚を機に移住。現在は義父が営む「丸正建設株式会社」に勤める。

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自然に寄り添いながら育む、家族4人の暮らし/黒坂さんご一家 https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/kurosakake/ Tue, 10 Oct 2023 19:57:00 +0000 https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/?p=4315

自然の傍らで働く仕事に惹かれ、就職を機に白川村へ

黒坂真(しん)さん、久実(くみ)さんご夫婦は、ともに白川村馬狩(まがり)地区にある豊富な自然体験プログラムが自慢のホテル「トヨタ白川郷自然學校」で働く移住者。

大学時代に国内外で教育に関わるさまざまなプログラムやボランティアに参加していた真さん。二十歳の頃から“地球規模の視点で、自然体験や国際交流を通じて青少年教育に携わりたい”と考えていました。

就職活動では教育関連の企業に内定していましたが、偶然、自然學校の開校スタッフ募集を知り、「正に自分がやりたかったことだ」と共鳴。内定していた企業を辞退して2005年に白川村へ移住しました。

一方、久実さんは長野県の大学に在学中に自然學校のインターンに参加。その後2008年に自然學校に就職し、白川村へ移り住みました。

“自然とともに暮らしたい”という同じ志を持ち、出身が同じ神奈川県だったお二人は意気投合。2011年には結婚へと至りました。

結婚当初は村内の集合住宅で暮らしていましたが、久実さんの“ヤギと暮らしたい”という想いを叶えるため、自然學校の敷地内にある合掌造り家屋を借りて住むことに。ヤギのメェちゃんと共に、森の中での暮らしを楽しみました。

山に、森に、川に。白川村の自然を家族で楽しむ

2015年には娘の結(ゆい)ちゃんの誕生を機に、平瀬地区の築60年の古民家へお引越し。現在は息子の弦(げん)くんも加わって、家族4人で暮らしています。

山菜採りや川遊びに出かけたり、広々とした庭では梅や花梨、桑の実や山椒、銀杏などさまざまな自然からの恵みを頂いたり。また、季節ごとに花見や紅葉を楽しんだりと、黒坂家の日常はいつも自然と共にあります。

もちろん、豪雪地帯である白川村だからこそ、雪遊びも全力で。

さらにコロナ禍で外出自粛となった時には、家族で森の秘密基地づくりにも挑戦しました。

子どもたちは自ら道具を手にしてテーブルやイスづくりにチャレンジ!森の中で自由に、のびのびと遊び、育つ子どもたちを見て、お二人は改めて“森は子育てに最高の場所”と実感したのでした。

ここでの暮らしの豊かさを伝えていきたい

「なぜ便利とは言えない白川村に移住したの?と聞かれることもありますが、私たちには自然と寄り添う今の暮らしが何よりも贅沢で、豊かだと感じています」と真さんと久実さん。

そんなお二人も、実は、白川村で暮らし続けることを初めから決めていたわけではありませんでした。

きっかけとなったのは、白川村の子どもたちと関わったこと。

「自然學校の仕事で、村の子どもたちと一緒にキャンプをした際、早くテントを立てた子たちが自ら進んで別のテント立てに協力しに行ったことがとても印象に残っていて。自分の子どもたちにも、村の子たちのように優しくて素直な子になってほしいと感じ、ここで子育てしたいと思うようになりました」。

白川村ならではの地域の活動や、どぶろく祭などの行事にも積極的に参加。今年のどぶろく祭では、結ちゃんは稚児さんを務めました。また、黒坂家を会場にご近所の方を招いたお食事会もよく開かれています。

「地域の方も子どもたちを見守ってくれています。一緒に遊んだり、ご飯を食べたりする時間も楽しいです」。

豊かな山々やあたたかな人々に囲まれて、黒坂家はこれからも、白川村らしい暮らしを紡いでいきます。


黒坂真さん、久実さん

共に神奈川県出身。真さんは2005年、久実さんは2008年に「トヨタ白川郷自然學校」への就職を機に、白川村へと移住。現在は娘の結ちゃん、息子の弦くんとともに家族4人で暮らす。

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言語や文化を超えて、“村民”として暮らす/劉旭さん https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/liu_xu/ Thu, 06 Jul 2023 05:59:15 +0000 https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/?p=3785 結婚を機に、国を超えて白川村へ

外国人観光客が年112万人訪れることもある白川村。そんな村の観光を支える一人が、観光協会で働く中国出身の劉旭(リュウ・シュー)さんです。

シューさんが働く、観光協会の事務所がある白川郷バスターミナル

2018年3月、当時は白川村役場観光振興課、現在は教育委員会で働く章璐(ショウ・ルー)さんとの結婚を機に白川村へ移住。

中国の美術大学を卒業後、移住前はフランス・ニースのホテルでアート関係の仕事をしていました。

「美術の仕事は世界中どこでもできます。それに、いろいろな国で暮らしてみたくて」。

実は、この移住で初めて日本を訪れたシューさん。イメージしていたのは、東京のような都会的な日本だったので、対照的な村の景色や、雪の多さに驚いたと言います。

「合掌造りの風景にも、やっぱり感動しましたね。でも初めは、なぜ世界遺産であるのか、その意味をしっかりとは理解していなかったです」。

村が育んできた“結”の精神や伝統的な文化。自分自身も村民と関わり、生活を営む中で徐々にその意味を理解していきます。

仕事に趣味に。この場所だからできることを

現在は観光協会で、海外の旅行会社とのやりとりや、外国人観光客の対応を担っているシューさん。

日本語も流暢に話すシューさんですが、実は、移住当初話せた日本語はあいさつ程度でした。

「特に、民宿の方との電話には苦労しましたね。まずは誰なのかを理解してもらわなければいけなくて、色々と質問されてなかなか本題に入れなかったりもしました(笑)」。

独学と実践を重ね、今では中国語、日本語、英語、フランス語の4ヶ国語を操る、頼れる存在です。

一方休日は、妻のルーさんといっしょに白水湖でのサップや、庄川でのカヌー、山登りなど、村の大自然を満喫するアクティビティへ。春には山菜採りに出かけたり、「田植え祭り」などの行事にも参加しています。

「仲良くしてもらっている村のおばあさんに、山菜を使った料理を作ってもらうこともありますね」。

仕事に遊びに、白川村らしい毎日を過ごしています。

“村民”の一人として、アートで村を表現してみたい

移住から早5年。言語や文化の壁を超え、シューさんは今やすっかり“村民”の一人です。

「白川村はまっすぐな考え方の人が多くて、対話すれば理解し合えるのがいいなと思います」。

そう語るシューさんが今後取り組みたいのは、元々の専門であるアート活動。

「冬の夜の幻想的な森とか、白川村の自然からインスピレーションを受けた作品を作りたいんです」。

“外国人”であり、村民でもあるシューさんの目に、村の姿はどう映っているのでしょう。

作品の完成が今から楽しみです。


劉旭(リュウ・シュー)さん

中国出身。白川村で働く妻と共に暮らすため、フランス・ニースから白川村へ移住。現在は観光協会に勤め、村のインバウンドを支える。

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【レポート】南部地区村民運動会が開催されました! https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/nanbu-undoukai2023/ Tue, 13 Jun 2023 21:00:00 +0000 https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/?p=3574 2023年6月4日(日)、南部地区文化会館グラウンドで南部地区村民運動会が開催されました!

南部地区村民運動会は、白川村の保木脇(ほきわき)以南の地区で毎年6月の第1日曜日に開催される行事。昭和37(1962)年から続く歴史ある運動会で、地区の村民はほぼ全員が参加します。

2020年以降はコロナ禍で実施できていなかったため、今年は4年ぶりの開催!移住者や子どもたちの中には、運動会に初めて参加する人もいて、大人も子どももこの日を楽しみにしていました。

運動会当日は快晴で、とっても爽やかな青空が広がりました!開始時間が近づくと、会場であるグラウンドに少しずつ村民が集まってきます。

運動会では、ピースチーム(平瀬1〜4組)、ハッスルチーム(平瀬5〜8組)、帰雲城チーム(その他の地区)の3チームに分かれて競い合います。トラックの周りには、それぞれのチームがテントを立てて準備万端です!

そしていよいよ9時から、運動会がスタート!

大会委員長の新谷さゆりさんや来賓の白川村長のあいさつから開会式が始まり、ラジオ体操で身体をほぐしたら、いよいよ競技の始まりです!

運動会のプログラムは全部で13種目。障害物競走や綱引き、玉入れといった定番の種目もありますが、なかなか見慣れないものもたくさん…!

各競技は子どもだけなど、出場者の年齢が限定されているものありますが、それ以外のものは誰でも自由に参加してOK。各チームの陣営では、「次の種目に参加できる人いる?」といった声も飛び交います。

最初の競技は「一升瓶水入れ」。バケツに入った色水を小さな器で一人ずつ運び、早く一升瓶を満タンにしたチームが勝利となります。このゲームでは、見事ハッスルチームが勝利!

続いての競技は「のびたのびた」。こちらも聞きなれない種目ですが、段ボールから飛び出したさまざまな長さの紐の中から1本を引き、チームごとにどんどん紐をつなげていく競技です。全員の紐を繋げ終わった時に一番紐が長かったチームが勝ちとなります。

こちらは大人と子どもが2人1組で参加するのですが、おじいちゃん・おばあちゃんとお孫さんがいっしょに競技に挑む様子がなんとも微笑ましいです。

誰でも参加できる「あめ玉さがし」は大人も子どもも、飴を探すため、粉の入った器に思いっきり顔をつっこみます!粉で真っ白になった顔を見て、会場は大盛り上がりです!

その後もグラウンドゴルフに障害物競走、保育園児と大人が踊るダンスタイム、ちびっ子が参加するチャイルドレース、数字集め、子どもリレー、綱引き、玉入れ、パックン早い者競走(パン食い競争)など、定番の競技から、ユニークなものまで種目が続きます。

競技が白熱するなか、各チームの応援も気合十分!子どもたちが中心となってフラッグを振ります。

最後の種目は年齢別リレー。10代から50代までの男女1人ずつがリレーで競います。

走りなれている人も、運動は久しぶりな人も懸命に走りますが、少しづつ差がついていき…帰雲城チームが1着でゴール!

正午を過ぎ、すべての種目が終了!心地よい疲労感と満足感いっぱいで閉会式を迎えます。

そしていよいよ結果発表。途中からは裏返してあった得点ボードがひっくり返され…

今年の優勝は帰雲城チーム!最後のリレーの勝利が優勝につながりました。帰雲城チームのみなさん、おめでとうございます!

最後は、運動会開始前に引いた宝くじの抽選会を行い、運動会の全てのプログラムは終了。

参加者の皆さん、運営を務めた公民館委員の皆さん、お疲れさまでした!

小さな子どもはもちろん、学生さんからおじいちゃん、おばあちゃんまで、みんなが大いに張り切り、はしゃぎ、楽しむ南部地区村民運動会。

「コロナで地域の行事がすべてなくなり、果たしてこうした行事が必要なのかをこの4年間で改めて考えました」と開会式のあいさつで語った、大会委員長の新谷さゆりさん。

「でも地域の子どもたちが地域の行事を知らないで育っていくことはやっぱり寂しいですよね。この運動会は、歴史があるからでなく、価値があるから続けていきたいです!」と言葉を続けていました。

子どもも大人もいっしょになって、思いっきり楽しめる行事があること。それは、間違いなくここで暮らすことの価値の一つであり、ここにいる子どもたちもまた、大人になってからその意味を強く感じられるのではないでしょうか。来年の開催も、楽しみです!

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【レポート】4年ぶりの田植え祭りが開催されました! https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/tauematuri2023/ Thu, 08 Jun 2023 02:00:00 +0000 https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/?p=3508 2023年5月31日、世界遺産の合掌造り集落がある白川村荻町で、田植え祭りが開催されました!

田植え祭りとは、白川村特有の助け合いの仕組み“結(ゆい)”による昔ながらの田植えの様子を再現し、伝統的な田植えを守るために行われている行事。

新型コロナウイルスや雨天の影響でここ数年は開催されていなかったので、今年は実に4年ぶりの開催!村役場や観光協会には「今年は開催できるの?」と問い合わせがあるほど、祭りを楽しみにしている人も多いんです。

開催の数日前に梅雨入りしたため天気が心配されていましたが、当日は雲がありながらも晴れ間がのぞきました!日差しも強すぎず、爽やかな気候で、絶好の田植え日和です。

田植え祭りのスタートは朝10時。ですが、1時間以上前からテレビや新聞などの報道関係者や、白川郷ファンのカメラマンの方がずらり!祭りの開始を待ち侘びます。

そして、10時前になると本日の主役となる早乙女さんたちが登場!かすりにもんぺ、赤い襷を身にまとい、桧笠(ひがさ)を被ったスタイルは、新緑が眩しい合掌造りの景色によく映えています。

この日は約20人の早乙女さんが田植えに参加。村に住む女性はもちろん、村民に誘われて高山市から参加した方もいらっしゃいました。

開始前には田植え祭りの実行委員長から挨拶があり、早乙女さんたちがそれぞれあきたこまちやコシヒカリの苗をヘンコ(カゴ)に移したら、いよいよ田植えスタートです!

田んぼに入った早乙女さんたちが横一列に並び、少しづつ後ろに下がりながら苗を植えていきます。

田植え祭りが行われる会場は毎年変わりますが、今回は「喫茶 落人」さんの前の水田。田植えをする早乙女さんの背に合掌造りが佇む、なんとも白川村らしい景色が広がります。

そしてのどかな風景に響くのは、地元有志の4人による「田植え唄」。「ちょぼーん、ちょぼん」という唄声にあわせて苗を植えていくのも田植え祭りの特徴です。

水田の両脇で早乙女さんたちといっしょに動いているのは、黒い着物にすげ傘を被った「線引き」と呼ばれる方々。2人1組になって田んぼの両脇に立ち、早乙女さんたちが平行に苗を植えられるよう、糸を張っています。

ヘンコの苗が少なくなったら途中で補充し、1束ずつ丁寧に植えていきます。

気がつくと、水田の周りにはたくさんの観光客が!日本人も外国人も、観光客たちはみな、今ではなかなか見ることのできない日本らしくも珍しい光景を、熱心に写真に収めていました。

そして、1時間ほどですべての苗を植え終わり、田植えが完了です!

テレビの取材を受けている早乙女さんもいました

「今年もきれいに植えられました!」「村に賑わいが戻ってきてうれしい」とベテランの村民。今回初めて参加した方は、「田植えはやったことあるけれど、後ろに下がりながら植えるのは難しかったです」と、疲れを見せながらも清々しい表情で語ってくれました。

最後はみんなで記念撮影をして、今年の田植え祭りは終了です!

汚れた長靴を水路で洗ったら、ござに座ってみんなでお団子を頬張り、疲れを癒します。

早乙女さんをはじめ、関係者のみなさんお疲れさまでした!

お米の収穫時期は9月中~下旬ごろ。みんなで力を合わせて植えた稲がおいしいお米に成長していくのが楽しみです。

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【郷暮らし手帖】シェアハウスの雪囲いを外しました! https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/yukikakoi-hazushi/ Tue, 09 May 2023 11:43:22 +0000 https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/?p=3315 春を迎えた白川村では、すっかり雪解けが進み、緑の草木が芽吹いています。

そんな4月中旬のある日、移住体験シェアハウス「やまごや以上ほしぞら未満」(通称「やまほし」)では、「雪囲い」を外す作業が行われました!

雪が少なかった今年の冬。村内のほとんどの家や店舗では、3月に雪囲いを外し終わっていましたが、ようやく「やまほし」でも、雪囲いを外すことができました。

参加したのは、やまほしの住民と管理を行っている一般社団法人ホワイエのメンバー。

屋根から落ちてきた雪や、積雪による雪の重みから窓を守ったり、家の中に雪が入り込まないようにするために、主に家屋の窓のある箇所を囲いで覆う「雪囲い」。そのやり方や材料は建物によりさまざまですが、やまほしでは立てかけた木の柱にトタン板を並べて固定し、雪を凌いでいました。

▷雪囲いの様子をまとめた記事はこちら

早速、冬の間お世話になった雪囲いを外す作業がスタート。

まずはトタン板を外すために、柱に固定していたネジをインパクトを使って緩めていきます。

実は、やまほしの住民は全員インパクト初心者!なかなか最初はコツがつかめず苦戦…。

全て緩め終わったら木の板とトタンを外していき、建物の脇へ。状態が良いものは保管しておいて来年も活用します。

そして、柱と垂直に設置していた木の板をくくりつけていたビニール紐を外せば…1ブロックの雪囲い外しが完了です!

この作業を、合計4箇所で行います。

役割分担を行ってテキパキと作業。インパクトの扱いにも、段々と慣れてきました!

そして、1時間ほどであっという間に作業は終了!

12月に雪囲いをしてから、実に4ヶ月ぶりにまっさらな状態の外観が姿を見せました。

ようやく本格的に春を迎える準備ができ、一安心。やまほしの周りには、つくしも顔を出していました。

今年はコロナウイルスの感染状況もずいぶん落ち着き、4年ぶりにさまざまなお祭りやイベントも開催できそうな白川村。

飛騨日日新聞でも、日々の暮らしの様子に加え、コロナ禍以前のかたちで行われる村ならではの取組みをどんどん発信していきますので、どうぞご期待くださいね!

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自分が生きる場所を、楽しく、広げる/深田茉由さん https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/fukadamayu/ Tue, 11 Apr 2023 21:00:00 +0000 https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/?p=3169 人生を動かした、村の図書室との出会い

白川村の南部、平瀬にある旧平瀬小学校を活用した白川村南部地区文化会館(NBK)。ここには、児童書や郷土資料が揃う小さな図書室があります。

司書を務めるのは深田茉由(まゆ)さん。新潟県出身で大学進学を機に関東へ。そのまま観光業や販売業などに携わりながら社会人生活を送っていましたが、あるとき「自分の人生がひっくり変えるくらいの何かがほしい」と一念発起。2018年、筑波大学大学院に進学しました。

専攻は世界遺産学。日本各地の世界遺産に足を運ぶ中、2018年の夏、初めて白川村を訪れました。

その時、偶然NBKの図書室に立ち寄り、目の当たりにしたのは、村内外から寄贈されたデータ化を待つ大量の本でした。

元々本が好きで、学部生時代に司書の資格を取得していた茉由さん。大学院で興味のある世界遺産を学びながらも「わたしがやるべきことは何か」を探していた中での出会いに「これは私がやるべきことでは」と直感し、大学院を休学。書籍のデータ化を引き受けるため、半年間白川村に滞在することを決意したのです。

シェアハウス「やまごや以上ほしぞら未満」

2019年の春、白川村での暮らしが始まると、日々図書室で本の整理に勤しみながらも、司書業務や、シェアハウス「やまごや以上ほしぞら未満」での暮らし、どぶろく祭などの地域のイベントを通じて徐々に村民との関わりが増えていきます。

「白川村は小さな村だからこそ〝一人〞の存在がすごく大きくて。自分が必要とされる実感が、ここで暮らしたいという想いに繋がっていきました」。

そんな想いが募った結果、茉由さんは当初の予定だった半年の滞在期限を延長。2019年の秋、本格的に村へ移り住むこととなったのです。

図書室を拠点に、村内外を奔走

現在茉由さんは、移住前から関わりがあった「一般社団法人ホワイエ」に所属し、週の半分は図書室で選書や蔵書管理を行っています。

選書は、村民のリクエストも取り入れて決定しているので、村民好みにラインナップになっているそう。

そのほか、「青空図書室」や「軽トラ図書カー」など、NBKを飛び出して本に親しめるイベントを実施。図書室に足を運んでもらうため、多彩な企画に取り組みます。

「どこか行こうか、となった時に図書室が選択肢に入るといいなと思っています。今後は、例えば料理を題材にした絵本を活用して、本と現実が繋がるようなイベントもやっていきたいですね」。

ちなみに図書室の気に入っているところは、大きな窓から臨む、四季の移り変わりが感じられる景色だそう。

「データ化を進めている時、1日中図書室に籠る日もあったのですが、この景色のおかげで乗り越えられました」と笑います。

さらに、一般社団法人ホワイエでは、2021年から若者が岐阜県内の各地に住みながら学ぶプログラム「岐阜住学」を運営。学生などの受入やプラグラム作りを通じて、村内外の人を繋げています。

村民も移住者も。みんなで暮らしを楽しくできれば

村を盛り上げるさまざまな活動に励む茉由さん。ですが、意外にも“地域のため”という意識はそれほど強くないと言います。

“自分が暮らす場所を楽しくしたい”という想いが、行動の原動力です。

「白川村は、村のことを自分ごととして考える人が多いのがすごいですよね。村民も移住者も、いっしょに白川村を楽しくしていけるといいなと思います」。

“暮らす場所を楽しく”。

茉由さんの素直な考え方は、図書室はもちろん、白川村にも新しい風を吹かせています。


深田 茉由(ふかだ まゆ)さん

大学院在学中、偶然白川村の図書室を訪れたことをきっかけに、2019年秋に白川村へ移住。現在は一般社団法人ホワイエで司書業務と学生受入支援等を行う。

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白川村南部地区文化会館(NBK)

深田さんが司書として働く図書室は、白川村南部の旧平瀬小学校を活用した白川村南部地区文化会館(NBK)にあります。図書室だけでなく、トレーニングルームや乳幼児室、調理室、音楽室のほか、勉強やサークル活動に使える学習室や研修室、懇親会や会議ができる食堂、誰でも自由に利用できるラウンジなどもあり、白川村民はもちろん、有料で村外の方も利用できます。

*南部地区文化会館図書室利用案内

白川村、飛騨地域に関する郷土資料、早稲田大学名誉教授柿崎京一先生からの寄贈本(農村社会学系)を含め、約2万冊の本を所有しています。

開館時間:平日 9:00~17:00/土日 月に4回開館(詳細日時は開館カレンダーをご確認下さい) 

住所: 岐阜県大野郡白川村平瀬126-11

WEBサイト:https://www.lib-finder.net/shirakawa-go/

Instagram:https://www.instagram.com/nbk2180/

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【郷暮らし手帖】どぶろくの仕込み https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/doburokushikomi/ Wed, 15 Feb 2023 06:59:13 +0000 https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/?p=2907 雪がしんしんと降り続く1月。白川村では、豊饒の秋を祝って行われる行事「どぶろく祭」に向けた、どぶろく造りの「仕込み」が始まります。

「天下の奇祭」として知られ、どぶろくの振る舞いを楽しみに毎年多くの観光客が訪れるどぶろく祭。祭りの主役となるどぶろくの担い手は、村民です。今回は10月のどぶろく祭に向けた始まりとなる、「どぶろくの仕込み」を取材させていただきました!

*「どぶろくの徳利詰め」について取材した記事はこちら

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取材に訪れたのは、村内の5つの地区(荻町、鳩谷、飯島、平瀬、木谷)で行われるどぶろく造りのうち、白川村役場や白川郷ICがある鳩谷(はとたに)地区。毎年、鳩谷地区の仕込みは大寒に行われ、2023年は1月27日(金)〜29日(日)の3日間で実施されました。

場所は、鳩谷八幡(はとがやはちまん)神社の奥の蔵。どぶろく造りの最高責任者である杜氏さんと、今年の「鍵取り(神社当番)」(鳩谷八幡神社の鍵を預かり、神社の管理を行う組。輪番制で担当する)の上組の村民など、13人が集まりました。

初日は朝早くから集まり、3日間の段取りを確認してから、米洗(こめあらい)を行います。鳩谷地区では飛騨地方産の酒米を使いますが、その量はなんと1000キロ以上!どぶろく用に精米されているので、お米を炊く時の米とぎよりも軽く、やさしく洗うのがポイントです。

そして、2日目と3日目はなんと夜明け前からお米を蒸す作業が行われます。

取材に伺ったのは、最終日の3日目。積み上げられたせいろでは、次々とお米が炊き上がっていました。

炊き上がったお米を台の上に広げて、手でほぐして、冷めるのを少し待って…。この作業を何度も繰り返します。お米を台にあげる瞬間には、湯気がたちこめてカメラのレンズが曇るほどの熱気です!

ある程度の量の蒸し米が台上に広げられたら、麹(こうじ)を入れてさらに混ぜます。

麹がよく混ざったら、再びせいろやコンテナに入れて、ここから数ヶ月どぶろくを発酵させていくためのタンクに移していきます。

杜氏さんや鍵取りの村民は、お米を蒸す人、蒸し上がったお米を台にあげて冷ます人、タンクに米を移す人などに役割分担して作業。わきあいあいと話しながら手を動かし、作業が進んでいきます。

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白川村でどぶろく造りを担う杜氏さんは、基本的には次の代に引退となるまで長年勤めあげます。鳩谷地区では沢田浩志(ひろし)さん、下方健弘(したかたたけひろ)さんの2人の杜氏さんがどぶろく造りを務めます。そのうちの一人、下方さんにお話を伺いました。

沢田さんと下方さんがどぶろくの杜氏となったのは10年以上前。杜氏を継ぐ話を持ちかけられた当初は、その責任の重さから、下方さんはすぐに前向きな気持ちにはならなかったと言います。

それでも杜氏の役割を引き受けようと思ったのは、伝統を守っていきたいと思ったから。

「毎年、どぶろくを楽しみにしてくれている人がたくさんいて、これを絶やすわけにはいかないからね」。

近年は長年の経験が積まれたことで、比較的安定してどぶろくが作られるようになったそうですが、どぶろく造りは容易ではありません。

「赤んぼうと一緒で、目が離せないんです。状態が悪くなってしまうんですよ。だから常に目を光らせないといけないですね。鳩谷のどぶろくとして、安定したおいしさを目指しつつ、毎年よりよいものを造っていきたいです」。

明け方前から続いた仕込みの作業は、夕方前には終了。作業自体は複雑なものではないですが、3日間早朝から重いお米を運んだり、かき混ぜたりと作業が続いたため、参加した皆さんはかなりお疲れの様子でした。

けれども、どぶろく造りの本番はここから。仕込みが始まってからの数ヶ月は、杜氏さんは自分の本業の仕事をしながら、タンクに入ったどぶろくの状態を毎日確認します。その甲斐あって、おいしいどぶろくができあがるのです。

鳩谷地区のどぶろくは、村内で造られるどぶろくの中でも、ちょうど中間くらいの度数だといいます。

ここ数年は感染症対策のためどぶろく祭でのどぶろくの振る舞いは行われていませんが、今年の秋こそは、村民の想いが込められたどぶろくの味を、多くの人といっしょに味わいたいですね。

どぶろく祭

[白川八幡宮]10月14日~15日:荻町合掌造り集落南

[鳩谷八幡神社]10月16日~17日:R156白山白川郷ホワイトロード入口交差点

[飯島八幡神社]10月18日~19日:道の駅白川郷正面

*毎年の開催状況は白川村役場のWEBサイトをご覧ください

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仕事も遊びも、この村らしく/和田幾太郎さん https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/wadaikutaro/ Tue, 10 Jan 2023 10:51:58 +0000 https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/?p=2792 移住して始めた、最上級の飛騨牛が味わえる店

夕暮れと共に店じまいをする店舗も多い白川村。そんな中で、夕食時も賑わいをみせるのが、鳩谷(はとがや)地区にある「飛騨牛食べ処てんから」さんです。焼肉や牛ひつまぶし、ローストビーフ丼など、極上の飛騨牛料理をいただくことができます。

「こだわりは5等級の飛騨牛。ブロックで仕入れて、一番良い部位をカルビに使うんや」。

そう語るのはてんからを営む和田幾太郎(いくたろう)さんです。

岐阜県郡上市出身で前職は石積みの職人。仕事で通っていた白川村で、偶然、現在の妻である美保さんと出会い、結婚を機に2005年に白川村へ移住しました。

「石積みの仕事は先行きが不透明だったのと、親戚の精肉店の肉を使った飲食店を開きたいと考えていて。店を開くなら妻が住んでいて、観光客も多い白川村かなって」。

独学で料理を学び、店をオープンしたのは2006年。2018年には席数を倍にリニューアルしました。現在は、美保さんをはじめご家族やスタッフ10人ほどで切り盛りしています。

(左から)飛騨牛ひつまぶし御前 1,700円、飛騨牛ローストビーフ丼 1,700円

店舗がある鳩谷地区は、観光客が集う荻町の合掌造り集落からはやや距離があるものの、絶品の飛騨牛を求めて足を運ぶ方も多くみられます。観光客はもちろん地元客にも、その上質な甘みと、とろける食感の飛騨牛は好評です。

「最近は、10歳の長男が〝将来てんからで働きたい〟って言っててね」。

そう言って、幾太郎さんは嬉しそうに微笑みます。

娯楽の釣りが、店の個性に

幾太郎さんの趣味は川釣り。実は、店名の「てんから」は、渓流釣りの手法のひとつです。

店内に飾られたてんから釣りで使用する釣り竿

釣りの腕前は雑誌に取り上げられるほどで、シーズン中の3~9月は週2、3回日の出とともに川に向かいます。

店内には、釣果の写真や剥製が飾られ、釣り好きにはたまらない空間です。シーズン中には幾太郎さんが幾太郎さんが釣ったイワナやヤマメがメニューに並ぶことも。

「釣りは宝探しみたいなものだね。綺麗な魚が獲れるのは何度やってもワクワクする。釣れなくても、良い景色の中で過ごす時間が好きだね」。

そんな釣り好きが高じて、10年ほど前からルアー作りにも挑戦。

木を削り、塗装し、針金をつけて…完成したルアーは、店内でも販売。まるでアート作品のように美しいルアーは、釣り好きならではのこだわりが詰まっていて、機能性も高く、店を訪れる釣り仲間にも好評です。

“結”の村だからこそ、自立が大切

「買い物とか豪雪とか、大変なこともあるけど、文句を言っても仕方がないよね。役場も村民の話を聞いて、よくやっていると思うよ。白川村で暮らすには、大変なことも、何かのせいにするんじゃなくて、自分で何とかできる人が白川村の暮らしに向いているんじゃないかな」。

元々仕事や趣味で村を訪れていたこともあり、村の暮らしに馴染むのは早かったという幾太郎さん。

お互いに助け合う〝結〟の精神が大切にされる白川村だからこそ、個々の自立が必要だと語ります。

そんな幾太郎さんは、この冬、店舗の脇にルアー工房兼ショップをオープン予定。

今冬オープン予定のルアー工房兼ショップ

仕事に趣味に、白川村に確かな根を張りながら、また新たな挑戦が始まります。


和田 幾太郎(わだ いくたろう)さん

岐阜県郡上市出身。白川村出身の妻・美保さんとの結婚を機に、白川村に移住。現在は「飛騨牛食べ処 てんから」を営む。特技は川釣り。

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