郷暮らし手帖 – 飛騨日日新聞 https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi 飛騨日日新聞は白川村での暮らしや文化、 そこに生きる村民のストーリーを届けるメディアです。 Mon, 25 Mar 2024 10:01:39 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.4.4 【郷暮らし手帖】村のごみ処理事情 https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/gomishori/ Fri, 22 Mar 2024 02:40:03 +0000 https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/?p=4973 ある日の早朝、白川村南部の平瀬診療所の脇にある「回収ステーション」には、次々と人がやってきました。

今日は2週間に一度の平瀬地区の不燃ごみや資源ごみの収集日。

地区によって運営方法は異なりますが、平瀬地区では、分別指導を行うリサイクル推進員と当番となった村民が朝7時から待機します。

村民は大きな袋をいくつも抱え、ペットボトルやびん、プラスチック製容器など、12種類に分別してごみ出しをしていきます。

ごみ出しに来る村民は近隣に住む人ばかりなので、もちろん皆顔馴染み。あいさつだけでなく、世間話に花を咲かせることもあります。

ほとんどのごみの分別は、持ち込んだ村民が迷いなくボックスに入れていきますが、中には判別が難しいものも。

そんな時は、リサイクル推進員に「これは何ごみだったかな?」とその場で確認。自分で判断することが難しいごみも、ここに来れば正しく分別でき、村のごみ出しマナーの向上につながっています。

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回収ステーションに行けない場合は、白川村野谷地区にある「リサイクルハウス」への持ち込みも可能です。

リサイクルハウスは、粗大ごみや古紙類、衣類、段ボールなどの受け入れをしている収集拠点で、回収ステーションで収集した不燃ごみも、まずはここに集められます。

受入れ日は、毎週金曜と4〜12月の第4日曜。村内のさまざまな地区の村民が、車で乗り入れてごみを持ち込みます。

リサイクルハウスを管理しているのは、有限会社荘白川クリーンさん。2019年より行政の委託を受け、リサイクルハウスを担当している松井則幸さんにお話を聞きました。

ごみを持ち込んだ村民は、まずは入り口近くで重量を確認。粗大ごみや古紙類など、リサイクルハウスだけで回収されるものについては計量が必須となっています。

建物の中はごみの種類によってエリアが分けられているので、該当する場所のカゴやボックスに自分で入れていくというシステムです。

取材したのは平日の日中でしたが、リサイクルハウスには次々と車がやってきます。家庭用のごみだけでなく、村内の事業者さんの持ち込みも。年配の村民は、お孫さんを連れて一緒に分別をする姿もみられました。

ボックスにいっぱいになったプラスチック容器やペットボトルなどは、圧縮減容梱包機という機械によってぎゅっと押しつぶされ、コンパクトに。こうした資源ごみは、各々の再生業者へと引き渡されたり、再資源化できないものは最終処分場に埋め立てられ、処理されています。

建物の裏にも回収スペースがあるということで案内してもらいました。

いくつか仕切りのある小屋があり、家具、特定家庭用機器、段ボールといった比較的大きなごみが集められています。リサイクルハウス開設当初はこうした小屋はありませんでしたが、機能性を高めるために後から作られたと言います。

こうした工夫が、分別のしやすさや再資源化につながっているのですね。

ごみ焼却施設がない白川村では、使い切りや細かな分別など、一人ひとりのごみ減量への意識が根付いていて、資源ごみの再生事業者からも高く評価されています。

毎年4月29日には、ほぼ全村民が参加する村内一斉美化運動も開催されます。雪によって隠れていたごみを早朝6時から拾い集め、村中をきれいにします。美しい村は、村民の手によって維持されているのです。

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【郷暮らし手帖】秋の一斉放水訓練 https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/isseihousui/ Wed, 14 Feb 2024 08:37:01 +0000 https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/?p=4855 毎年、10月末から11月上旬に白川村荻町の合掌造り集落で行われる「秋の一斉放水訓練」。

集落内にある60基の放水銃から一斉に水のカーテンが放たれます。

この幻想的な光景を一目見ようと、毎年多くの観光客が訪れ、多数のメディアにも取り上げられますが、実は、放水の目的は観光ではなく防災。

(左から)藤坂俊幸さん、野村昭吾さん

そんな一斉放水について、消防団の中部分団長である藤坂俊幸(としゆき)さん、荻町区長である野村昭吾さんにお話を聞きました。

茅葺きの合掌造りは火に弱く、一棟に火災が起きてそれが燃え広がると、他の建物でも火災が起きる可能性が高くなっています。最悪の場合は、世界遺産である集落全体に火災が及ぶ危険性もあるのです。

そのため、放水は“消火活動”ではなく、家屋と家屋の間に水のカーテンをつくるとともに、集落全体を霧が覆うことで延焼を防ぐために行われます。

そして、いざというときに放水銃がきちんと機能するよう、点検のため、50年ほど前から一斉放水訓練が行われています。

放水銃を扱うのは集落に暮らす村民。

訓練当日、朝8時のサイレンが鳴ると、合掌造りを模した放水銃の収納箱が開かれ、集落の方々から30メートルにもなる水柱が一斉に立ち上がります。

展望台からその様子を臨むのは、消防団の中部分団長である藤坂さん。水の上がり具合などを見て、放水銃の機能に問題ないかを確認します。

5分ほど続く放水が2回行われ、一斉放水訓練は無事に終了。

白川郷の湯は2023年4月末に営業を再開

2022年2月に発生した白川村荻町にある「白川郷の湯」の火災では、懸命な消火活動が行われましたが、一名の方が命を落とすという大変痛ましい出来事となりました。

荻町区長の野村さんも、「本当に集落全体に燃え広がるのではないかと思った」と語ります。

この火災を受けて、荻町の防災意識は高まっていますが、「いっそう意識を高めていきたい」というのが消防団や区民の想いです。

2023年は一斉放水訓練後に村の防災訓練も実施されました。避難訓練や安否確認、荻町多目的集会施設での展示企画なども行われ、村民は多様な面から防災について学び、意識を高めました。

「日本の原風景」とも称される美しい合掌造り集落。その維持は、村の文化や歴史を想う村民一人ひとりの尽力によって成り立っているのです。

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【郷暮らし手帖】平瀬どぶろく祭(後編) https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/hirasedoburoku2023_02/ Tue, 21 Nov 2023 11:59:54 +0000 https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/?p=4264 2023年9月25日、26日に白川村南部の平瀬地区でどぶろく祭が開催されました!

豊饒の秋に行われる白川郷の一大行事「どぶろく祭」。御神幸、獅子舞、民謡、舞踊などの神事が行われるとともに、神に捧げられたどぶろくが人々に振る舞われます。

そんなどぶろく祭は今年、4年ぶりの通常開催!

この記事では、観光客が多い地区のお祭りとは一味違う、“村民のための祭”の色が濃い、平瀬地区のどぶろく祭の様子を前後編でお届けします。

迫力ある獅子舞の披露!

2日間に渡って行われる平瀬地区のどぶろく祭。朝から平瀬八幡神社で神事を執り行い、午後からは村廻りで各組を巡りました。

そして、神社に戻ってから行われるのが還幸祭です。

神社には、平瀬地区の村民はもちろん、他の地区の村民、村外からの参拝者が獅子舞やどぶろくを待ち侘びていました。

どぶろくの振る舞いのため、ござを敷いて準備します。

そしていよいよ獅子舞奉納がスタート!村廻りでも一部の演目が行われましたが、この獅子舞奉納では全ての演目が披露されます。

白川村の獅子は4人の男性が舞い手となり、8本足となる「百足獅子」と呼ばれていて、全国的にも珍しい形態となっています。演目は各地区で異なり、平瀬地区では10の演目から成ります。各演目の始まりには、どんな場面の舞なのかの説明があるので、初めて見る人でもストーリーと共に楽しめます。

まずは獅子だけの演目。前後左右に移動するだけでなく、上下にも激しく、猛々しく乱舞します!舞い手の4人の息がぴったり合って、まるで本当に生きているかのようです!

笛や太鼓の音色も、境内に響きます。

演目が進むと、獅子に立ち向かう「ハナトリ」が登場!剣や「ザイ」といった道具を手に、力強く獅子と戦います。

ハナトリ(シシトリとも呼ばれます)を務めるのは、小学生から中学生の少年。一度役に就くと、引退の年齢までは同じ子が役を担い続けます。ハナトリになれるのは地区の中でも2人だけなので、幼い頃から獅子舞を見ている村の子どもたちにとっては、憧れの存在です。

今回大役を務めた2人も幼い頃からハナトリに憧れ、今年、念願のデビューとなりました。

1か月ほど稽古に明け暮れ、祭の前は「少し緊張する」と話していた二人ですが、果敢に、華麗に獅子に挑む姿には、思わず息を飲んで見入ってしまいます!

参拝者は声援をかけたり、拍手を送ったり、おひねりを投げ入れたりしながら、その力強い舞を楽しんでいました。

ここでしか味わえない、貴重などぶろくの振る舞い

獅子舞の演目の途中には「どぶろくの儀」が執り行われ、どぶろくの振る舞いもスタート!

獅子舞を見守っていた観客たちが、一気にゴザに腰を下ろします。どぶろくを注ぐのは、割烹着を着た女性や、法被を着た男性。

そして待ちに待ったどぶろくが、盃に注がれます…!

氏子が杜氏を担い、各地区で醸されるどぶろく。祭礼用に特別に作ることを許可された非売品なので、味わうことができるのは、このどぶろく祭だけ。献燈料を収めると入手できる盃で、いただくことができます。

さて、今年のお味は…?

平瀬地区のどぶろくは他の地区と比べて辛いのが特徴ですが、今年は飲み口がまろやか!後から辛みがじんわりと広がります。

「今年の出来は最高!」という杜氏さんの言葉通り、気がつくと何杯も飲んでしまいたくなるおいしさです…!

村外からの参加は少ない平瀬のどぶろく祭ですが、今年は体感として参拝者の数は4年前の1.5倍ほど。それだけ、このどぶろくを楽しみにしていた人がたくさんいるのだとわかります。

獅子舞を眺めながら、どぶろくを味わい、周りの人と語らって…これぞ祭!というような賑やかな時間が流れていきます。

さらに、獅子舞が終わると、どこからともなく民謡の歌声や四竹のおはやしが聞こえ、さっきまでどぶろくを楽しんでいた村民の民謡が始まります。この日のために帰省した懐かしい顔ぶれもいっしょに踊り出し、大盛り上がり!平瀬地区ならではの“みんなでつくる”アットホームな雰囲気で還幸祭は締めくくられました。

老若男女が一芸を披露。どぶろく祭は夜も楽しい

還幸祭が終わると、時間はすっかり夕暮れ。村外からの参拝者のほとんどは帰路につきますが、村民の楽しみはまだまだこれからです。

夜も祭は続きますが、まずは宴会!祭の夜は地区の家々でごちそうが振る舞われます。この日お邪魔したお宅では、山菜やアマゴがふんだんに使った料理が並んでいました。どぶろく祭の日は、村を出た出身者も帰郷する人が多く、親戚や近所の人、友人が集まって食事をします。

宴会を終えると、神社の前にある広場へ。

学校や仕事を終えた他の地区の村民も続々と集まってきました!広場には縁日も並んでいます。

そして、夜の祭がスタート!

まず披露されるのは獅子舞。

この日何度も披露されてきた獅子舞ですが、ライトに照らされ、昼間とはまた違った幻想的な雰囲気で見応えがあります!獅子舞を取り囲むギャラリーからは、歓声が飛び交いました。

そして、1日目最後のお楽しみは「南部地区芸能大会」。

村民の有志がこの日のために練習してきた一芸を披露します。

子どもたちの可愛らしい民謡から、ハイクオリティなダンス、流行を取り入れた歌唱、そして「え、あの人がこんなことをやるの…?」といった笑いを誘うパフォーマンスまで…!

堂々と演じる姿に、村民は手拍子を叩いたり、声援を送ったり、笑い転げたり…こうして祭1日目の夜は更けていくのでした。

2日目も村廻りに獅子舞、どぶろく…宴は夜深くまで

祭の2日目も、朝からスタート。行列の無事を祈る「発幸祭」が執り行われ、1日目に訪れていない2つの組の村廻りへ向かいます。そして、神社に戻ってからは、どぶろく祭のなかでも特別な神事である「例祭典」が行われました。

今回の祭の最後となる獅子舞も披露!2日間全力で舞い続けてきた獅子役者たちが、最後の力を振り絞って舞を魅せます。獅子舞の最中にはどぶろくの振る舞いも行われ、祭も佳境に。2日間に及ぶ祭も、いよいよ終わりへと向かいます。

最後は、祭の締めくくりとなる家々での宴会。普段は静かな集落に、遅くまで賑やかな笑い声がそこかしこから聞こえてくるのでした。

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さまざまな行事や祭がある白川村ですが、どぶろく祭は「この祭のために帰ってくる」「祭があるから村にUターンした」と語る人もいるほど、村民にとって特別な行事。

老若男女の村民が参加し、皆で作りあげるからこそ、思い入れが強く、こうした祭がまた村民同士の結束を一層強くしていくのでしょう。

どぶろく祭

[白川八幡宮]10月14日~15日:荻町合掌造り集落南

[鳩谷八幡神社]10月16日~17日:R156白山白川郷ホワイトロード入口交差点

[飯島八幡神社]10月18日~19日:道の駅白川郷正面

*毎年の開催状況は白川村役場のWEBサイトをご覧ください

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【郷暮らし手帖】平瀬どぶろく祭(前編) https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/hirasedoburoku2023_01/ Mon, 13 Nov 2023 03:04:30 +0000 https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/?p=4155 2023年9月25日、26日に白川村南部の平瀬地区でどぶろく祭が開催されました!

ここ数年はコロナ禍で中止や縮小となっていたため、通常開催となったのは実に4年ぶり。その分、多くの村民がこの日を心待ちにしていました。

そもそも、どぶろく祭とは?

五穀豊穰や家内安全、里の平和を山の神様に祈願する「どぶろく祭」。「天下の奇祭」とも言われ、毎年9月の終わりから10月にかけて、村内5地区(平瀬、木谷、荻町、鳩谷、飯島)で開催されます。

神に捧げられる「どぶろく」が村民や参拝者に振る舞われ、これを目当てに訪れる観光客も多いんです。

*どぶろくについて取材した記事はこちら
【郷暮らし手帖】どぶろくの徳利詰め

【郷暮らし手帖】どぶろくの仕込み

どぶろく祭は、白川村民にとってお盆や正月よりも重要と言っても過言ではない行事。自分が住む地区や、演者として参加する地区の祭の日には、子どもたちは白川郷学園(白川村唯一の学校)も公欠扱いで休むことができます。村外に出た人の多くも、この日に合わせて帰省します。

そんなどぶろく祭の中でも、平瀬地区は観光客が多い荻町、鳩谷、飯島と比べると、より「村民の祭」の色が強いのが特徴。今回は、そんな平瀬どぶろく祭の様子を前後編に分けてお届けします!

朝の神事から祭はスタート

祭は各地区ごとに開催期間が1〜2日と決まっていて、平瀬地区では2日間開催されます。

スタートは朝9時ごろ。

獅子役者や稚児をはじめ、役を持った村民が平瀬八幡神社に集まります。氏子全員が集まるわけではないのですが、地区の人口が少なくなっている近年、何かしらの役を持つ人が多くなっています。

初めに行われるのは、試楽祭。

神社の本堂で、神主さんたちを中心にお浄めの儀式が行われます。管楽が響く中、厳かに神事が進みます。

ここでは2人の稚児による舞も披露。扇や鈴を手に、初々しくも優雅に舞う姿に、観客は思わず目を細めます。

稚児は、通常小学生〜中学生の女の子が務めますが、この日は高校生も参加。当日は、早朝から稚児のお母さんたちが支度を手伝い、娘の晴れ舞台を支えていました。

村廻りで各組へ練り歩き

試楽祭を終えると、村廻り(ご神幸行列)へ。

獅子役者や稚児、御輿、カラフルな吹き流しをもった旗持ちなどが列を成して、地区内の各組を廻ります。

山の緑を背景に色鮮やかな行列が巡っていく様子は、なんとも華やかです!

獅子役者の太鼓や笛の音色で、祭の気分がよりいっそう高まります。

村廻りでは、各組が設えた祭壇で神事が行われます。この祭壇も、早朝から各組の村民が準備していました。

ご祈祷が終わると、獅子舞も披露!

メインの舞は村廻りを終えてから神社で行われますが、各組でも獅子舞の演目の一部が行われます。

通りの真ん中で踊る姿は、境内で催される舞とはまた違う面白さがあります!村民はもちろん、たまたま訪れていた観光客も思わず足を止めていました。

そしてこちらは…民家に獅子舞が押し入ってます!

「舞い込み」とよばれるこの儀式は、獅子役者たちに御花(金銭)を包んだ家や企業に、無病息災を祈って行われます。

獅子舞がずんずんと家の中に進んでいく姿は、初めて見ると少しびっくりしてしまいますが、ご利益があるものなのです。

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こうして1日目は8組を巡り、行列は午後3時ごろには神社へ。この後はいよいよ、獅子舞奉納とどぶろくの振る舞い。

※後編記事公開後、閲覧いただけます。

どぶろく祭

[白川八幡宮]10月14日~15日:荻町合掌造り集落南

[鳩谷八幡神社]10月16日~17日:R156白山白川郷ホワイトロード入口交差点

[飯島八幡神社]10月18日~19日:道の駅白川郷正面

*毎年の開催状況は白川村役場のWEBサイトをご覧ください

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【郷暮らし手帖】天龍宮祭 https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/tenryugu/ Mon, 25 Sep 2023 08:14:22 +0000 https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/?p=3845 2023年7月25日、白川村荻町で天龍宮祭(てんりゅうぐうさい)が行われました!

天龍宮祭は、白川村荻町の合掌造り集落の東の外れにある天龍宮で行われる東上(ひがしかみ)組の村民を中心にした小さな祭です。

かつてこの地区では、土砂崩れなどの自然災害が多く発生していたのですが、神を敬うことで災害を鎮めようと、昭和23年から毎年7月25日に欠かさず行われています。

祭礼は午後からですが、東上(ひがしかみ)組の村民は朝から準備に取り掛かります。

まずは草抜き。日光が強く射していましたが、午前中は神社のある場所はちょうど日陰になるので比較的爽やかな気候です。

草抜きがある程度終わると、男性陣が中心となってのぼりを立てていきます。

鳥居の前や、敷地の脇に大きなのぼりが立てられると、一気に祭の雰囲気が出てきました!

社殿周りも、神主さんたちが中心となって整えられます。

そして直射日光に長時間当たりながらの祭礼は大変…ということで、大きな日除けも設けられました。

午前中の準備はこれで終了。それぞれ昼食をとるため、一旦解散です。

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午後1時を回ると、いよいよ祭礼が始まります。

社殿に上がるのは、宮司さんや補佐役の禰宜(ねぎ)さん、雅楽を奏する楽人さん、議員さん、東上組や一般参拝者の代表者の方。その他の東上組の村民は、午前中に設置した社殿の前の日除けの下で参拝します。

午前中は日陰になっていた境内にも強く日光が差し込み、日除けのありがたさを感じます。

村民たちに見守られ、神主さんが祝詞を奏じ、神事が粛々と執り行われていきます。蝉の鳴き声がする中、神楽の音色も真夏の青い空に響き渡っていました。

そんな様子を見ていると、炎天下の中でも気持ちがシャンとして、背筋が伸びてくるから不思議です。

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無事に祭礼が終わると、秋のどぶろく祭より一足先に、獅子舞も披露。

演じるのは、荻町の獅子舞保存会です。迫力ある舞に思わず釘付けになります。

普段は観光客が足をあまり運ばないひっそりとしたエリアですが、太鼓と笛の音に引き寄せられ、いつの間にか境内の外には多くの観光客が。熱心に舞を見入っていました。

獅子舞が終わると、天龍宮祭はこれにて終了。祭の後は速やかに片付けをして、最後はみんなで飲み食いする直会(なおらい)が行われます。日が暮れるまで、賑やかな時間が続くのでした。

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白川村では、天龍宮祭以外にもこうした小さな地区単位での祭が、村民の手によって執り行われています。祭はもちろん、準備や、祭の後の交流をみんなで行い、こうした積み重ねが、村民の結束をまた、強くしていくのです。

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【郷暮らし手帖】消防団の操法訓練 https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/shobodan-sohokunren2023/ Wed, 19 Jul 2023 08:24:44 +0000 https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/?p=3673 白川村で毎年6月第2日曜に開催される「白川村消防操法大会」。村の消防団員たちは、この大会に向け毎年5月中旬から約4週間、平日はほぼ毎夜訓練を行います。

今回は大会直前に行われるリハーサルである、「審査会」の様子を取材させていただきました!

この日はあいにくの雨でしたが、会場である寺尾の村防災グラウンドにはたくさんの消防団員が集まっていました。

村内の消防団は9チーム。この日の審査会にはそのうち4チームが参加し、順番に消防技術の審査を行います。白川村で消防団員となるのは、主に20〜40代の男性。チームごとに人数はさまざまですが、多いと10人程度、少ないと5人ほどのチームもあります。

消防ポンプ操法には、消防ポンプ自動車(消防車の代表的なもの)を使う「ポンプ車操法」と、持ち運び可能な小型動力ポンプを使う「小型ポンプ操法」の2種類があり、チームごとにどちらの操法を行うかが決まっています。

最初に始まったのは、ポンプ車操法の審査会。

ポンプ車に乗り込んだ団員たちが定位置で車を降り、整列。出場選手はゼッケンをつけていて「指」は指揮者、「1」「2」「3」「4」は1番員、2番員、3番員、4番員、「補」は吸管補助員とそれぞれ役割が決まっています。

点呼が終わると指揮者は「ただいまからポンプ車操法を開始します」と審査班長に報告。

さらに「火点は前方の標的、水利はポンプ車右側後方防火水槽……」と、火元や水のある場所を伝える号令を続け、「操作始め!」の号令で計測がスタートします。

まずは、ポンプ車に乗り込み、一連の動きを行ってから、ポンプ車から降りて消火活動へ!

3番員と4番員が吸水管(水槽の水を吸い上げるホース)をポンプと接続し、水槽へとつなげます。吸管補助員は、吸水管がしっかりと水槽から水を吸い上げられているかを確認。

その間、指揮者、1番員、2番員は「火」と書かれた標的までの約70メートルを全力でダッシュ!ホースを素早く引き伸ばします。1番員はホースの先端の器具をつなげ、準備完了。1番員から「放水始め」と伝えられた2番員は、先ほど走った道のりを再び走り、機械を操作をする4番員の元へ。

放水開始です!

入れ違いに3番員は火災時に窓やドアを破って放水するために使う「トビ口」を運び、操作します。そして2番員も、1番員の負担を軽減するため再び標的まで走り、放水。

懸命な消火活動により、見事標的が倒れました!消火活動はこれで終了です。

計測はここまでですが、最後の片付けまで審査に含まれます。迅速かつ規律を守りながら、ホースを片付け、ポンプ車に戻り、撤収していきます。

こちらは「小型ポンプ操法」の訓練。ポンプ車に乗り込む以外は概ね同じ流れですが、指揮者と1番員〜3番員、吸管補助員の4名で行います。

団員たちは、グラウンド中に響くほどの大きな声を威勢よく出し、きびきびと動き、全力でグラウンドを走り回ります。ここまでの一連の動きを身につけるには、確かに相当な練習が必要です。

今年入団した中部第1班の小洞(こぼら)琢摩さんは「まずは姿勢や敬礼や、団体行動の基本から覚えました。覚えることがたくさんあり大変ですが、普段は関わらない方と交流できておもしろいです」と語ります。

白川村消防操法大会で活躍する小洞さん(1番員)

白川村の消防団はレベルが高く、岐阜県の大会で優勝したこともあります。また2022年に荻町の「白川郷の湯」で火災が発生した際は、村内すべての消防団員が集結し、決死の消火活動を行いました。

合掌造り集落では一たび火災が発生すると集落が全焼してしまう恐れもあり、消防団の存在は合掌造りの家屋を維持していくためにも不可欠です。

さらにこうした連日の訓練のおかげもあって村民同士のコミュニケーションが図られ、移住やUターンで村に住み始めた人がコミュニティに入るきっかけにもなっています。

一方で、団長の下方健弘(したかたたけひろ)さんは「今は、家族の在り方やライフスタイルが多様化しているから、白川村でも時代に合わせたやり方を考える必要があるね」と課題も語ってくれました。

時代の流れに合わせながらも、村を火災から守る消防団の活動は、今後も大切な役割を果たしていくことでしょう。

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【郷暮らし手帳】子どもたちの身体とこころを育む給食 https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/kyusyoku/ Tue, 30 May 2023 09:51:13 +0000 https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/?p=3308 学校生活の楽しみの一つといえば給食。白川村唯一の学校「白川郷学園」に通う子どもたちにとっても、給食は待ち遠しい時間です。

午前中の授業が終わると、お腹をすかせた子どもたちが廊下に飛び出します。給食当番の子どもたちは白衣に身を包んで配膳を進め、準備ができたら「いただきます!」。

その地方ならではの食材や料理が振る舞われることも多い学校給食。白川村の給食も、さまざまな工夫や、特色ある取組みが実践されているということで、取材に伺いました。

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お話を聞いたのは、栄養教諭の川原昌士先生。2021年4月に白川郷学園に赴任されました。

「白川村の給食は、すべて白川郷学園の横にある給食センターで作られています。学園だけでなく、保育園の給食も作っていますよ」。

給食センター

白川郷学園と保育園に通う子どもたち、先生などの職員を合わせ、給食センターで作られる給食は毎日約200食。複数の学校をまとめて作ることも多い他の自治体と比べると、量は少なめです。その分、メニューを柔軟に組み立てることができたり、手作業も多いため“家庭料理”っぽさが出るそう。

「給食の特徴としては、村の素材をふんだんに取り入れているところですね。地域の方々にいろいろな食材を提供してもらっています」。

結旨豚に、サンフラワーさんや大田ファームさんのお米や野菜、白川合掌豆腐宮部豆腐店さんや深山豆富店さんの豆腐やすったて…さらにマイタケやキクラゲなども村で採れたものを活用。自分たちの地域で育てられたものを、地域でいただく“地産地消”が日常的に実践されています。

さらに、白川郷学園ではただ「食べる」だけでなく給食を「作る」「考える」取組みにも力を入れています。

その一つが、岐阜県教育委員会が主催する「中学生学校給食選手権」への参加。

過去に受賞した献立は食品サンプルとなって展示

白川郷学園では毎年8年生(中学2年生)が参加し、上位の成績を収めています。この選手権では、自分たちで献立を考え、決勝戦では生徒だけで調理した給食を試食してもらいます。

2022年度は飛騨産コシヒカリのタケノコご飯や、鉄分が豊富な鹿肉の唐揚げ、特別支援学級の児童生徒が作ったじゃがいもとパプリカの中華和え、白川郷土産で人気の「紫蘇もなか」の皮を使った中華スープといった、地域の食材を活用し、見た目や栄養バランスにもこだわった献立で大会に挑戦。白川村らしい地域や人とのつながり“結”も表現されたメニューは、見事、県農業協同組合中央会会長賞を受賞しました。

2022年度の中学生学校給食選手権の献立(県農業協同組合中央会会長賞受賞)

もう一つの取組みは、「結クラス希望献立」。コロナ禍で黙食となった給食の時間をなんとか楽しくしたい、という生徒や先生の想いから始まったものです。

「結クラス」とは、白川郷学園の1〜9年生の縦割りグループのこと。休み時間や掃除、給食などの時間の多くは、結クラスで過ごします。

「結クラス希望献立」は、その年のテーマに沿った給食について結クラスで話し合い、献立を作りあげるというもの。2022年度は“ヘルシー”をテーマとした9つの献立ができました!

「完成した献立は、給食センターで調理され、給食としてみんなでいただきます。子どもたちは自分たちで作ったメニューを食べるのをとても楽しみにしていて、“今日はあの班の献立だよね”と話しています。コンテスト形式で行っているので、それぞれの給食を互いに評価して、グランプリも決めているんです」。

「結クラス希望献立」を通じて、子どもたちがより給食や食事を楽しむようになったと、保護者からも好評なのだそう。

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白川村の給食を一任されている栄養教諭は、他の自治体より規模は小さいながら、一人でやらなければならないことも多いそう。それでも、大変さよりも「やれることがたくさんあることが楽しい」と川原先生は語ります。

「給食を、ただの食事の時間で終わらせてほしくないんです。その献立や素材の裏にあるストーリーや背景を知ることで、給食がより楽しく、学びの多い時間になればいいなと思っています」。

今後は、古代米やもち麦、まこもだけ、サンフラワーさんのいちじくなど、まだ活用できていない村の食材を給食に取り入れたい、と意気込みます。

「子どもたちの日々の暮らしや遊びの中にあるものと、食を結びつけていけるといいですね」。

子どもたちの身体とこころに健やかにする給食。

白川村では、食べるだけでなく、考え、作ることによって、村の自然や、産業、文化など、さまざまな面に目を向けるきっかけや、コミュニケーションを育む場にもなっています。

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【郷暮らし手帖】シェアハウスの雪囲いを外しました! https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/yukikakoi-hazushi/ Tue, 09 May 2023 11:43:22 +0000 https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/?p=3315 春を迎えた白川村では、すっかり雪解けが進み、緑の草木が芽吹いています。

そんな4月中旬のある日、移住体験シェアハウス「やまごや以上ほしぞら未満」(通称「やまほし」)では、「雪囲い」を外す作業が行われました!

雪が少なかった今年の冬。村内のほとんどの家や店舗では、3月に雪囲いを外し終わっていましたが、ようやく「やまほし」でも、雪囲いを外すことができました。

参加したのは、やまほしの住民と管理を行っている一般社団法人ホワイエのメンバー。

屋根から落ちてきた雪や、積雪による雪の重みから窓を守ったり、家の中に雪が入り込まないようにするために、主に家屋の窓のある箇所を囲いで覆う「雪囲い」。そのやり方や材料は建物によりさまざまですが、やまほしでは立てかけた木の柱にトタン板を並べて固定し、雪を凌いでいました。

▷雪囲いの様子をまとめた記事はこちら

早速、冬の間お世話になった雪囲いを外す作業がスタート。

まずはトタン板を外すために、柱に固定していたネジをインパクトを使って緩めていきます。

実は、やまほしの住民は全員インパクト初心者!なかなか最初はコツがつかめず苦戦…。

全て緩め終わったら木の板とトタンを外していき、建物の脇へ。状態が良いものは保管しておいて来年も活用します。

そして、柱と垂直に設置していた木の板をくくりつけていたビニール紐を外せば…1ブロックの雪囲い外しが完了です!

この作業を、合計4箇所で行います。

役割分担を行ってテキパキと作業。インパクトの扱いにも、段々と慣れてきました!

そして、1時間ほどであっという間に作業は終了!

12月に雪囲いをしてから、実に4ヶ月ぶりにまっさらな状態の外観が姿を見せました。

ようやく本格的に春を迎える準備ができ、一安心。やまほしの周りには、つくしも顔を出していました。

今年はコロナウイルスの感染状況もずいぶん落ち着き、4年ぶりにさまざまなお祭りやイベントも開催できそうな白川村。

飛騨日日新聞でも、日々の暮らしの様子に加え、コロナ禍以前のかたちで行われる村ならではの取組みをどんどん発信していきますので、どうぞご期待くださいね!

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【郷暮らし手帖】どぶろくの仕込み https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/doburokushikomi/ Wed, 15 Feb 2023 06:59:13 +0000 https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/?p=2907 雪がしんしんと降り続く1月。白川村では、豊饒の秋を祝って行われる行事「どぶろく祭」に向けた、どぶろく造りの「仕込み」が始まります。

「天下の奇祭」として知られ、どぶろくの振る舞いを楽しみに毎年多くの観光客が訪れるどぶろく祭。祭りの主役となるどぶろくの担い手は、村民です。今回は10月のどぶろく祭に向けた始まりとなる、「どぶろくの仕込み」を取材させていただきました!

*「どぶろくの徳利詰め」について取材した記事はこちら

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取材に訪れたのは、村内の5つの地区(荻町、鳩谷、飯島、平瀬、木谷)で行われるどぶろく造りのうち、白川村役場や白川郷ICがある鳩谷(はとたに)地区。毎年、鳩谷地区の仕込みは大寒に行われ、2023年は1月27日(金)〜29日(日)の3日間で実施されました。

場所は、鳩谷八幡(はとがやはちまん)神社の奥の蔵。どぶろく造りの最高責任者である杜氏さんと、今年の「鍵取り(神社当番)」(鳩谷八幡神社の鍵を預かり、神社の管理を行う組。輪番制で担当する)の上組の村民など、13人が集まりました。

初日は朝早くから集まり、3日間の段取りを確認してから、米洗(こめあらい)を行います。鳩谷地区では飛騨地方産の酒米を使いますが、その量はなんと1000キロ以上!どぶろく用に精米されているので、お米を炊く時の米とぎよりも軽く、やさしく洗うのがポイントです。

そして、2日目と3日目はなんと夜明け前からお米を蒸す作業が行われます。

取材に伺ったのは、最終日の3日目。積み上げられたせいろでは、次々とお米が炊き上がっていました。

炊き上がったお米を台の上に広げて、手でほぐして、冷めるのを少し待って…。この作業を何度も繰り返します。お米を台にあげる瞬間には、湯気がたちこめてカメラのレンズが曇るほどの熱気です!

ある程度の量の蒸し米が台上に広げられたら、麹(こうじ)を入れてさらに混ぜます。

麹がよく混ざったら、再びせいろやコンテナに入れて、ここから数ヶ月どぶろくを発酵させていくためのタンクに移していきます。

杜氏さんや鍵取りの村民は、お米を蒸す人、蒸し上がったお米を台にあげて冷ます人、タンクに米を移す人などに役割分担して作業。わきあいあいと話しながら手を動かし、作業が進んでいきます。

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白川村でどぶろく造りを担う杜氏さんは、基本的には次の代に引退となるまで長年勤めあげます。鳩谷地区では沢田浩志(ひろし)さん、下方健弘(したかたたけひろ)さんの2人の杜氏さんがどぶろく造りを務めます。そのうちの一人、下方さんにお話を伺いました。

沢田さんと下方さんがどぶろくの杜氏となったのは10年以上前。杜氏を継ぐ話を持ちかけられた当初は、その責任の重さから、下方さんはすぐに前向きな気持ちにはならなかったと言います。

それでも杜氏の役割を引き受けようと思ったのは、伝統を守っていきたいと思ったから。

「毎年、どぶろくを楽しみにしてくれている人がたくさんいて、これを絶やすわけにはいかないからね」。

近年は長年の経験が積まれたことで、比較的安定してどぶろくが作られるようになったそうですが、どぶろく造りは容易ではありません。

「赤んぼうと一緒で、目が離せないんです。状態が悪くなってしまうんですよ。だから常に目を光らせないといけないですね。鳩谷のどぶろくとして、安定したおいしさを目指しつつ、毎年よりよいものを造っていきたいです」。

明け方前から続いた仕込みの作業は、夕方前には終了。作業自体は複雑なものではないですが、3日間早朝から重いお米を運んだり、かき混ぜたりと作業が続いたため、参加した皆さんはかなりお疲れの様子でした。

けれども、どぶろく造りの本番はここから。仕込みが始まってからの数ヶ月は、杜氏さんは自分の本業の仕事をしながら、タンクに入ったどぶろくの状態を毎日確認します。その甲斐あって、おいしいどぶろくができあがるのです。

鳩谷地区のどぶろくは、村内で造られるどぶろくの中でも、ちょうど中間くらいの度数だといいます。

ここ数年は感染症対策のためどぶろく祭でのどぶろくの振る舞いは行われていませんが、今年の秋こそは、村民の想いが込められたどぶろくの味を、多くの人といっしょに味わいたいですね。

どぶろく祭

[白川八幡宮]10月14日~15日:荻町合掌造り集落南

[鳩谷八幡神社]10月16日~17日:R156白山白川郷ホワイトロード入口交差点

[飯島八幡神社]10月18日~19日:道の駅白川郷正面

*毎年の開催状況は白川村役場のWEBサイトをご覧ください

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【郷暮らし手帖】冬の訪れを告げる雪囲い https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/yukikakoi/ Tue, 13 Dec 2022 21:00:00 +0000 https://www.vill.shirakawa.lg.jp/hidanichi/?p=2717 多い年は2メートル以上の雪が積もる豪雪地帯・白川村。そんな白川村の冬を越すのに欠かせない作業が「雪囲い」です。

屋根から落ちてきた雪や、積雪による雪の重みから窓を守ったり、家の中に雪が入り込まないようにするために、主に家屋の窓のある箇所を囲いで覆います。

12月初旬のある日、飛騨日日新聞の編集部も週に数日滞在しているシェアハウス「やまごや以上ほしぞら未満」の雪囲いをしました!

毎年、本格的に雪が降り出す11月ごろから村内では雪囲いが行われます。雪囲いをされた建物を見ると、いよいよ冬がやってくるな〜と実感。近所で雪囲いが終わっていくなか、自分の家の雪囲いが終えられていないとソワソワしてきたりもするんです。

雪囲いのやり方や使う材料は、家庭や建物によってさまざま。ちなみに、世界遺産に登録されている荻町の合掌造り集落では、景観に配慮しオダレ(茅を編んだ簾状の雪囲い)を用いることが多いですが、今回はトタン板を使って雪囲いをしていきます!

まずは支柱となる角材を、軒下に立てかけ、ビニールロープを巻き付けて外壁と固定します。

この日は朝から小雨が降っていて、なかなかの寒さ。だんだんと湿っていく軍手と格闘したり、かじかんだ手でビニールロープを結んでいく作業は、初めてだとなかなか大変…。

続いて、トタン板を立てかけるための横軸となる細長い板を、先程立てかけた角材と垂直に付けていきます。こちらもビニールロープで固定。

これでトタン板を立てかける土台が完成です!

身長以上の長さのある角材や板を一人で扱うのは、慣れていないと至難の業。みんなで協力しながら作業を進めます。

土台ができたら、トタン板を重なり合うように立てていきます。

さらにトタン板を固定するために、土台の横軸の板に重ねるように、再び細長い板を付けていきます。ちょうど、トタン板を細長い板と板で挟むようなかたちです。

板の上からインパクトドライバーでビス締めを行えば、完成です!

この作業を、シェアハウスの表側と裏側の合計5箇所で行っていきます。

朝9時過ぎにスタートした雪囲いは、お昼の防災行政無線が聞こえてからも続きました。作業終盤には、雨が上がって、少しだけ晴れ間ものぞいていました。

そして作業を始めてから約3時間、ついに全ての雪囲いが終了しました!お疲れ様でした!

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労働の後は、やまほしの近所にある「次平」さんへ。ラーメンやトロロステーキが定番ですが、この日はカツカレーをいただきました。冷えて疲れた身体によくしみるおいしさです。

*次平さんへは今後取材に伺う予定です。お楽しみに!

雪囲いの数日前には初雪も観測され、いよいよ白川村の長い冬が始まります。果たして、今年はどれほど降るのでしょうか…?飛騨日日新聞のWEBサイトや、Instagramtwitterなどで随時情報を発信していきますので、どうぞチェックしてみてくださいね。

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