最終更新日:2020年12月25日

白川村消防団の現状

白川村消防団は条例定数165名に対し実員135名。団員は最年少で20歳。平均年齢は36歳となっています(2019年(令和元年)年5月1日現在)。

本部並びに3分団(南部・中部・大郷)により組織されており、消防ポンプ自動車3台、積載車4台、軽積載車10台、小型動力ポンプ14台を配備しています。

また、消防関係団体としては、白川村女性防火クラブ、白川村少年消防クラブ、白川村幼年消防クラブがあります。

(単位:人、円)
階級 団長 副団長 分団長 副分団長 部長 班長 団員 合計
人数 1 2 5 6 23 16 84 137
報酬 53千円 38千円 30千円 23千円 20千円 17千円 15千円 1千円

主な行事

消防団の主な年間行事は、春と秋の火災予防運動のほか、各世帯を巡視する火の元検査を年2回行っています。

新団員教育訓練は春・夏・秋に、幹部教育訓練は3月に行っています。火災演習は、春の田植えの始まる前を基本に実施しています。出初式は毎年1月6日。辞令交付は4月、村操法大会を6月に行っています。操法訓練は約30日間。夏は合掌集落のある中部分団のみ花火夜警を約2週間。祭礼警戒を計6日行っています。祭礼警戒は荻町、鳩谷、飯島の3地区でそれぞれ2日間ずつ行われる「どぶろく祭り」の間の特別警戒のです。

その他、9月から11月にかけて消火栓取扱指導を各地域において実施し、12月には年末夜警を行っています。

花火警戒

以前、打ち上げ花火が合掌造りの屋根に飛び込んで火災が発生したことがありました。世界遺産のある荻町地区は、花火の使用について、線香花火も含めて遠慮していただいています。7月の海の日や夏休み中の金曜と土曜の夜など、観光客が訪れる日に、中部分団内で協議して分担を決めて巡回し、ご理解いただけるよう呼び掛けています。なお、花火だけではなく、たき火も禁止です。

合掌造りの家屋を守る放水銃

昭和46年に「荻町集落の自然環境を守る会」が発足し、合掌造りの家屋を「売らない」「貸さない」「壊さない」に基づいて保存運動を推進しています。この運動の一環として、放水銃の設置が進められました。

合掌造りの家屋は、火に非常に弱く、1軒でも出火した場合、飛び火により集落全体が焼失してしまう恐れがあります。そこで、360度回転する放水銃を設置しました。なお、景観を損なうことのないよう収納箱の屋根を合掌造り風に製作しています。

現在65ミリ消火栓放水銃が荻町地区に59基あります。この59基の水源は600トンの貯水槽です。約80メートルの高低差を利用した自然流下式で、高さ30メートル余りまで放水できます。なお、川を挟んだ小呂地区にも16基ありますが、水源は別となっています。

合掌造り1軒に1基の放水銃を設置していますが、最大規模の和田家にだけ2基設置してあります。合掌造りの家屋は、茅葺きの中に火が入ると消火するのが困難なため、放水銃は消火するためではなく、主に周辺家屋からの類火を防ぐために使用します。

放水訓練の様子

放水銃の操作

消防団員も操作を行いますが、火災を発見した住民が即座に操作するのが一番早いので、行政から住民に周知し、年1回の放水銃の一斉点検の際には、住民が操作し放水しています。

放水銃については台に固定されているため、水圧による反動も受けません。そのため、さほど力や技術を必要とするわけではありません。方向と角度、あとは、ジェットにするのか、霧にするのかを操作し、風向きを考えて空中に水のカーテンを作るというのが基本になります。

風が吹いている時は、火の粉が飛ぶ方向がわかりやすいのですが、風が無い場合は、上昇気流が発生し、火の粉が巻き上げられ、離れた民家に飛び火するということがあります。そのため、火災があると全放水銃で一斉に放水するようにしています。貯水槽には、常に用水からの水が流れ込んでいますので、一斉放水を30分以上続けることも可能です。

「火の番廻り」

防火の見回りを行っており、合掌集落の中では、「組」と呼ぶ町内会のようなものがあります。組ごとに防火見廻りの回数は異なっています。荻町地区では、1日4回防火の見廻りを行います。1回目は午前10時頃に廻り、「火の用心、大事にさっしゃれや」と屋外から声を掛ける。2回目は夕方で、拍子木を打って廻る。3回目は夜に行い、杓丈を突きながらチリンチリンと音をたてて廻る。以上の火の番廻りは、村内の各組で行われるが、4回目の「大廻り」は、深夜12時から約1時間かけて、荻町全体を廻る。大廻りは、2人1組で拍子木を打ちながら、村内を一周する。村内各所に巡視(火・の・用・心・巡・視)の6つの判が設置され、大廻りは廻った証拠にそれらの判を手帳に押していくというものです。

新団員の入団状況

白川村には「結(ゆい)」という人々の強い結びつきが今も受け継がれています。合掌造りの屋根の茅葺きを葺き替えるのに、300人もの住民が集まって行います。このように住民同士の結びつきが強いことから、若い人も「一度は消防団に入るもの」という意識が強くあるため、勧誘等については、あまり行ってはいません。

今後の課題

人口1,600人の村ですが、1日に1万人以上の観光客が訪れることもあります。富山空港や小松空港が近く、高速道路の開通で天候に左右されずにアクセス可能になり、ツワー客が増えています。特に、外国人観光客が増えていることから、災害発生時に外国人観光客の避難誘導をどのように行うのか、準備しておく必要があると思っています。