最終更新日:2012年06月13日

白川村はイタリア アルベロベッロ市と姉妹友好提携を締結しました。

調印式

白川村は、2005年3月3日に、イタリア南部のアルベロベッロ市と姉妹友好提携を締結しました。

調印式は、白川郷ふるさと体験館ホールにおいて行われ、アルベロベッロ市からはブルーノ・デ・ルカ市長はじめ五名の使節団が3月2日に来村されました。当日は飛騨地域振興局長、大阪イタリア総領事、村議会ら関係者約四十名が出席し、両国国歌斉唱の後、両村市長による提携書への調印、村・市旗と記念品が交換され、最後にブルーノ市長へ松下優花ちゃん(飯島)から花束が贈呈されました。両村・市長のあいさつでは、谷口村長が、「同じような世界遺産を持つ双方が協力し合い、発展するよう努力したい」と、ブルーノ市長が「表面上だけでなく、式典に恥じないような行動をとっていきたい。」と、姉妹提携の意義や今後の期待を述べられました。

調印式後には、一階そば道場で記念祝賀会が行われ、白川小学校二年生児童による白川村の郷土芸能(男子児童は獅子舞、女子児童はこだいじんの手踊り、笠踊り)が披露され、大人顔負けの踊りに出席者からは大きな歓声があがり、祝賀会を盛り上げました。

また、アルベロベッロ市民のマリアさんからは、麻布に合掌造りとトゥルッリをデザインしたランチョンマットが出席者全員にプレゼントされ、貴重な思い出の品となりました。

夜には、荻町区においてアルベロベッロ市民を交えた交流会が行われ、荻町区民らが多数参加。祝賀会ムードは夜遅くまで続けられました。アルベロベッロ市長ら使節団は4日白川郷合掌造り集落などを視察され、5日帰路につきました。

友好都市の調印式の様子の画像
友好都市の調印式の様子
白川小2年生児童による白川民謡の披露の画像
白川小2年生児童による白川民謡の披露

白川小2年生児童による獅子舞の披露の画像
白川小2年生児童による獅子舞の披露
アルベロベッロ市長、評議員によるイタリアソング披露の画像
アルベロベッロ市長、評議員によるイタリアソング披露

文化、国情の異なる両国の中で、貴重な伝統的建造物を有する美しい集落景観を、人が生活しながら守りつづけ、それを後世に守り伝えていくという共通性を持つ二つの地域が、遠く離れた立地条件を乗り越えて手を結び、相互の歴史、文化等に理解を深め友好親善を図ることは、世界遺産の保存継承並びに両地域の発展に繋がるものと確信します。そしてこのことを広く国際社会へ発信し、世界の平和的共存に寄与することを願います。

アルベロベッロのまちについて

アルベロベッロ及び世界遺産トゥルッリについて

アルベロベッロ市はイタリアの南部(プーリア州バーリ県)に位置し、人口約1万人の農業の町です。1996年、円筒形の白壁に円錐形に石を積み上げた屋根を持つ独特の家屋「トゥルッリ」が数多く残っているアイアピッコラ地区とリオーネモンテ地区の2つの地区が、ユネスコの世界文化遺産に登録されました。アイアピッコラ地区には、白川郷の合掌造り同様に今もなお住居として住民が生活しています。また、リオーネモンテ地区は住居として使っている家は少ないですが、中を改造し観光関連の店やホテルにした建物が数多くあります。

アルベロベッロは15世紀にスペインに占領され、農民の町として誕生しました。開拓した際地面を掘ると石が大量に出てきたことで、石を積む家が生まれました。スペインによる統治は1700年代に開放されましたが、石が多いこと、雨が非常に少なく夏はとても暑いことなどからトゥルッリが生まれました。トゥルッリは熱吸収を抑える為に壁を白く厚くし、石の屋根は降った雨が地下に貯蔵されるよう工夫されています。また税金対策からトゥルッリの中(床面積)はそれほど大きくないのが特徴です。

アイアピッコラ地区には約500軒のトゥルッリが現在も残っており、内70%は住民が生活しています。残りは空き家で、市で人が住んでもらえるよう対策を検討しています。またトゥルッリはこの2地区だけでなく市内全域に点々と残っており、市全体で約1,500軒あるそうです。

アイアピッコラ地区の街並みの画像
アイアピッコラ地区の街並み
リオーネモンテ地区の画像
リオーネモンテ地区

世界遺産トゥルッリを見て

アイアピッコラ地区、リオーネモンテ地区とも、石の屋根と白い壁のトゥルッリが連なり、青い空と調和し大変美しい景色です。廃屋で補修されていないトゥルッリもありますが、住んでいる建物はしっかりと修復されており、保存に対する住民意識の高さが覗えます。また、アイアピッコラ地区は住居として、リオーネモンテ地区は商業(観光が中心)として区分けされていることについては、特に意図的に行ったのではなく、それぞれの立地条件から自然に区分けされていったようです。アイアピッコラ地区は狭い車道があり、住民の車は通れますが、リオーネモンテ地区は坂沿いにあり、中心の道路は階段のように段差をつけ車が通れないようになっています。

トゥルッリの保存について

トゥルッリは20~30年に一度屋根の修復が必要です。1つ屋根を修復するのに、規模にもよりますが約60万円の費用がかかるそうです。また、壁はモルタルを塗っていますが、色あせが早いため、年1回塗らなければなりません。しかし、その修復に関して行政から補助は出ません。

屋根修復の際、80%は既存の石を使い、積み直すことができます。また、修復には、1軒あたり約1ヶ月かかるようです。市では、トゥルッリの内外の保存基準を作って住民指導を徹底していますが、住民からの反発や問題は特に無いようです。

アイアピッコラ地区の家の画像
アイアピッコラ地区の家
リオーネモンテ地区の画像その2
リオーネモンテ地区

姉妹提携に至るまでのこれまでの経緯

交流のはじまりは、平成13年10月にアルベロベッロの市民(画家)が、市長の親書を持って、白川村長を表敬訪問したことです。
親書には、白川村とアルベロベッロ市は、共にユネスコの世界文化遺産に登録されており、現在も人が生活しながら大切な遺産を保存・継承していること、世界遺産登録以後、観光客が急激に増え、観光地化による人々の生活や景観問題など、多くの諸問題を抱えていることなど、共通点が多いことから、姉妹提携し交流することにより、お互いに学び両地域の発展に繋がるといった内容でした。

その後、平成15年4月、平成16年3月にも、アルベロベッロ市民が白川村を訪れ、アルベロベッロの絵画展の開催や、合掌造り屋根の葺替作業への参加など、住民との交流活動が行われ、住民同士の信頼関係が築かれました。また、市長からは、手紙やメールにて再三に渡り姉妹提携の強い要望を受けていました。

村は、3回に渡る訪問と、姉妹提携の強い要望から、平成16年6月に5名がアルベロベッロ市を訪問し、視察及び市民との交流を行いました。(村職員1名、議会2名、世界遺産地区の区長、保存会の会長)

同年10月には、アルベロベッロ市から市評議委員2名を含む5名が白川村を訪問し、視察及び村民との交流を行いました。訪問中は、白川村伝統の「どぶろく祭り」の開催期間と重なったこともあり、祭りの行列に参加することができ、大変実のある訪問となったようです。

白川村としても、遠く離れた立地条件を乗り越えて、同じ人が住む世界遺産で、お互いの地域が同様の問題や課題を抱え、大切な遺産を保存・継承するなかで、お互いに学び交流することにより、保存意欲の向上と地域の発展に繋がるものと認識しました。

 

アルベロベッロ ブルーノ・デ・ルカ市長の画像

アルベロベッロ ブルーノ・デ・ルカ市長

これまでの経緯

2001年10月 アルベロベッロの画家ディーノ・バルナーバ氏が、姉妹提携の旨を記した市長の親書を持って白川村長を表敬訪問。
2003年4月 ディーノ・バルナーバ氏来村。荻町木戸口家屋根の葺き替え作業に参加、また荻町公民館で絵画展が開催され、荻町地区の住民と交流を図る。
2004年3月 ディーノ・バルナーバ氏来村。荻町地区の住民と交流を図る。
2004年4月 現アルベロベッロ市長ブルーノ・デ・ルカ氏から、白川村長に姉妹提携の強い要望や、アルベロベッロ訪問のお誘いの手紙が届く。
2004年6月
  • 白川村長からアルベロベッロ市長へ、姉妹提携の村の考え方と6月に村民が訪問するお願いの手紙を送る。
  • 荻町区民ら5名がアルベロベッロを視察訪問。世界遺産地区の視察や市長へ表敬訪問など市民との交流を図る。
2004年8月 白川村長からアルベロベッロ市長に、6月にアルベロベッロを訪問したお礼と、白川村訪問のお誘いの手紙を送る。
2004年10月
  • アルベロベッロから市評議委員を含む5名の市民が白川村を訪問。村長への表敬訪問やどぶろく祭りへの参加など住民との交流を図る。
  • アルベロベッロ市長から白川村長へ、白川村を訪問したお礼と姉妹提携の実現を要望する手紙が届く。
2004年12月
  • これまでの交流を踏まえ、村では姉妹提携について村議会への協議を図る。
  • 荻町区の大寄合にて、荻町区長が区民へ交流することについて理解を求める。
  • 姉妹提携承諾の旨を記した手紙を、アルベロベッロ市長に送る。